文献情報
文献番号
201501006A
報告書区分
総括
研究課題名
国際生活機能分類児童版(ICF-CY)の妥当性に関する研究
課題番号
H26-政策-一般-002
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 圭司(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 発達評価センター、臓器・運動器病態外科部リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
- 内川 伸一(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部整形外科 )
- 上出 杏里(後藤 杏里) (国立障害者リハビリテーションセンター 病院第一診療部)
- 安保 雅博(東京慈恵会医科大学 リハビリテーション医学講座)
- 山田 深(杏林大学医学部 リハビリテーション医学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
4,100,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動
研究分担者
上出 杏里(後藤 杏里)
国立研究開発法人国立成育医療研究センター(平成27年4月1日~27年12月31日)→国立障害者リハビリテーションセンター(平成28年1月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
ICF;International Classification of Functioning, Disability and Healthは生活機能という包括的な枠組みで「身体的、精神的、社会的安定」全体を捉えるものでありICDとICFの両者を活用することが「病を診る」のみならず「人を癒す」ことの実現につながる。
本研究の目的は、ICFの成り立ち及びの概要についてレヴューするとともに、国際的動向を明らかにし、小児(障害を有する児を含む)等を対象に今後期待されるICF活用の可能性について考察することである。
本研究の目的は、ICFの成り立ち及びの概要についてレヴューするとともに、国際的動向を明らかにし、小児(障害を有する児を含む)等を対象に今後期待されるICF活用の可能性について考察することである。
研究方法
近年、成育医療における成果の指標として小児の社会参加や生活活動の評価の必要性が求められており、国際生活機能分類児童版(ICF-CY)の構造における「活動」と「参加」に基づいたその両方の指標となるような簡易的評価尺度の開発が望まれる。そこで、本研究では誰もが簡便に評価できる小児の活動・社会参加評価尺度Ability for basic physical activity scale for children(ABPS-C)、小児言語コミュニケーション評価スケールABLS-C (Ability for Basic Language and communication Scale for Children)を作成した。
ABPS-Cは主に児童や幼児を対象に運動能力、活動度や社会参加状況を簡便に評価するための現在試案中の評価スケールである。ABPS-Cは、基本動作、セルフケア、活動性、学校生活、余暇活動の項目から構成され、それぞれ国際生活機能分類児童版(ICF-CY)のd450(歩行)、d230(日課の遂行)、d455(移動)、d820(学校教育)、d920(レクリエーションとレジャー)と概念的、内容的に合致するものと想定される。
ABPS-Cは主に児童や幼児を対象に運動能力、活動度や社会参加状況を簡便に評価するための現在試案中の評価スケールである。ABPS-Cは、基本動作、セルフケア、活動性、学校生活、余暇活動の項目から構成され、それぞれ国際生活機能分類児童版(ICF-CY)のd450(歩行)、d230(日課の遂行)、d455(移動)、d820(学校教育)、d920(レクリエーションとレジャー)と概念的、内容的に合致するものと想定される。
結果と考察
昨年度までは、ABPS-C学童期版及びABLS-Cの妥当性と信頼性の検証を行ってきた。妥当性の検証では、日常活動度の評価の一つであるECOG(米国腫瘍学団体の一つ)が定めたPerformance Status:PSとLansky Performance Status:LPS、日常生活動作能力全般の評価であるthe Functional Independence Measure for Children(WeeFIM)、小児の社会参加の指標となるChild and Adolescent Scale of Participation:CASPの結果とABPS-Cとの相関関係を調査した結果、ABPS-C総得点、下位項目共に、いずれの評価とも有意な相関を認めた。また、全症例のABLS-Cスコアの平均は10.29点、知的発達の遅れがある群(N=19)では9.11点、知的発達の遅れがない群(N=16)では11.69点、自閉症スペクトラム児では(N=5)8.8点であった。言語的問題が明らかである群では(LS70以下と定義)新版K式の言語領域スコアとABLS-Cの総スコアは有意に低かった。
本年度は、英国マンチェスターで開催されたWHO-FIC年次会議において、ABPS-Cと新版K式発達検査との関連を検討した結果をポスター発表した。
本年度は、英国マンチェスターで開催されたWHO-FIC年次会議において、ABPS-Cと新版K式発達検査との関連を検討した結果をポスター発表した。
結論
今後、日常生活活動度に影響を与える要因の検討に加え、ABPS-C、ABLS-Cを用いた評価を国際間比較することでICF-CYの活用促進の一助としたい。
公開日・更新日
公開日
2016-11-11
更新日
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