小児医薬品及び難病等アンメットニーズ医薬品を含む臨床開発等におけるモデリングとシミュレーションの活用に関連する指針等の作成に関する研究

文献情報

文献番号
201451018A
報告書区分
総括
研究課題名
小児医薬品及び難病等アンメットニーズ医薬品を含む臨床開発等におけるモデリングとシミュレーションの活用に関連する指針等の作成に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
鹿野 真弓(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 次世代審査等推進室)
研究分担者(所属機関)
  • 永井  尚美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 次世代審査等推進室 )
  • 緒方 宏泰(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 谷川原 祐介(慶應義塾大学 医学部 臨床薬理学/薬物動態学)
  • 越前 宏俊(明治薬科大学薬学部 薬物治療学)
  • 樋坂 章博(千葉大学大学院薬学研究院 高齢者薬剤学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【委託費】 医薬品等規制調和・評価研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、医薬品開発の各過程における試験デザインの検討や用量設定に係る意思決定の際、モデリングを適用した臨床試験シミュレーションの情報が活用されるようになってきたことを踏まえ、これら考え方と評価手法を医薬品開発や承認審査に有効に活用するために、関連する学問や技術の進歩及び国際動向を踏まえ、M&Sの考え方及び母集団薬物動態(Population Pharmacokinetics, Pop PK)や曝露-応答(Exposure -Response, E-R)関係等の評価手法に関わる複数の指針を作成するとともに薬物動態や薬力学の情報も含め、製品に共通する情報の解析(品目横断的解析)の結果を医薬品開発や承認審査に有効に活用するための基本的な枠組み、小児や希少疾病等を対象とした医薬品の臨床開発におけるファーマコメトリクスの活用について提言を行う。
研究方法
今年度は既存の解説文書「医薬品の臨床薬物動態試験について」(平成13年6月1日医薬審第796号)の通知解説書を基に、「Population Pharmacokinetics」、「Exposure-Response Relationships – Study Design, Data Analysis, and Regulatory Applications」及び「Challenge and Opportunity on the Critical Path to New Medical Products」等の米国FDAのガイダンスや白書、また関連するICH及び国内ガイドライン、当該領域の研究や医薬品開発での検討に関する論文並びに開発事例等を精査した。さらに直近1年間の本邦での承認品目(新有効成分含有医薬品)の添付文書を調査し、母集団解析に関連した情報提供内容について整理し、母集団解析に関連した科学的知見や規制面での事項を適切に反映して内容の改訂を行った。
結果と考察
「母集団薬物動態試験法」について、承認申請を念頭において医薬品開発時に実施されるPop PK又はPop PK/PD解析に関して、特に治験計画策定時、収集されたデータの取り扱いやモデル構築・診断・検証までの一連の解析フロー、解析報告書の作成、承認申請資料や添付文書における情報提供等を中心に大幅に加筆・修正された改訂文書を短期間で作成し、さらに適用範囲、関連する指針やガイドライン、用語一覧及び付録を整備して「母集団薬物動態・薬力学解析ガイドライン(案)」を作成した。また、来年度以降の指針作成時及び研究者や審査員がより高度な解析実務を行う際に役立てることを目的に情報収集した文献等を統一的に整理して資料集として編集した。指針の国際調和の観点から、海外規制当局や関連団体との情報交換及び意見聴取を目的に、パブリックコメント募集の案の英語版を作成した。
平成25年6月14日閣議決定「健康・医療戦略」を実現するため、PMDA自らがM&Sを活用する等により、合理的で効率的な評価・判断プロセスを構築することとされている。また、PMDAでは横断的プロジェクトチームの活動を通じて、国立研究機関や大学等と連携して小児や希少疾病等を対象とした医薬品の臨床開発を支援している。本研究により、欧米と比肩する実効性の高い複数の指針が策定されること、医薬品開発や承認審査へのファーマコメトリクスの適用に関する日本の規制当局の考え方を公表することは、特に小児や希少疾病等を対象とした医薬品の臨床開発の推進に資するとともに、平成28年度から新薬承認申請時に提出される臨床電子データを活用した承認審査及び品目横断的解析を実施する際の基礎となると考えられた。また間接的な波及効果として、本邦でもファーマコメトリクスの正しい理解と啓発、関連する知識や技術の習得、人材育成が進むことが期待された。
結論
今年度は、母集団解析に関わる検討を重点的に実施し、最新の科学的知見に基づき、既存の解説文書「母集団薬物動態試験法」を大幅に加筆・修正した「母集団薬物動態・薬力学解析ガイドライン(案)」を作成することに成功した。また次年度以降の重点研究課題としている、小児や難病等アンメットニーズ医薬品の臨床開発等へのファーマコメトリクスの応用及び品目横断的解析に関わる課題について議論し、研究体制や検討方針、スケジュール等の概要を決定した。本研究は三年の研究期間を予定しているが、一年目は概ね計画通りの成果を短期間で達成できた。
今後、パブリックコメント募集を実施するとともに国際的なハーモナイゼーションに留意しつつ母集団解析に関する指針を最終化して通知する予定である。またE-R評価指針素案の作成、品目横断的解析の基本的考え方を整理するための情報収集と専門家による議論を進める。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201451018C

