文献情報
文献番号
201501005A
報告書区分
総括
研究課題名
医療情報の活用のための疾病及び関連保健問題の国際統計分類のあり方に関する研究
課題番号
H26-政策-一般-001
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 中野 隆史(群馬大学大学院医学系研究科病態腫瘍制御学講座)
- 今井 健(東京大学大学院医学系研究科 疾患生命工学センター)
- 中谷 純(東北大学大学院 医学系研究科 医学情報学分野)
- 興梠 貴英(自治医科大学・企画経営部医療情報部)
- 小川 俊夫(国際医療福祉大学大学院 医療福祉学研究科)
- 田嶼 尚子(東京慈恵会医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
7,880,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ICD(International Classification of Disease、国際疾病分類)は、死亡統計や患者調査、DPCなど医療情報全般において活用される重要な分類体系であり、わが国のみならず各国で幅広く活用されている。2007年より、現行のICD-10からICD-11への改訂作業がWHOにより行われており、わが国も内科分野を中心に改訂作業に参加している。本研究は、ICD-11をわが国としてより適切なものとすべく、医療における情報活用を行ううえで適切な疾病分類をとりまとめ、WHOへのわが国の対応に資する基礎資料を作成することを目的として実施する。
研究方法
本研究は、研究年度を通じてICD改訂作業の最新動向をWHO主催の各種会議等に参加して収集・分析したうえで、わが国としての対応について検討する。また、国内内科TAG検討会および国内腫瘍TAG検討会を組織してICD改訂に対するわが国の様々な意見を集約し、国際会議などの場で意見発信を行う。今年度は、WHOが開催したWHO-FICネットワーク会議や内科TAG対面会議に参加して、ICD改訂の最新の状況を把握した。また、国内内科TAG検討会および国内腫瘍TAG検討会を組織してわが国の様々な意見を集約し、国際会議などの場で意見発信を行った。特に、完成に向けて作業が進む疾病・死因合同リニアライゼーション(JLMMS : joint linearization for mortality and morbidity statistics)に関する情報収集と意見集約、発信を実施した。
結果と考察
ICD改訂作業の一環として、疾病及び死亡統計に必要な項目を抽出した「疾病・死因合同リニアライゼーション」と呼ばれる分類が作成され、この分類を中心にICD改訂作業が実施されている。内科分野に関しては、このJLMMSの完成に向けて国内の各関連学会の意見を集約し取りまとめて発信した。特に本研究の一環として、JLMMSにおける整合性や重複を中心に検討を行い、大きな修正点についてはWHOや他のTAG/WGとの話し合いを行ったほか、JLMMSの修正については、各WGのマネージングエディタがレビューメカニズムを用いてWHOに提案を行った。また、国際会議への出席やWHO文書の収集などにより取りまとめ、その結果を、第35回医療情報学連合大会(2015年11月、沖縄県宜野湾市)及びWHO-FICネットワーク会議(2015年10月、英国マンチェスター市)において発表した。今年度研究により、JLMMSの構築を明らかにし、JLMMSの完成に向けて国内の各関連学会の意見を集約し取りまとめて発信したことで、ICD改訂作業の進展に大きく寄与した。
結論
今年度は、ICD改訂に向けたWHOの最新動向を調査しつつ、国内内科TAG検討会、国内腫瘍TAG検討会とも情報共有を行い、その対応について個別に協議した。特にJLMMSの完成に向けて、情報収集と協議、情報発信を行った。また、WHO内科TAG対面会議やWHO-FIC年次会議やなど国際会議に研究分担者が出席し、改訂に向けた各国の最新状況を把握する中で日本から積極的に提案を行い、大きな成果を上げた。本研究は、国内での検討体制の確立や最新情報の共有、ICD改訂における日本の国際的なプレゼンス向上については概ね目標を達成したといえよう。今後のICD改訂は、2018年の完成に向けてより一層動きが見られると思われることに加え、ICD-11の活用についてより具体的な議論が必要になると考えられる。今後、さらなる議論および緻密なスケジュール管理が必要である。
公開日・更新日
公開日
2016-11-11
更新日
-