皮膚適用の医薬品等成分による有害事象の機序解明・予測手法の開発のための研究

文献情報

文献番号
201451025A
報告書区分
総括
研究課題名
皮膚適用の医薬品等成分による有害事象の機序解明・予測手法の開発のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
松永 佳世子(学校法人藤田学園 藤田保健衛生大学 医学部皮膚科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 矢上 晶子(冨高 晶子)(学校法人藤田学園藤田保健衛生大学 医学部皮膚科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【委託費】 医薬品等規制調和・評価研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,020,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、皮膚適用の医薬品等成分による有害事象の機序を解明し、予測手法の開発、すなわち、安全性試験の設定ならびに市販後安全対策において早期発見と原因究明方法の設定を目的としている。平成26年度は1)ロドデノール(RD)誘発性脱色素斑の病態解明結果等をもとに、美白剤開発における安全性試験法設定に役立つ情報を収集分析すること。2)携帯電話被験者管理システムにより、開放連続塗布試験を実施し24時間貼布試験の可否条件を設定することを目標とした。
 今回我々は、ヒト閉鎖貼布試験を行うにあたり安全性を担保するため、またヒトによる連続皮膚刺激性評価法を確立するため、皮膚刺激物質を連続塗布し、誘発される刺激性の評価法を確立することを目的に本研究を開始した。また、携帯電話の写真撮影機能を用いて皮膚反応を撮影・送付することによるモニタリングを行い、携帯電話を用いた皮膚反応の評価法の有用性を検討した。
研究方法
1.RDに関する文献情報、全国疫学調査情報などを収集する。
2.藤田保健衛生大学病院に通院するRD誘発性脱色素斑症例について、(1)年齢(2)使用期間(3)使用量(4)甲状腺自己抗体の有無(5)尋常性白斑の合併(6)病理組織像、とくに色素幹細胞の有無(7)2%RDのパッチテスト結果と脱色素斑の経過との関係を調査項目とした。
1.被験者:成人男女40名 塗布部位に炎症所見のない健常皮膚を条件とした。
2.被験試料:ラウリル硫酸ナトリウム0.5%および1%水溶液
3.21日間連続開放塗布試験を実施した。
4.被験者は、被験物質を1日2回試験部位(利き腕ではない前腕屈側)に濾紙により10分間塗布した。
5.試験部位に異常(軽い紅斑以上)を認めた場合、携帯電話の写真撮影機能を用いて皮疹部位を撮影しデータ管理責任者に電子ファイルを送付した。
6.塗布時間、塗布後の反応については、携帯メールにより連絡し、その答えに皮膚に問題ありの条件で医師に情報が届くよう設定した。痒みあるいは刺激感、明らかな紅斑が塗布面積の半分以上を占めた時に、電話するかメールにより医師より塗布中止の指示を行った。ステロイド外用薬を用意し、塗布するように指示した。生じた皮膚の炎症反応が消退するまで、携帯メールによる送信、医師からの問いかけを実施した。
7.試験開始前、7日後、14日後、21日後に、試験担当者(皮膚科専門医)による判定、写真撮影を実施し、角層水分量とTEWLを測定した。
結果と考察
症例のほとんどは、自主回収2年6か月を経過し、ほぼ治癒あるいは、明らかに軽快している割合が高くなっている。1-1)に関する情報は業績の中に記載しているが、1-2)については、現在症例の経過を追いながら、検討をすすめているので、次年度の報告とする。
被験者の大半に試料物質塗布部位に刺激反応が誘発され、それらの反応は携帯電話の写真撮影機能を用いて撮影され迅速にデータ管理者に送付された。さらにそれらの電子ファイルは試験担当者に送られ、被験者へ連続塗布試験続行の可否を指示することができた。また、角質水分量、TEWLを測定することにより刺激物質塗布部位の経時的な変化を客観的に評価し得た。
今回実施した、“携帯電話を利用した被験者管理による長期使用試験方法”は有効性と安全性を担保するための長期使用試験として活用可能で、被験者の安全性と安心、コンプライアンスを高めること、皮膚における反応(効果や使用感)を定期的に調査し情報を自動登録し分析できることが明らかとなり、本試験は安心、安全、低コストの臨床試験を行うモデルとして提案できる可能性が高いと考えた。
 今回の試験では、被験者の安全性について問題は少なかったが、さらに弱い反応の段階で、紅斑反応が予測できるのではないか、分析をすすめている。
 今回の臨床研究で、さまざまな改善点が浮かび上がった。
1.携帯メールという電子情報だけではなく、試験時に「塗布日記」などを準備し、被験者の記憶を紙で残す安全と安心も確保すべきであった。
2.送付したデータを被験者が閲覧確認できるようする。
3.塗布は一日一回が適切である。
4.クリーム基剤、軟膏基剤の定量的な連続塗布試験方法はなにか。平成27年度には、これらの改善点の対策を試み、携帯電話被験者管理システムによる開放連続塗布試験の標準化が可能と思われた。この連続塗布試験は24時間パッチテストをヒトで行う安全性を担保する。しかも、この試験そのものが、軽度の(あるいは軽微な)紅斑にとどめつつ、その刺激性を評価できるシステムの構築が望まれる。
結論
携帯電話被験者管理システムによる開放連続塗布試験は、ヒトの皮膚一次刺激性および連続皮膚刺激性試験の適切な評価法の確立の一助となり、今後、医薬部外品・薬用化粧品の新規成分の安全性試験として活用できる可能性が高い。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201451025C

収支報告書

文献番号
201451025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,000,000円
(2)補助金確定額
2,929,188円
差引額 [(1)-(2)]
1,070,812円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 668,392円
人件費・謝金 520,000円
旅費 9,950円
その他 1,054,880円
間接経費 675,966円
合計 2,929,188円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-16
更新日
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