先天性心疾患児の成人期以降も含めた長期予後の把握のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201506009A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性心疾患児の成人期以降も含めた長期予後の把握のあり方に関する研究
課題番号
H27-健やか-一般-002
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
白石 公(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 小児循環器・周産期部門)
研究分担者(所属機関)
  • 小川 久雄(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター)
  • 安田 聡(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター)
  • 西村 邦宏(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター)
  • 丹羽 公一郎(聖路加国際病院・心血管センター)
  • 安河内 聰(長野県立こども病院)
  • 賀藤 均(国立成育医療研究センター)
  • 八尾 厚史(東京大学医学部・保健健康推進本部)
  • 市田 蕗子(富山大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
4,039,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
[目的]先天性心疾患は出生約100人に1人の割合で発症する。近年の医療技術の進歩により患者の約90%以上が小児期に救命され成人期に到達するようになり、成人患者は全国で41万人に上る。約30%の患者は何らかの遺残症や続発症を抱えるとともに、成人期以降は生活習慣病の要素が加わるために、これまでの医学で経験されなかった複雑な病態を呈するようになる。このような患者の予後を改善するには、小児科から内科へのシームレスな医療連携の確立ととともに、患者の生涯にわたる診療データベースの確立が不可欠である。
研究方法
[方法]平成27年度に構築した「ACHDネットワーク患者登録システム」の登録を進め、内容を充実させることで、成人先天性心疾患のデータベースの一部として様々な調査研究や臨床研究に運用する。また、小児期からの膨大な患者情報のデジタル化、診療情報の共有化の体制を試みる。各地域(都道府県レベル)での診療連携(小児科と内科、地域病院と拠点施設へ)の確立をめざす。
結果と考察
これまでに実施されてきた厚生労働科学班研究班「成人先天性心疾患の診療体制の確立」から立ち上げられた循環器内科拠点施設ネットワークである「ACHDネットワーク」を利用して、地域の成人先天性心疾患診療の中核を担う施設を全国に約35カ所認定し、各地域の医療事情に応じた診療連携の確立を継続して進めている。平成27年度は、地域に応じた連携体制の構築が順調に進められている長野県や兵庫県や福岡県をモデル地区として、全国の地域ごとのネットワークの構築を押し進めている。最終的にはこども病院から拠点施設へ、小児科から内科へ、地域の中核施設から拠点施設への移行医療の診療連携ネットワークを都道府県レベルで確立する。
 研究班班員である東京大学医学部八尾厚史講師を中心として開発を継続している「ACHDネットワーク患者登録システム」を用いて、平成27年末までに約4,000人の成人先天性心疾患患者のデータベース(病名、生年月日、合併症、手術歴など記載)を作成した。今後さらに登録を進めて、成人先天性心疾患患者のデータベースの構築を進める予定である。
 「ACHDネットワーク」によるデータベース入力を進めるとともに、日本循環器学会の「JROAD循環器疾患調査システム」と連動して、患者情報、DPCデータからの診療情報、さらには小児慢性特定疾患克服研究事業データを利用して、小児期から成人期までの患者シームレスなデータベースの構築を進める。
 本研究班と日本成人先天性心疾患学会との連携により、特定の患者の実態調査、成人期以降にとくに問題となるフォンタン術後患者、アイゼンメンガー症候群、先天性心疾患合併妊娠出産などを実施しており、平成28年度以降も継続して、これらをさらに推し進める。
結論
これまでの厚生労働科学研究「成人先天性心疾患の診療体制の確立に関する研究」では、全国の診療実態調査、内科施設の診療体制の現状調査、専門医制度の確立に向けた調査研究、患者の社会経済的な実態調査などを行ってきた。今回はACHDネットワークを主体とした患者レジストリシステムの確立とともに、全国各地域における独自の連携システムを確立する。平成28年以降も積極的にレジストリ作業を進める予定である。またAMED研究「先天性心疾患の長期予後の視点に基づいた介入のあり方に関する研究」と連動し、今後は、先天性心疾患患者の小児期から成人期まで診療データを数千から数万人規模で結合し、新たな患者のデータベースを構築するとともに、患者の診療実態調査、予後改善のための外科的な介入のあり方に関する検討および臨床試験の基礎となるデータベースを構築する予定である。

公開日・更新日

公開日
2016-07-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201506009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,250,000円
(2)補助金確定額
5,250,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,957,531円
人件費・謝金 0円
旅費 1,170,980円
その他 913,306円
間接経費 1,211,000円
合計 5,252,817円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-01
更新日
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