非組換え生物薬品(NRBCD)の品質安全性評価法の開発

文献情報

文献番号
201451030A
報告書区分
総括
研究課題名
非組換え生物薬品(NRBCD)の品質安全性評価法の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 琢雄(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 高橋 かより(島田 かより)(国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター 物質計測標準研究部門)
  • 川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 原園 景(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 田中 智之(岡山大学大学院 医歯薬総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【委託費】 医薬品等規制調和・評価研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
非組換え生物薬品(NRBCD:Non-Recombinant Biological Complex Drug)には,血液透析に不可欠なヘパリン類,不妊治療用ホルモン類等があり,近年,医療上の重要性が増している.NRBCDの有効成分は,多糖類,糖タンパク質,生体成分の混合物等であり,複雑である.しかし,NRBCDの複雑な特性に対応した品質管理手法は十分確立されておらず,NRBCDの品質安全性確保に関するガイドライン類も未だ整備されていない.NRBCD後発品の開発には,複雑な特性を考慮した先発品との比較が必要であるが,比較試験の要件も明らかでない.一方で近年,アレルギー治療に用いられるアレルゲン製剤等,より複雑な特性を持つ新たなNRBCD開発品目も増加している.本研究では,NRBCDの複雑な特性に対応した構造・物理的化学的性質,生物活性,及び純度の評価法を開発し,リスク低減に資する品質管理手法を提案することを目的に,医療上重要な非組換え生物薬品の品質安全性評価法の開発を行った.
研究方法
(1)ヘパリン定量法
合成基質を用いた抗IIa活性試験における重要試薬(トロンビン及びアンチトロンビン)の適格性評価について,試験に用いる反応液の吸光度を指標とする方法について検討した.
(2)ヘパリン分子量試験法
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び光学的計測手法用いて,ヘパリンの及び分子量マーカーとしてのプルランの溶出パターンを比較した.
(3)低分子量ヘパリン構造解析法
本邦で承認されている低分子量ヘパリンを試料として,HPAEC-PADを用いた単糖分析を行った.
(4)下垂体性性腺刺激ホルモンの成分分析法
本邦で承認されている下垂体性性腺刺激ホルモン製剤,及び,精製下垂体性性腺刺激ホルモン製剤を試料として,ELISAにより種々のホルモン含量を測定した.
(5)アレルゲン製剤中不純物の評価法
マウス骨髄細胞から皮膚型の成熟マスト細胞し,IgE非依存性の刺激による脱顆粒応答を解析した.また,MrgX2発現細胞を用いて,マスト細胞活性化因子による応答を測定した.
(6)NRBCDの品質管理要件
本研究課題1~5の研究結果,及び,本邦で承認されているNRBCDとして,日局収載品目の各条試験等をもとに,NRBCDの品質管理において留意すべき事項を考察した.
結果と考察
(1)ヘパリン定量法
抗IIa活性を指標としたヘパリン定量法に関し,トロンビン及びアンチトロンビン試薬の特性に応じて,両試薬濃度を最適化する予備試験を設けた試験法を開発し,多機関共同研究によるバリデーションを経て,第十七改正日本薬局方収載原案を作成した.
(2)ヘパリン分子量試験法
ヘパリンの分子量による分離手法の開発のため,SECを適用した分子量に対する高分解能分離を行った.また,分離した試料に対する分子量分析手法の開発のため,分離した狭分子量分布をもつヘパリンに対して光学的計測手法を適用し,分子量の絶対測定ならびSEC等簡易測定法のための分子量マーカーとなる物質の開発を行った.
(3)低分子量ヘパリン構造解析法
第十七改正収載予定の糖鎖試験法で単糖試験法として取り上げられているHPAEC-PADは,低分子量ヘパリンの非還元末端及び還元末端糖を確認する方法としても有用であることを明らかにした.
(4)下垂体性性腺刺激ホルモンの成分分析法
下垂体性性腺刺激ホルモン(HMG)製剤の品質を評価する上で,総タンパク質定量,及び,ELISAによる卵胞刺激ホルモン(FSH),黄体形成ホルモン(LH)及びヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)定量の結果が,有用な指標となることを示した.
(5)アレルゲン製剤中不純物の評価法
マスト細胞の活性化を指標としたアレルゲン製剤中不純物評価に有用な手法として,皮膚型成熟マスト細胞モデル,及び,ヒトMrgX2発現細胞を用いたアゴニストスクリーニング系を確立した.
(6)NRBCDの品質管理要件
NRBCDの品質管理においては,組換えタンパク質医薬品の場合と同様,有効性・安全性確保のために優先管理すべき品質特性を明らかにし,NRBCDの原材料や原薬の複雑な特性を考慮した品質管理戦略を構築することが重要であることを考察した.
結論
医療上重要な非組換え生物薬品(NRBCD)のうち,品質評価・管理に関して課題があると考えられた項目を選択し,(1)ヘパリン定量法,(2)ヘパリン分子量試験法,(3)低分子量ヘパリン構造解析法,(4)下垂体性性腺刺激ホルモンの成分分析法,(5)アレルゲン製剤中不純物の評価法,に関して評価法開発及び評価法の妥当性の検証を行った.また,これらの研究結果を踏まえてNRBCDの品質安全性評価の課題を整理し,既存及び今後開発されるNRBCDの品質管理の要件を明確化した.

公開日・更新日

公開日
2015-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201451030C

収支報告書

文献番号
201451030Z