文献情報
文献番号
201503004A
報告書区分
総括
研究課題名
持続可能性と科学的根拠に基づく保健関連ポストミレニアム開発目標の指標決定のプロセス分析と評価枠組みに関する研究
課題番号
H27-地球規模-一般-002
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宏子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究分担者(所属機関)
- 欅田 尚樹(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
- 石川 みどり(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
- 冨田 奈穂子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
- 下ヶ橋 雅樹(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
持続可能性の見地から、さらに重要性が高まっている「水管理」と「食料・栄養」に加え、新たな世界的な健康課題である「非感染性疾患(NCD)」と、健康格差の縮小に有効な手段である「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」、未だ解決されていない課題である「小児保健」に焦点をあて、国連ミレニアム開発宣言(MDGs)から持続可能な開発目標(SDGs)に至るプロセスを分析し、今後の計画ならびに評価に寄与する取り組み案を提示することである。
研究方法
本年度は、関連文献やWHO・UNICEFなどの2次データを分析することにより、水管理、食料・栄養、NCD(たばこ対策を含む)、UHCならびに小児保健といったSDGsでの重要分野の現状把握と課題分析を行った。併せて、MDGsからSDGsへの移行期におけるモニタリング指標設定に関する一連のプロセスについて分析を行った。
結果と考察
(1)MDGsからSDGsへの移行プロセス評価とモニタリング指標
MDGs からSDGs への移行期における公的文書や学術論文の動向についてレビューを行った。特に、国連の統計委員会へのモニタリング指標の最終提出案を踏まえ、SDGs のモニタリング・評価指標の策定動向について重点的に分析した。併せて、MDGsからSDGsへの移行期における関連の学術文献の状況を調べたところ、その約4割が小児保健に関連するものであった。
(2)国連機関の食・栄養政策、食事・栄養素等基準に関する研究
これまでのWHO、FAO、UNICEF といった国際機関の食・栄養政策の一連の動きをレビューし、「食・栄養政策の枠組」「食事・栄養素等摂取基準」「情報システム」の3 分野についてまとめた。その結果、2000年代は栄養不良の二重負荷(栄養不足と栄養過多)が、2010年以降は生活習慣病対策、栄養格差の縮小などについて提言がなされていた。
(3)NCD関連指標に関する研究
NCD 対策については、世界各国のNational Health
Plan を用いた分析から、NCD 対策を国家レベルでの健康施策にどのように位置づけてい
るかを調べた。その結果、今回の調査対象国において、国家所得レベルとNCD予防に関する記載との間には有意な関連性は認められなかった。
(4)たばこ規制枠組み条約(FCTC)への取り組み状況
FCTCに基づく各国の取り組み状況についてもレビューを行った。中所得国であってもトルコではFCTCガイドラインに基づく目標達成率が高かった。
(5)UHC導入の影響要因についての分析
我が国の国民皆保険達成に至る経験から提示し得るUHC モニタリング指標の検討や、それら指標の具体的数値の変化を分析するために利用可能性のある既存の統計資料について整理した。
(6)小児保健に関する分析
MDGs における母子保健関連の目標の達成状況の分析等を行った。MDGsにおける小児保健目標は未達であるが、小児保健を取り巻く課題と概念の変化について概説した。
(7)飲料水安全性の世界的分布の把握
水衛生に関連するMDGs の達成とポストMDGs を取り巻く状況を整理し,さらに各国のMDGs 指標類の変化状況を成長関数によりフィッティングした。MDGsでの「水衛生」関連指標の達成による保健関連指標の改善について、数値解析を行い両者間の関連性について明らかにした。
MDGs からSDGs への移行期における公的文書や学術論文の動向についてレビューを行った。特に、国連の統計委員会へのモニタリング指標の最終提出案を踏まえ、SDGs のモニタリング・評価指標の策定動向について重点的に分析した。併せて、MDGsからSDGsへの移行期における関連の学術文献の状況を調べたところ、その約4割が小児保健に関連するものであった。
(2)国連機関の食・栄養政策、食事・栄養素等基準に関する研究
これまでのWHO、FAO、UNICEF といった国際機関の食・栄養政策の一連の動きをレビューし、「食・栄養政策の枠組」「食事・栄養素等摂取基準」「情報システム」の3 分野についてまとめた。その結果、2000年代は栄養不良の二重負荷(栄養不足と栄養過多)が、2010年以降は生活習慣病対策、栄養格差の縮小などについて提言がなされていた。
(3)NCD関連指標に関する研究
NCD 対策については、世界各国のNational Health
Plan を用いた分析から、NCD 対策を国家レベルでの健康施策にどのように位置づけてい
るかを調べた。その結果、今回の調査対象国において、国家所得レベルとNCD予防に関する記載との間には有意な関連性は認められなかった。
(4)たばこ規制枠組み条約(FCTC)への取り組み状況
FCTCに基づく各国の取り組み状況についてもレビューを行った。中所得国であってもトルコではFCTCガイドラインに基づく目標達成率が高かった。
(5)UHC導入の影響要因についての分析
我が国の国民皆保険達成に至る経験から提示し得るUHC モニタリング指標の検討や、それら指標の具体的数値の変化を分析するために利用可能性のある既存の統計資料について整理した。
(6)小児保健に関する分析
MDGs における母子保健関連の目標の達成状況の分析等を行った。MDGsにおける小児保健目標は未達であるが、小児保健を取り巻く課題と概念の変化について概説した。
(7)飲料水安全性の世界的分布の把握
水衛生に関連するMDGs の達成とポストMDGs を取り巻く状況を整理し,さらに各国のMDGs 指標類の変化状況を成長関数によりフィッティングした。MDGsでの「水衛生」関連指標の達成による保健関連指標の改善について、数値解析を行い両者間の関連性について明らかにした。
結論
二次資料・データを用いた解析を行うことにより、SDGs のGoal2・3・6について、これまでの世界レベル対策の系時的分析とその効果の可視化を行った。その結果、わが国がこれまで蓄積してきた栄養対策、健康づくり対策、水衛生対策の知見・経験はSDGs 達成に大きく寄与することが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2016-05-24
更新日
-