研究者と自治体の協働による、がん検診受診率向上等、自分自身で健康を守るための国民の行動変容を促す方法の開発と評価

文献情報

文献番号
201507024A
報告書区分
総括
研究課題
研究者と自治体の協働による、がん検診受診率向上等、自分自身で健康を守るための国民の行動変容を促す方法の開発と評価
課題番号
H27-がん対策-一般-004
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
山本 精一郎(国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター 保健社会学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 溝田 友里(国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター 保健社会学研究部 健康増進科学研究室)
  • 江口 有一郎(佐賀大学医学部肝疾患医療支援学/佐賀大学医学部付属病院肝疾患センター)
  • 大内 憲明(東北大学大学院医学系研究科)
  • 垣添 忠生(公益財団法人日本対がん協会)
  • 渋谷 大助(宮城県対がん協会がん検診センター)
  • 田中 英夫(愛知県がんセンター研究所 疫学・予防部)
  • 中山 富雄(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
7,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、研究者と自治体が協力し、国民が自分自身で健康を守るための行動変容を促す方法を開発することである。具体的には、すでに研究班が乳がん検診で実績を上げている方法を発展させることによって、胃、肺、大腸、子宮頸がん検診の受診率を向上させる方法を開発・評価し、全国の自治体に普及することにより、がん検診の受診率を向上させることを目的とする。同様の手法を用い、肝がんの予防・早期発見として、肝炎ウイルス検査受診率向上も目的とする。
研究方法
本研究はこれまで自治体との共同研究を実施しており、乳がん検診のリーフレットを開発し、個別勧奨・再勧奨を行い、受診率が向上した実績がある。本研究の目的は、この受診率向上手法を国の推奨する他のがん検診(胃、肺、大腸、子宮頸)や、肝炎ウイルス検査受診などに広げていくことである。
本研究は、次の流れに沿って進める。胃、肺、大腸、子宮頸がん検診と肝炎ウイルス検査について、
(1年目)ソーシャルマーケティングなど最近発展した行動科学の方法を用い、綿密な調査に基づいて受診の阻害・促進要因を明らかにし、それをもとに行動変容のための資材を開発する、
(2年目)開発した資材の効果検証として、受診率をエンドポイントに、従来の方法を比較対照群としたランダム化比較試験などの介入研究を協力自治体において実施する、
(3年目)研究班がこれまでに構築した都道府県がん対策担当者のネットワークや日本対がん協会などのネットワークを用いて全国への普及を行う。
(事業年度は目安であり、がん種ごとに順に取り組む)
結果と考察
初年度は「(1)受診の阻害・促進要因を明らかにし、それをもとに行動変容のための方法の開発」を行った。
開発はソーシャルマーケティングの方法に沿って行った。これまでに行った乳がん検診受診勧奨リーフレット作成の際に、対象者の理解に関する調査は完了しており、本研究では、胃、肺、大腸、子宮頸がん検診、肝炎検査について、コンセプト/メッセージの開発・評価を行い、普及資材の制作を行った。より具体的には、検診未受診者を無関心者、関心者、意図者の3つにセグメンテーションし、それぞれのターゲットに対し、ヒアリングによって、検診ごとにコンセプト/メッセージを作成し、普及資材の開発を行った。
例えば、肺がんに関して効果のあったコンセプト/メッセージは、「喫煙者批判はうんざりだ」「肺がん=たばこ」「わざわざ肺がん検診を受けるのは面倒」「咳など自覚症状がないから大丈夫」などであったことから、「肺がん検診のために、一年間に5分ください」「市の特定健診と一緒に受けられます」「肺がん検診は二重読影が国の基準で定められている」「肺がん死の二人に一人はたばこが原因ではない」といった効果の高いメッセージを配した資材を作成した。
また、がん種を問わず、効果のあったメッセージとして、検診が無料または低額で受けられるとアピールするよりも「検診の費用を明示し、市町村からの補助額も明示する」ほうが、「安かろう悪かろう」でなく、「高価な検診を市町村からの補助で受けられる」というお得感を強く感じるということも分かった。プロのコピーライター、イラストレーター、デザイナーの協力を得てそれぞれのがん検診・肝炎検査受診に対し、これらのメッセージを効果的に配したリーフット・圧着はがきの開発を行った。圧着はがきは送料が安価なうえ、通常の市町村からの定型郵便物と異なることが一目でわかり、カラー刷りで目立つ上に、開封しやすいというメリットも活用することができる。
今後、(2)開発した資材の効果検証(2年目)、(3)資材の全国への普及(3年目)を行う予定である。
結論
今年度の研究により、がん受診に関して効果のあるコンセプト/メッセージを明らかにすることができ、普及資材の開発を行うことができた。すでに先行自治体において、利用を開始することができたため、来年度に普及資材の効果検証を始めることができる。来年度はさらに他の自治体においても利用を奨励し、効果検証と普及を進める予定である。

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201507024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
10,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 990,809円
人件費・謝金 392,775円
旅費 570,310円
その他 5,739,106円
間接経費 2,307,000円
合計 10,000,000円

備考

備考
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