「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアルc」を用いた家族への情報提供に関する研究

文献情報

文献番号
201504022A
報告書区分
総括
研究課題名
「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアルc」を用いた家族への情報提供に関する研究
課題番号
H27-特別-指定-022
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
荒井 由美子(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 長寿政策科学研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
1,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自動車運転によって支えられてきた、認知症高齢者及び家族の日常生活をどのように維持するのかについての研究を、本研究事業の研究代表者は、継続して実施している。これまでに認知症高齢者の自動車運転の運転免許の取消し申請、又は取消し等処分後の「社会支援のあり方」について、平成19年より3年間にわたり、厚生労働科学研究費補助金による研究事業を行った。同研究事業では、社会医学的及び精神医学的観点から、認知症が原因となる運転時のリスク、運転継続が望ましくない状態になった場合の対応、また、認知症高齢者が運転免許の取消し申請、又は取消し等処分に至る過程でのさまざまな課題とその社会支援策に係る検討を行った。この研究の成果を、「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル」(以下「本マニュアル」と記載)にまとめ、本マニュアルの国民への周知を企図し、当研究部のウェブサイトから、pdfファイルの無償ダウンロードによる利用を可能とした。その結果、本マニュアルは、(社)認知症の人と家族の会のみならず、厚生労働省の認知症サポート医養成研修、及び、かかりつけ医認知症対応力向上研修のテキストにも活用され、また、関係機関である、警察庁及び都道府県警察、さらには、各地方自治体において周知されていた。加えて、NHK総合テレビ及び複数の全国紙、約50の地方紙が紹介している等、本マニュアルに対して、国民による幅広い関心が向けられていることが明らかになっている。今後、改正道路交通法の施行により、認知症等による運転免許の取消し申請、又は取消し等処分を余儀なくされる高齢者数の増加が予測され、且つ、当該事案に対する国民の関心も、さらに高まることが予想される。そこで、本研究事業では、「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル」に対し、当事者(本研究では、認知症高齢者の家族)に対して、必要充分な情報提供を行っているかどうかを把握し、且つ、研究代表者や共同執筆者らが得た知見をもとに、現時点における本マニュアルに対する必要充分な改訂を行い、第二版を作成することを目的とした。
研究方法
これまでに研究代表者のもとに寄せられた、当該「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル」(以下、「家族介護者支援マニュアル(第一版)」と記載)に対する利用者(家族介護者、精神科医、神経内科医、老年内科医、ケアマネージャー、訪問看護師等)からの意見を参考に、研究代表者が、「家族介護者支援マニュアル(第二版)」作成に向けて、第一修正案を作成した。この第一修正案を、当該「家族介護者支援マニュアル(第一版)」の共同執筆者らに提示し、共同執筆者らとの複数回の意見交換を行い、その結果を踏まえて第二修正案を作成した。
上述の作業と並行して、当該「家族介護者支援マニュアル(第一版)」が、当事者(本研究では、認知症高齢者の家族介護者)に対して、必要充分な情報提供を行っているかどうかを把握することに努めた。
結果と考察
家族介護者らの見解を踏まえ、共同執筆者らと複数回の意見交換を行った上で、「家族介護者支援マニュアル(第二版)」を作成した。
本事業により、認知症の人と家族の会のみならず、厚生労働省の認知症サポート医養成研修、及び、かかりつけ医認知症対応力向上研修のテキストにおいて活用され、また、関係機関である、警察庁及び都道府県警察、さらには、各地方自治体において周知されているなど、これまで国民から広く関心を集めている「認知症高齢者の自動車運転を考える家族介護者のための支援マニュアル」が、
1)当事者(本研究では、認知症高齢者の家族)に対して、必要充分な情報提供を行っているかどうかを把握することができた。
2)研究代表者や共同執筆者らが得た知見をもとに、上述の1)を踏まえ、現時点において本マニュアルに対する、当事者にとっての必要充分な修正を行った上で第二版を作成することができた。加えて、今後、厚生労働省担当部局の協力のもと、この第二版について、さらなる普及を視野に入れた活動を行うことで、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が目指す、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の構築に資することができると考えられた。
結論
本マニュアルの第二版を作成することで、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が目指す、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の構築に資することができると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2016-05-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201504022C

収支報告書

文献番号
201504022Z