成果

専門的・学術的観点からの成果
臨床薬理・薬物動態領域を中心とした大学研究者及び企業研究者、医薬品の審査員ら学際的かつ幅広い分担者・協力者とともに、1.母集団薬物動態試験法に関する研究、2. 曝露―応答評価の検討に関する研究、3.品目横断的解析の検討に関する研究の3課題を検討した。1については前年度からの検討を継続してのパブリックコメント用の案を作成して意見募集を実施した。また海外規制当局及び関連団体からも意見を聴取した。2については骨子案を検討した。また、3.に関しても、シンポジウムを開催し意見交換を実施した。
臨床的観点からの成果
小児や希少疾病等を対象とした医薬品の臨床開発におけるファーマコメトリクスの活用に資するガイドラインが作成されること、また製品に共通する情報の解析(品目横断的解析)の結果を医薬品開発や承認審査に有効に活用するための基本的な枠組みについて提言を行うことにより臨床現場で求められる新医薬品の開発促進に寄与することができる。
ガイドライン等の開発
本研究では、最新の科学的知見や背景となる学問・技術等を広く周知するために複数のガイドライン又は検討骨子を策定することを目的としている。本年度はパブリックコメント用の案の作成を行った。本ガイドラインでは治験計画策定時に収集されたデータの取り扱いやモデル構築・診断・適格性評価までの一連の解析フロー、解析報告書の作成や医薬品の製造販売承認申請に際し添付すべき資料等の留意事項を中心に記載した。また、曝露―応答評価については新規の指針の作成に着手し、本指針に記載すべき事項について検討し骨子案を作成した。
その他行政的観点からの成果
本研究の遂行により、本邦でも行政指針が整備され、医薬品開発・審査等へのファーマコメトリクスの適用やMBDDのための考え方及び標準的手法の確立に貢献できる。作成された指針及び検討過程での議論や活用資料等は、本邦における電子データ利用体制、先進的な解析や予測評価手法を用いた医薬品開発・審査・相談体制の構築に役立ち、新医薬品の開発期間の短縮や審査の質の向上、日本発の革新的な医薬品の創出、小児医薬品や難病等アンメットニーズ医薬品の臨床開発等の促進、医療現場での適正使用の推進につながることが期待される。
その他のインパクト
医薬品規制の国際調和の活動の一環として、パブリックコメント案の英訳版を海外規制当局等の関係者へ送付し意見募集を実施した。第36回日本臨床薬理学会にて、シンポジウムを実施して周知を図った。PMDA-Keio Joint Symposium on Pharmacometricsでは米国における第一人者と産官学での連携をテーマにパネルディスカッションを実施した。EMAのMSWG定例会合に職員を派遣して、開発相談や審査での活用方針・体制について情報収集を行うとともに今後の連携について意見交換を実施した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
2016-06-29

収支報告書

文献番号
201451018Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,000,000円
(2)補助金確定額
3,049,775円
差引額 [(1)-(2)]
950,225円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 566,664円
人件費・謝金 0円
旅費 618,237円
その他 1,864,874円
間接経費 0円
合計 3,049,775円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
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