医療事故調査制度の実施状況等に関する研究

文献情報

文献番号
201504025A
報告書区分
総括
研究課題名
医療事故調査制度の実施状況等に関する研究
課題番号
H27-特別-指定-025
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
種田 憲一郎(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
1,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の対象となる「医療事故調査制度」は医療の安全を確保することを目的として、平成26年6月、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」に含まれる医療法の一部改正案として成立し、平成27 年10 月に施行された。同法の附則第2 条第2 項において公布後2 年以内に、事故調査制度の実施状況を勘案し、本制度による報告、医療事故調査及び医療事故調査・支援センター(以下、センターとする)の在り方を検討し、必要な措置を講ずることとされている。そのため、本研究では医療事故調査制度の見直しの検討のための基礎資料を収集、整理することを目的とした。
研究方法
平成27 年10 月から平成28 年2 月末までにセンターに集積された情報、およびセンターからの委託によって実施された研修会のアンケート調査から得た情報について分析を行った。
(倫理面への配慮)
本研究においては全て匿名化された情報のみを分析対象とし、個人情報を扱わない。また情報の利用の際には、日本医療安全調査機構が定めた守秘義務や情報公開等の各種規定を遵守し、医療機関との関係に充分配慮して適切な情報利用を行った。
結果と考察
(結果)死亡事故発生時に報告される医療機関事故報告は平成28年2月末までに140 件、事故分析終了後に報告される院内調査結果報告書は33 件であった(報告書 資料Ⅰ-2頁)。事例の報告件数については地域間に差があり(報告書 資料Ⅰ-11頁)、提出された院内調査結果報告書からはその質についてもバラツキがあった(報告書 資料Ⅰ-58~62頁)。研究対象期間が5ケ月間と短く、また報告事例そのものを公開して検討できないなど研究方法に限界があるものの、報告された事例の中には、再発防止へとつなげるためには、十分な情報が得られていない事例があることなどが示唆された。
(考察)
本制度が開始されて間もないため、結果の解釈には限界があるが、アンケート結果などからは本制度の目的も含めた周知が十分ではない可能性があることや、院内組織体制が有効に機能していない可能性があること、「事故」という名称から報告しにくいと感じている病院管理者をはじめとする関係者が少なくないこと、などが考えられた。今後の取組みとして、センターへ収集された情報の継続的な分析、報告の参考となる優良事例の共有を行う仕組み、遺族からの相談内容等の医療機関への伝達、医療事故調査等支援団体間の協議の場の設定、継続した制度の理解と実践を推進する取組みなどを検討することが必要である。
結論
本研究は平成27 年10 月に施行された事故調査制度による報告、医療事故調査及び医療事故調査・支援センターの在り方を検討するための基礎資料を収集、整理することを目的とした。本制度が開始されて間もないため、結果の解釈には限界があるが、本制度の目的も含めた周知が十分ではない可能性、院内組織体制が有効に機能していない可能性、「事故」という名称から報告しにくいと感じている病院管理者をはじめとする関係者が少なくないこと、などが考えられた。今後の取組みとして、センターへ収集された情報の継続的な分析、報告の参考となる優良事例の共有を行う仕組み、遺族からの相談内容等の医療機関への伝達、医療事故調査等支援団体間の協議の場の設定、継続した制度の理解と実践を推進する取組みなどを検討することが必要である。

公開日・更新日

公開日
2016-07-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201504025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療安全はWHOやOECDにおいては議題として取り上げられ国際的にも関心が高く、また国内においても特定機能病院における医療安全の管理体制が見直されるなど関心が高く、他にはない研究であることから学術的にも新規性があり、本研究結果は今後の医療安全の推進に寄与するものと考える。
臨床的観点からの成果
臨床現場における医療安全の取組みを推進する上で、平成27 年10 月に施行された事故調査制度による報告等の現状を取りまとめた本研究結果は参考となるものと考える。
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
他では得られない研究結果であり、研究成果の一部は、本制度の一部改正の検討に資する基礎資料、およびセンターにおける制度開始後の初めての1年間の報告や年次報告書の様式を整える基礎的な分析方法として活用された。行政的意義のある成果が得られたと考える。
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
種田憲一郎、他.医療事故調査制度の実施状況等に関する研究.医療の質・安全学会 第11回学術総会;2016.11.19‐20;千葉.医療の質・安全学会プログラム・抄録集 2016.p. 255.
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2016-07-04
更新日
2019-06-06

収支報告書

文献番号
201504025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,800,000円
(2)補助金確定額
1,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,461,094円
人件費・謝金 216,938円
旅費 67,216円
その他 52,874円
間接経費 0円
合計 1,798,122円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2016-07-04
更新日
-