文献情報
文献番号
201504015A
報告書区分
総括
研究課題名
ICFの普及推進のためのICF評価セット(日本版)および生活機能評価システムの作成
課題番号
H27-特別-指定-015
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
向野 雅彦(藤田保健衛生大学 医学部 リハビリテーション医学I講座)
研究分担者(所属機関)
- 出江 紳一(東北大学大学院医工学研究科 リハビリテーション医工学分野)
- 才藤 栄一(藤田保健衛生大学 医学部 リハビリテーション医学I講座)
- 園田 茂(藤田保健衛生大学 医学部 リハビリテーション医学II講座)
- 水間 正澄(医療法人社団輝生会教育研修局)
- 山田 深(杏林大学医学部リハビリテーション医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
2,088,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
国際生活機能分類(以下ICF)は世界保健機関(WHO)により、2001年に採択された。ICFは、全体で1500近い評価項目から構成され、生活機能に関わる領域を網羅的にカバーし、生活機能に関わる詳細な記載が可能である。
ICFは評価表として用いることが想定され、評点(qualifier)の基準が提示されているが、実際には現在我が国のみならず国際的にもICFの項目分類は臨床にあまり普及していないのが現状である。
本研究の目的は、日本において速やかかつより多くの施設への普及・推進を目指し、これまでのようにICFの項目を評価表としてそのまま使用するだけではなく、先行研究が提示している基準に則った上で従来臨床において使用されている評価スケールを用いて情報収集を行う仕組みを構築し、既存の評価表との連携をベースとしたICF評価セット(日本版)を作成することである。
ICFは評価表として用いることが想定され、評点(qualifier)の基準が提示されているが、実際には現在我が国のみならず国際的にもICFの項目分類は臨床にあまり普及していないのが現状である。
本研究の目的は、日本において速やかかつより多くの施設への普及・推進を目指し、これまでのようにICFの項目を評価表としてそのまま使用するだけではなく、先行研究が提示している基準に則った上で従来臨床において使用されている評価スケールを用いて情報収集を行う仕組みを構築し、既存の評価表との連携をベースとしたICF評価セット(日本版)を作成することである。
研究方法
本研究ではまずこれまで我が国で行われてきたICF研究のオーバービューを行った。厚生労働省科研費データベースに登録されているICFに関わる研究および日本におけるICFの先行論文の検索を行い、レビューを施行した。その所見を踏まえ、ICF評価セット(日本版)の検討の基礎となるリスト(A)を作成した。
一方で、日常生活活動の評価尺度であるFunctional Independence Measure (FIM)、および基本動作能力の評価尺度であるAbility for Basic Movement Scale II (ABMSII)を始めとする、現在日本のリハビリテーション医療において用いられている評価スケールを選定し、これらのスケールによって情報収集が可能なICF項目のリスト(B)を作成した。この二つのリストの照合によって、AのリストのうちBによって充足されない項目について、追加の質問表を作成し、Aのリストを全て充足する評価表のβ版を作成した。さらに、この評価表を基に、情報収集のための評価用ソフトウェアの作成に取り組んだ。作成にあたっては、データベースソフト(ファイルメーカー)を使用した。
一方で、日常生活活動の評価尺度であるFunctional Independence Measure (FIM)、および基本動作能力の評価尺度であるAbility for Basic Movement Scale II (ABMSII)を始めとする、現在日本のリハビリテーション医療において用いられている評価スケールを選定し、これらのスケールによって情報収集が可能なICF項目のリスト(B)を作成した。この二つのリストの照合によって、AのリストのうちBによって充足されない項目について、追加の質問表を作成し、Aのリストを全て充足する評価表のβ版を作成した。さらに、この評価表を基に、情報収集のための評価用ソフトウェアの作成に取り組んだ。作成にあたっては、データベースソフト(ファイルメーカー)を使用した。
結果と考察
先行研究のレビューにおいては、2005年以降、毎年2~8編の発表がコンスタントになされていたが、ICFに基づいて作成された独自の評価表についての研究が多くを占めており、英文による情報発信は限定的であった。ICFの普及に関する国際的共同研究が数多く行われている現状にあっては、独自の仕組みの開発だけでなく、国際的な取り組みとの整合性も重要となると考えられた。
そのため本研究では、我が国の臨床で用いられている『リハビリテーション総合実施計画書』より項目を抽出することに加え、ICFコアセットのRehabilitation set、Generic set (一般セット)の項目を評価項目として採用し、リスト(A)とした。これらのコアセットは、疾患を超えた共通の評価の枠組みとして、先行研究において計量心理学的な手法を用いて開発されたもので、国際的な共同研究によって臨床への適応可能性が現在検討されているものである。
一方、リスト(B)の作成にあたっては、既存の評価表より、FIM、ABMSIIに加え、Stroke impairment assessment set (SIAS), NYHA分類など様々な評価スケールもしくは分類を採用した。リンク表については複数の研究者が独立して行い、相違点は合議によりリンクする項目を最終的に決定した。相当するスケールがない項目については、新たに質問表を作成した。
これらのリストを用いて、データベースソフトウェア上で、評価表および質問紙等の入力により、リンクするICFのデータとして蓄積され、カンファレンスシートなどの臨床用のツールとも連携する仕組みを作成した。現在予備的な検討として協力病院にソフトウェアを配布し、フィールドテストの準備中である。
そのため本研究では、我が国の臨床で用いられている『リハビリテーション総合実施計画書』より項目を抽出することに加え、ICFコアセットのRehabilitation set、Generic set (一般セット)の項目を評価項目として採用し、リスト(A)とした。これらのコアセットは、疾患を超えた共通の評価の枠組みとして、先行研究において計量心理学的な手法を用いて開発されたもので、国際的な共同研究によって臨床への適応可能性が現在検討されているものである。
一方、リスト(B)の作成にあたっては、既存の評価表より、FIM、ABMSIIに加え、Stroke impairment assessment set (SIAS), NYHA分類など様々な評価スケールもしくは分類を採用した。リンク表については複数の研究者が独立して行い、相違点は合議によりリンクする項目を最終的に決定した。相当するスケールがない項目については、新たに質問表を作成した。
これらのリストを用いて、データベースソフトウェア上で、評価表および質問紙等の入力により、リンクするICFのデータとして蓄積され、カンファレンスシートなどの臨床用のツールとも連携する仕組みを作成した。現在予備的な検討として協力病院にソフトウェアを配布し、フィールドテストの準備中である。
結論
本研究においては、ICF評価セット(日本版)の作成と、臨床へのICFの使用を促進するための情報収集ツールの作成を行った。今後フィールドテストを経て、科学的な妥当性を有するICF評価セット日本版の完成を目指す予定である。
公開日・更新日
公開日
2016-05-25
更新日
-