「疾病、傷害及び死因統計分類」の変更がわが国の厚生統計に与える影響に関する研究

文献情報

文献番号
201502004A
報告書区分
総括
研究課題名
「疾病、傷害及び死因統計分類」の変更がわが国の厚生統計に与える影響に関する研究
課題番号
H27-統計-一般-002
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
緒方 裕光(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 水島 洋(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
  • 佐藤 洋子(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
1,141,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の変更や部分的な修正などによる分類方法の変更によって、分類変更の前後で特定の分類項目に関して見かけ上の統計数値の増減(不連続)が生ずる。このことは、我が国において関連する統計データの相互の整合性、国際比較可能性、正確性などの低下の原因となる。厚生労働統計の有用性を高めるためには、このような分類変更に伴う影響を合理的な方法で評価し、将来推計やデータ比較の際に適切な補正を行う必要がある。
本研究では、分類変更の厚生労働統計への影響を定量的に把握することを目的として、分類変更前後の変化を時系列的かつ統計学的に推定するためのモデル及び方法論を検討・提案し、この方法に基づき、分類変更が人口動態統計や患者調査などへ与える影響を定量的に評価する。本研究は、主にモデル構築とその妥当性の検証、およびモデルによる変更の影響評価からなる。2年計画の初年度(平成27年度)には、主にモデルの構築及びその適用可能性の検討を行い、平成28年度にはモデルの妥当性の検証を行った上で、分類変更が実際に患者調査などへ与える影響の評価を行う。
研究方法
本研究では、分類変更前の変化を時系列的に見ることにより分類変更による真の影響を統計学的に推定し、分類変更時の各分類コードの対応に関する情報を利用してその影響を定量的に把握する方法を提示する。
平成27年度における具体的な研究方法は以下の通りである。
1)統計的モデルの構築
モデル化にあたっては、いくつかの基本的パターンを考慮して、想定される変数間の関係性を組み込んだ単純モデルを仮定する。この際、統計的なバラツキを考慮しつつ、分類変更がない場合のこれらの時間的変動をモデル化する。
2)モデルの適用性の検証(シミュレーション)
統計学的にある程度のバラツキと傾向性を持つ仮想データを生成し、基本的な分類変更パターンについて、上記モデルの適用可能性を検証する。この際、時間的な変動についてはいくつかの時系列モデルの適用を試みる。
3)実際のデータへの適用
モデルの実際のデータへの適用の際の課題を検討するため、予備的検討として、入手可能なデータを用いて、分類変更の前後数年間の時系列データに上記モデルの適用を行い、実際の分類変更の影響について統計学的評価を行う。
結果と考察
平成27年度には、統計的モデルの構築を行い、分類変更時の不連続の検出、モデルの適用性評価などを行った。主な結果は以下の通りである。
1)モデルの構築
基本的な分類変更のパターンを想定し、必要なパラメータを組み込んだモデルを構築した。
2)シミュレーションデータによるモデルの適用性の検証
統計学的にある程度のバラツキと傾向性を持つ仮想データを生成し、上記モデルの適用可能性を検証した。この際、時間的な変動についてはいくつかの時系列モデルの適用を試みた。その結果、基本的な分類変更パターンについては、十分に適用可能であることを確認した。
3)実際のデータへの適用
2003年に分類変更が行われた難治性疾患の例について、2001年から2008年の集計データを用いて上記モデルの適用を行った。この際、2003年以前のデータに基づき2004年以降の予測を行い、実際のデータと比較することによって予測精度を確認した。その結果、分類変更パターンによっては大きな誤差を生じる場合があることがわかった。

本年度では、主にモデル構築とその適用性の検証を行った。モデル構築の最初の段階としては現実の状況を記号的に明示化することが重要であり、本研究で提示したモデルは基本的な分類変更パターンについては十分対応可能であると思われる。しかしながら、現実の分類変更には複数のパターンの多様な組み合わせが存在しており、これらのすべての組み合わせに対応できるかどうかを検討していく必要がある。
また、分類変更の際には、コーディングのエラーに起因するデータの変動もあり、実際のデータへモデルを適用することによりそれらの変動要因を統計学的に考察する際の根拠にもなりうる。
結論
本年度では分類変更の基本的パターンに基づき、その影響を評価するためのモデル構築を行った。さらにシミュレーションや実データの解析を通じてモデルの適用可能性を検討した。その結果、基本的な分類変更のパターンについては、変更後の予測や統計的評価において有用であることを示した。

公開日・更新日

公開日
2016-06-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201502004Z