文献情報
文献番号
201504019A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床研究の実施状況管理のためのデータベースに関する研究
課題番号
H27-特別-指定-019
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 元(国立保健医療科学院 政策技術評価研究部)
研究分担者(所属機関)
- 水島 洋(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
- 藤井 仁(国立保健医療科学院 政策技術評価研究部 )
- 湯川 慶子(国立保健医療科学院 政策技術評価研究部)
- 佐々木 美絵(国立保健医療科学院 政策技術評価研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
7,040,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
臨床研究新法の情報基盤となるデータベース(DB)のあり方を検討することを目的とする。具体的には、海外の事例について適宜参照しつつ、厚生労働省やPMDAから管理可能で安全・効率的なシステムについて検討を加え、臨床研究概要の報告様式とデータフォーマットを提案する。
研究方法
主に米国、欧州における先行したレジストリの運用状況につき、Web上で公開されている情報から我が国の限定公開型の臨床研究データベースに組み込むべき情報について検討した。また必要に応じて、直接それらの担当者から聞き取り調査を実施した。国内ではPMDA、日本製薬工業協会等から同様の聞き取り調査をした。
(倫理面への配慮)
本研究はデータベースの仕様に関する研究であり、倫理的な問題は生じえない。
(倫理面への配慮)
本研究はデータベースの仕様に関する研究であり、倫理的な問題は生じえない。
結果と考察
調査結果から、具体的な項目、データの型、連携すべきデータベース、各データベース間の突合をするための鍵となる情報、セキュリティの使用等が明らかになり、それを元にした要件定義書、仕様書が完成した。
臨床試験の登録範囲、登録項目の範囲、情報システムの運営主体、利用者範囲の変更に柔軟に対応可能な仕様とした。また、情報セキュリティー、入出力インターフェイルの利便性などにも配慮した。
本研究で作成した仕様書・要件定義書は今後の新法や制度の変更に対応しうる柔軟なものであり、その政策的な価値は高い。
日本で検討されている臨床情報管理のデータベースに関して、FDAやEMAもシステム構築を継続して検討している可能性があり、今後とも情報収集が重要である。現在、乱立する臨床研究データベース間での調整や整合性はなく、DNAデータベースが日欧米で協調的に運用されているように、臨床研究のデータベースも国際的に協調する仕組みが必要である。
現在の公開を前提としたJPRNによる臨床試験DBから独立した新DB構築の合理性については、主として開発中薬剤の特許情報保護の観点から論じられることが多い。また、情報の漏えいの危険が大きな欠点であり懸念されている。しかし、独立した別DBを構築・維持管理すること、さらには、現在のように多様な臨床試験に関する情報が一元的な形式・方法で管理されていない状況は、情報の入力、管理、利用に際しての非効率を生じている/生ずることは問題である。
これらの問題を解決するためには、暫定的に公開DBとは別個に非公開型DB(あるいは非公開情報への紐付けを可能にするDBに加えて、非公開情報DB)を設置)することが簡便な対応となろうが、将来的には、情報管理に責任を有する(公的)機関が、非公開・公開情報の両者を一括管理し、公開情報部分については(現在のJPRNによるもののように)一般公開に供し、非公開情報部分については限られた行政目的に供する、といった統合型のDBの設置・運営が検討に値するものであろう。
新DBの利用者・管理者側のセキュリティポリシーはいずれも「政府機関のセキュリティ対策のための統一基準」を基底としており、内容が相似しているため統合は比較的容易であると考えられる。しかし、情報の送信者側となる大学等のセキュリティポリシーにはひな形となるものがなく、各機関が独自に策定しているため、将来的なポリシー統合の障壁となりうる可能性がある。これについては、産学官が準拠すべきセキュリティ基準の検討を進めるべきと考えられた。
臨床試験の登録範囲、登録項目の範囲、情報システムの運営主体、利用者範囲の変更に柔軟に対応可能な仕様とした。また、情報セキュリティー、入出力インターフェイルの利便性などにも配慮した。
本研究で作成した仕様書・要件定義書は今後の新法や制度の変更に対応しうる柔軟なものであり、その政策的な価値は高い。
日本で検討されている臨床情報管理のデータベースに関して、FDAやEMAもシステム構築を継続して検討している可能性があり、今後とも情報収集が重要である。現在、乱立する臨床研究データベース間での調整や整合性はなく、DNAデータベースが日欧米で協調的に運用されているように、臨床研究のデータベースも国際的に協調する仕組みが必要である。
現在の公開を前提としたJPRNによる臨床試験DBから独立した新DB構築の合理性については、主として開発中薬剤の特許情報保護の観点から論じられることが多い。また、情報の漏えいの危険が大きな欠点であり懸念されている。しかし、独立した別DBを構築・維持管理すること、さらには、現在のように多様な臨床試験に関する情報が一元的な形式・方法で管理されていない状況は、情報の入力、管理、利用に際しての非効率を生じている/生ずることは問題である。
これらの問題を解決するためには、暫定的に公開DBとは別個に非公開型DB(あるいは非公開情報への紐付けを可能にするDBに加えて、非公開情報DB)を設置)することが簡便な対応となろうが、将来的には、情報管理に責任を有する(公的)機関が、非公開・公開情報の両者を一括管理し、公開情報部分については(現在のJPRNによるもののように)一般公開に供し、非公開情報部分については限られた行政目的に供する、といった統合型のDBの設置・運営が検討に値するものであろう。
新DBの利用者・管理者側のセキュリティポリシーはいずれも「政府機関のセキュリティ対策のための統一基準」を基底としており、内容が相似しているため統合は比較的容易であると考えられる。しかし、情報の送信者側となる大学等のセキュリティポリシーにはひな形となるものがなく、各機関が独自に策定しているため、将来的なポリシー統合の障壁となりうる可能性がある。これについては、産学官が準拠すべきセキュリティ基準の検討を進めるべきと考えられた。
結論
本研究により、臨床研究新法の情報基盤となるシステムのひな型が設計された。
公開日・更新日
公開日
2016-10-25
更新日
-