小児摂食障害におけるアウトカム尺度の開発に関する研究 -学校保健における思春期やせの早期発見システムの構築、および発症要因と予後因子の抽出にむけて-

文献情報

文献番号
201506005A
報告書区分
総括
研究課題名
小児摂食障害におけるアウトカム尺度の開発に関する研究 -学校保健における思春期やせの早期発見システムの構築、および発症要因と予後因子の抽出にむけて-
課題番号
H26-健やか-一般-001
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
内田 創(東京都立小児総合医療センター 心療小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 深井 善光(東京都立小児総合医療センター 心療小児科)
  • 永光信一郎(久留米大学医学部 小児科)
  • 角間 辰之(久留米大学 バイオ統計センター)
  • 作田 亮一(獨協医科大学越谷病院 子どものこころ診療センター)
  • 井口 敏之(星ヶ丘マタニティ病院 小児科)
  • 小柳 憲司(長崎県立こども医療福祉センター 小児科)
  • 北山 真次(神戸大学医学部附属病院 発達行動小児科学)
  • 岡田 あゆみ(土居 あゆみ)(岡山大学病院小児医療センター 子どものこころ診療部)
  • 井上 建(獨協医科大学越谷病院 小児科)
  • 鈴木 雄一(福島医科大学病院 小児科)
  • 鈴木 由紀(国立病院機構三重病院 小児科)
  • 須見よし乃(札幌医科大学付属病院 小児科)
  • 高宮 静男(西神戸医療センター 精神神経科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関変更 研究代表者 内田 創 東京都立小児総合医療センター(平成26年4月1日~平成28年3月31日)→獨協医科大学越谷病院(平成28年4月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
平成27年度より、母子の健康水準を向上させるための国民運動計画である「健やか親子21(第二次)」が始まった。2001年度から2014年度まで実施された健やか親子21第一次計画では、さまざまな健康指標が改善されたが、悪化した指標として、1.十代の自殺率の上昇と2.低出生体重児の割合の増加があった。思春期やせ症の割合は減少に転じたものの、不健康なやせ(BMI18.5以下)の比率は中学3年生において10年間で5.5%から19.6%と増加している。新生児の低体重化の原因として妊婦の痩身化が影響を及ぼしているものと思われる。健やか親子21の第二次計画では重点課題のひとつとして、「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」が掲げられ、思春期やせの防止に対する施策は依然として重要な位置づけとされている。我々は3年間の研究期間(2014~16年度)内の目標として、①学校健診における思春期やせ症の早期発見システムの確立(2014~15年度)、②思春期やせ症の予後に影響を与える因子の分析(2014~16年度)、③やせを来す要因の解析(2016年度)を掲げた。
研究方法
新規患者の登録制度を実施し、摂食障害の中核症状の程度、心理社会的因子の内容を厳密に討議し、主観的判断と施設間格差を最小限にした前方視的アウトカム(予後)スコアを作成し、患者の継続観察を開始した。2015年度は、やせを来す要因と環境の解析を2014年度から前方視的に共同研究機関にエントリーされた94例の初診時アウトカム、心理発達検査、血液検査結果等を用いて実施した。
結果と考察
心理発達検査から情緒的健康や友達との関係におけるQOLが低く、自閉傾向も高い症例が多かった。そして本人自身が頑張り屋や大人の意に沿う良い子という病前性格や片親家庭、親・きょうだいの精神疾患・発達障害をもつ症例が多くに認められた。食事の摂取量が減少した契機は意図的なダイエットや不安やうつ状態に伴う食欲不振が多かった。個人的な因子としては学業に関する疲労や転居・転校などを認めた。体重減少が開始する時期は4~6月の学年最初が多かった。これらの結果からクラスに馴染めないことや、いじめなどで家庭や学校でコミュニケーションが取りづらく孤立してしまう症例が多いと考えられた。
結論
小児の摂食障害の発症要因として、家庭環境や本人の性格から不安や不満などを周囲に表出できない子どもが、学校内での生活や学業にも不安を感じたときに、ダイエットに没頭し自らの体重をコントロールすることに達成感を感じ、食事や体型のこと以外に関心が向きづらくことによる複合的因子の相互作用が考えられた。

公開日・更新日

公開日
2016-07-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2016-06-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201506005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
5,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,374,301円
人件費・謝金 38,500円
旅費 1,223,002円
その他 864,197円
間接経費 500,000円
合計 5,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-01
更新日
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