文献情報
文献番号
201508019A
報告書区分
総括
研究課題名
系統的レビューとコホート研究に基づく特定健診質問票の開発
課題番号
H27-循環器等-一般-007
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 田原 康玄(京都大学 大学院医学研究科 )
- 高橋 由光(京都大学 大学院医学研究科 )
- 陳 和夫(京都大学 大学院医学研究科)
- 磯 博康(大阪大学 医学系研究科)
- 三浦 克之(滋賀医科大学 社会医学講座)
- 岡村 智教(慶應義塾大学 医学部)
- 小坂 健(東北大学 大学院歯学研究科)
- 松尾 恵太郎(愛知県がんセンター 遺伝子医療研究部)
- 神田 秀幸(島根大学 医学部)
- 杉田 由加里(千葉大学 大学院看護学研究科)
- 立石 清一郎(産業医科大学 産業医実務研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
7,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
特定健康診査における適切な問診からは、メタボリックシンドロームや循環器疾患のハイリスク者を抽出する上で極めて重要な情報が得られる。しかし、現在の標準質問票は、例えば飲酒に関する質問で非飲酒と禁酒が区別されていないなど、必ずしも適切とはいえない。そこで本研究では、平成30年の特定健康診査の見直しに向けて、既存の学術論文の系統的レビュー、ならびに独自のコホート研究の成績から、科学的根拠(エビデンス)に基づいた質問票を開発する。
研究方法
初年度は、質問票開発の方針を決定し、現行・新規候補項目ごとに既存の文献のシステマティックレビュー、各自の持つ疫学データの追加分析によって、現時点でのエビデンスの状況を整理する。その成果に基づき、総意形成手法(修正デルファイ法)を用いて、意見の集約を行う。
結果と考察
質問票の開発にあたっては、以下のプロセスで議論を深め総意を形成した。
1.改訂課題と質問票の要素抽出:班員の専門的意見に基づき、現在の質問票の改訂課題を洗い出すとともに、新しく質問票に含めるべき要素を抽出した。具体的には、平成27年9月1日に第1回班会議を開催し、現在の特定健診質問票の改訂課題を抽出した。
2.エビデンスの集積:既報の学術論文を系統的にレビューし、現在の質問項目の改定案、ならびに改訂問診票に含めるべき各要素を反映する適切な質問項目を抽出した。系統的レビューでエビデンスが不足した場合は、現有のコホートデータの長期縦断的な解析結果で補完した。過年度の特定健診データの分析から、現在の質問項目の妥当性を検証した。具体的には、第1回班会議での検討課題を踏まえた上で、同年12月末までに、班員がそれぞれの分担領域でエビデンスを収集し、現在の質問項目の改訂案、および新規質問項目案を作成した。班員には、あらかじめ分担領域を割り当てていたが、領域を超えた検討・情報提供を求めることで、多角的な見知からの意見集約を進めた。既報の系統的レビューでは、日本人を対象とした成績を優先しつつも、適宜、外国人を対象とした成績も加えた。加えて現有のコホートデータを用いた解析から、現在の特定健診質問項目の妥当性を検証するとともに、解析結果を新規質問項目の作成にも反映した。その際、学術論文として発表されていない成績であっても、解析結果を提示できればエビデンスとして採用した。
3.総意形成:集積した学術論文等の資料を用い、修正デルファイ法で総意形成を進めた。その過程で、特定健診よりも特定保健指導の際に質問することが適切であると考えられた項目については、保健指導の活用例等に盛り込むことも併せて検討した。具体的には、班員が収集した情報を共有・議論し、質問項目を選定する目的で、第2回班会議を平成28年2月18日に開催した。質問項目の選定にあたっては、修正デルファイ法を採用し、以下の手順で議論を進めた。
班会議前…1) 班員から提案のあった現在の質問項目の改定案、新規質問項目案について情報を共有した。2) 各班員が全ての項目について、妥当性・必要性を勘案して1〜9点で点数付けを行った。班会議…3)項目ごとの評価点数の集計値や分布を算出し、班員でそれらの情報を共有した。4)事前評価の結果、および班員が収集した学術論文やコホートデータの解析結果に基づいて、各質問項目(現在の質問項目・新規追加項目)の妥当性や必要性を議論した。班会議後…5)班会議での議論を踏まえて、各質問項目について、再度、同様に点数付けを行い、分布が一定方向に集約した項目について採否を決定した。
4.留意事項・活用方法のとりまとめ…改訂質問票を運用する際の留意事項、保健指導時における活用例等の資料を、平成28年度に作成する。
1.改訂課題と質問票の要素抽出:班員の専門的意見に基づき、現在の質問票の改訂課題を洗い出すとともに、新しく質問票に含めるべき要素を抽出した。具体的には、平成27年9月1日に第1回班会議を開催し、現在の特定健診質問票の改訂課題を抽出した。
2.エビデンスの集積:既報の学術論文を系統的にレビューし、現在の質問項目の改定案、ならびに改訂問診票に含めるべき各要素を反映する適切な質問項目を抽出した。系統的レビューでエビデンスが不足した場合は、現有のコホートデータの長期縦断的な解析結果で補完した。過年度の特定健診データの分析から、現在の質問項目の妥当性を検証した。具体的には、第1回班会議での検討課題を踏まえた上で、同年12月末までに、班員がそれぞれの分担領域でエビデンスを収集し、現在の質問項目の改訂案、および新規質問項目案を作成した。班員には、あらかじめ分担領域を割り当てていたが、領域を超えた検討・情報提供を求めることで、多角的な見知からの意見集約を進めた。既報の系統的レビューでは、日本人を対象とした成績を優先しつつも、適宜、外国人を対象とした成績も加えた。加えて現有のコホートデータを用いた解析から、現在の特定健診質問項目の妥当性を検証するとともに、解析結果を新規質問項目の作成にも反映した。その際、学術論文として発表されていない成績であっても、解析結果を提示できればエビデンスとして採用した。
3.総意形成:集積した学術論文等の資料を用い、修正デルファイ法で総意形成を進めた。その過程で、特定健診よりも特定保健指導の際に質問することが適切であると考えられた項目については、保健指導の活用例等に盛り込むことも併せて検討した。具体的には、班員が収集した情報を共有・議論し、質問項目を選定する目的で、第2回班会議を平成28年2月18日に開催した。質問項目の選定にあたっては、修正デルファイ法を採用し、以下の手順で議論を進めた。
班会議前…1) 班員から提案のあった現在の質問項目の改定案、新規質問項目案について情報を共有した。2) 各班員が全ての項目について、妥当性・必要性を勘案して1〜9点で点数付けを行った。班会議…3)項目ごとの評価点数の集計値や分布を算出し、班員でそれらの情報を共有した。4)事前評価の結果、および班員が収集した学術論文やコホートデータの解析結果に基づいて、各質問項目(現在の質問項目・新規追加項目)の妥当性や必要性を議論した。班会議後…5)班会議での議論を踏まえて、各質問項目について、再度、同様に点数付けを行い、分布が一定方向に集約した項目について採否を決定した。
4.留意事項・活用方法のとりまとめ…改訂質問票を運用する際の留意事項、保健指導時における活用例等の資料を、平成28年度に作成する。
結論
本研究の成果として、総計32項目からなる改定質問票(案)と質問票の各項目についてのエビデンステーブルを作成した。これら資料を、厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」(平成28年5月17日開催)に提案する。
公開日・更新日
公開日
2016-06-20
更新日
-