地域包括緩和ケアプログラムを活用したがん医療における地域連携推進に関する研究

文献情報

文献番号
201507021A
報告書区分
総括
研究課題名
地域包括緩和ケアプログラムを活用したがん医療における地域連携推進に関する研究
課題番号
H27-がん対策-一般-001
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 雅志(国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター がん医療支援研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 達也 (聖隷三方原病院 緩和支持治療科(聖隷三方原病院))
  • 木澤 義之(神戸大学大学院医学研究科・先端緩和医療学分野・緩和医療学(神戸大学附属病院))
  • 川越 正平(あおぞら診療所)
  • 福井 小紀子(日本赤十字看護大学大学院・地域看護学分野(日本赤十字看護大学))
  • 山岸 暁美(慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学教室)
  • 吉田 沙蘭(東北大学 大学院教育学研究科 人間発達臨床科学講座 臨床心理学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
7,693,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 吉田沙蘭 国立がん研究センター(平成26年4月1日-平成27年3月31日)→ 東北大学(平成27年4月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
がん医療において、がん拠点病院等のがん治療施設と地域の在宅医療・介護との連携体制の構築が求められている。この課題の解決を目指し、本研究では、全国の各地域で、がん緩和ケアのネットワークを構築し、地域の特性を踏まえた地域包括緩和ケアプログラムを作成し実施していく人材「地域緩和ケア連携調整員」を養成する研修プログラムの開発を目的とする。さらに、これらの人材を支援していく中央機能のあり方についても検討し、全国でがんの地域緩和ケアの提供体制の整備を進めていく包括的な方策を提示していくことを目指す。
研究方法
1年目である平成27年度では、全国からがん緩和ケアのネットワークを構築し運用している事例を収集し、「地域緩和ケア連携調整員」に求められる活動内容と有するべき資質について個別ないしフォーカスグループによる面接調査を行った。調査対象地域は、平成24年度に厚生労働省が実施した在宅医療連携拠点事業において、積極的な取組みを行った地域、また、地域緩和ケア連携に先駆的に取り組んでいる地域として分担研究者からの推薦を受けた地域の中から選出した。16地域、24名の医療者を対象に電話または対面で半構造化面接による調査を実施した。調査時間は60分~90分程度とした。得られた録音はすべてテキスト化した後、内容分析を行う。
なお、調査実施に際しては、事前に口頭にて、調査の目的・意義、調査の方法、調査への参加の自由、個人情報の取扱い、調査組織について説明を行い、書面にて同意を得た。

結果と考察
地域緩和ケア連携を進める際の課題として【がん医療における地域連携を考える体制が整備されていないこと】【地域の中で価値観が共有できていないこと】【がん地域連携に必要な知識・情報が不足していること】【その他】が抽出された。その課題を解決するための地域緩和ケア連携調整員の役割として、以下が整理された。
(1)【地域における顔の見える関係づくり】⇒がん医療における地域連携に関して、地域の中での「ルールや取り決め」等を定めていく、地域の主だった関係者が集まる「公的な会議」の設置を目指す。その他、現場の担い手の医療福祉関係者の関係が深まるような会などを開催。(2)【連携を円滑にする体制づくり】⇒地域の中でがんの地域連携に関する「手順」「ルール」などを策定するための情報収集、課題の同定、解決案の作成などを目指す。その他、地域連携を円滑にする取り組みを開始していくための調整と準備を行う。(3)【地域づくり】⇒がん医療における地域緩和ケアの連携が円滑に進めていけるよう、必要な情報を収集するとともに情報発信を行い、地域連携に必要な環境を作っていく。
 これらの役割を担うことができるよう研修プログラムの素案を作成した。研修目標として①「地域緩和ケア連携調整員」に求められる役割を理解する②がん医療における地域緩和ケア連携を進めていくうえで、自地域の現状を把握し、課題を整理する③有識者や他地域からの参加者との意見交換を参考にし、自地域の参加者とともに課題解決の方向性を検討して見出す。
 研修対象者として、地域のネットワークを構成するがん診療連携拠点病院、在宅医療・介護連携支援センター、医師会等の連携担当者などの複数名からなるチームを想定した。
結論
 地域におけるがん緩和ケアの連携体制構築のために、積極的に取り組んでいる地域においては、各地域の特性に応じて様々な取組みがなされており、全国にとって参考となる事例が多く存在していた。一方で、緩和ケアに関する連携の課題も多く存在し、その解決に向けて地域緩和ケア連携調整員が果たすべき役割が抽出され、その育成が期待されていることも明らかになった。調査結果を元に作成した地域緩和ケア連携調整員の育成に向けた研修プログラムの素案の確定を今後進め、研修の実施とその効果の評価を行っていく。
 全国からがん緩和ケアのネットワークを構築し運用している事例を収集し、「地域緩和ケア連携調整員」に求められる活動内容と有するべき資質についての調査を行い、養成プログラムの素案を作成した。今後、研修プログラムを確定し、研修の実施とその評価に向けて研究を進めていく予定である。
 

公開日・更新日

公開日
2017-06-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-04-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201507021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
9,136,000円
差引額 [(1)-(2)]
864,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,902,598円
人件費・謝金 3,722,121円
旅費 830,200円
その他 374,604円
間接経費 2,307,000円
合計 9,136,523円

備考

備考
補助金交付額から補助金所要額を引いた額864000円を厚労省へ返納。端数523円は研究者負担です。

公開日・更新日

公開日
2017-04-10
更新日
-