生活の価値(ライフバリュー)の向上を目的とした新たな産業促進のための調査研究

文献情報

文献番号
201504032A
報告書区分
総括
研究課題名
生活の価値(ライフバリュー)の向上を目的とした新たな産業促進のための調査研究
課題番号
H27-特別-指定-034
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
益山 光一(東京薬科大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
3,861,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
人々の生活の価値(ライフバリュー:LV)を創造する産業は、約40兆円の公的医療保険の枠外にあるものの、その現状・実態等は明らかにはなっていない。しかしながら、推計10兆円規模の産業とも言われており、これら新たな産業の促進は、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針)に沿ったものであることから、我が国におけるこのような産業の現状・実態等について調査研究を実施することにより、今後の新たな産業促進のための基礎的資料の収集を行い、新たな産業の振興策等のための政策提言に繋がることを目標として調査研究を実施するものである。
研究方法
LVに関して、その範囲は個人によって大きく異なるため、本研究におけるLVは、社会保障改革とも関係の深いと考えられる健康と美容に絞って実施することとし、関係する産業としては、健康食品、健康機器、遺伝子ビジネス、フィットネス産業、スパ・サービス産業、美容・整形(脱毛等を含む)等の「公的サービス外の周辺産業」を主対象として調査研究を行った。
調査研究方法については、主に、○LVを創造する産業の選定、範囲・それぞれの規模、○各種業態ごとの業界団体の有無、○当該業界の活動状況、実績等、○業界ごとの問題点等の事項について、インターネット等を駆使した基本調査をもとに、必要に応じてヒアリング調査等を行い、様々な業種の実態を調査・分析を行った。美容関連については、合同会社EBC&Mに委託をして実施し、“美容”と“健康”は一対の言葉と使用されることが多くその対象は極めて広範囲となるが、今回の美容関連の調査では、エステティク、ネイル、美容医療業界を中心にその関連産業を含め調査を行った。
なお、研究実施に際しては、医療経済、社会薬学、医療関係者、企業関係者、関係団体等々の様々な関係者のご意見等を参考にして調査研究を進めた。
結果と考察
本調査研究におけるLVに関係する産業としては、健康食品、健康機器、遺伝子ビジネス、スパ・フィットネス、美容・整形(脱毛等を含む)等の「公的サービス外の周辺産業」を主とし、各産業の概要、業界団体の活動状況、問題点等について、広範囲に渡る調査研究を行い、その概要についてとりまとめを行い、今後のLV関連産業を考える上での基礎的資料の収集ができたところである。今後の考察としては、健康と美容を主体としたLVを創造する産業の活性化に向けては、利用者の安全・安心につながる信頼性の確保が重要であり、その信頼性確保にあたって、一律に厳しい基準を設けることが適当ではなく、その科学のレベルと倫理的・法的・社会的な課題との調和が必要となると考えられる。
結論
健康と美容を主体としたLVを創造する産業において、これまで、品質の確保や施術者の資格制度等を各業界団体等で実施してきているが、各団体で独自に対応し、同じ業界内でも異なる評価基準やシステムとなっていることも少なくない。今後は、その産業分野の科学のレベルと倫理的・法的・社会的な課題との調和を踏まえ、必要に応じて、業界内での統一等に向けた対応や、健康も美容も最新の情報やエビデンスに基づいて実施することが、産業促進の面からも必要である。例えば、健康食品のように、認定を与える団体について、健康食品認証制度協議会が指定や監督を行うシステムや、エビデンスの集積等については、機能性表示食品のように販売者が責任を持ってエビデンスの収集や評価を行うような対応も参考になると考えられる。なお、この場合、制度や情報、さらに求められるレベルや対応に他の業界との違いがある場合(既に法規制があること等)はその違いもわかりやすく説明することが望まれる。
また、利用の対象が高齢者や外国からの利用者等への新たな広がりが期待されるソシオエステティックや美容医療分野についても、例えば、統一資格やガイドライン等の作成について、産学官における連携促進が重要となる。

公開日・更新日

公開日
2016-06-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201504032C

収支報告書

文献番号
201504032Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,903,000円
(2)補助金確定額
3,930,804円
差引額 [(1)-(2)]
972,196円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 705,294円
人件費・謝金 272,052円
旅費 107,570円
その他 1,803,888円
間接経費 1,042,000円
合計 3,930,804円

備考

備考
喫緊の行政的な課題に関する調査研究のため、研究期間が3か月程度と短い一方、予想していたよりも研究範囲が広くその基礎調査収集に時間がかかったため、出張等の費用が使えなかったこと、また、結果として、最終的な報告書の納品までを3月31日までに終了できず、研究費の執行が間に合わなかった。なお、出張等で得るべき予定の情報の収集については、都内において効率的に実施(自費)し、また、報告書もグレードは落ちるが4月~5月で作成(自費)を行っており、研究の内容面での大きな問題は発生していない。

公開日・更新日

公開日
2017-05-23
更新日
-