文献情報
文献番号
201451007A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品等の市販後安全対策のための医療情報データベースの利活用方法に関する薬剤疫学研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
川上 純一(浜松医科大学 医学部附属病院薬剤部)
研究分担者(所属機関)
- 木村 通男(浜松医科大学 医学部附属病院医療情報部 )
- 堀 雄史(浜松医科大学 医学部附属病院薬剤部 )
- 大江 和彦(東京大学 医学部附属病院企画情報運営部)
- 中島 直樹(九州大学病院 メディカルインフォメーションセンター)
- 横井 英人(香川大学 医学部附属病院医療情報部)
- 池田 俊也(国際医療福祉大学 薬学部)
- 佐藤 嗣道(東京理科大学 薬学部)
- 佐井 君江(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
- 頭金 正博(名古屋市立大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【委託費】 医薬品等規制調和・評価研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
6,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医薬品等の市販後安全対策における医療情報データベース(DB)の本格的な利活用の推進に資するため、複数の拠点病院DBを用いて精度的に優れた薬剤疫学的手法を確立しつつその市販後安全性評価における利活用手法を確立および実証することを目的として本研究を行う。
研究方法
(1) 医療情報DBを用いた副作用検出手法の確立及び利活用の検討、(2) 医療情報DBの特性に関する検討、(3) 医療情報DBの副作用検索への利用に関する検討をそれぞれ実施した。浜松医科大学、東京大学、九州大学、香川大学の各附属病院DBを用いた。また用いるDBの違いを考慮して診療報酬明細書データ(レセプトデータ)を用いた解析も行った。
結果と考察
(1) 医療情報DBを用いて、血糖値の推移を基にした典型的な薬剤性高血糖の検出アルゴリズム構築を検討し症例背景も考慮した解析によりリスク要因の評価が可能となることを示した。臨床検査値とその経時的評価を組み合わせることで無顆粒球症あるいは急性腎不全の疑い症例を検出でき、医薬品ごとの発症頻度の比較が可能であることを示した。白金製剤処方後の聴覚障害の発現は病院が所有する医療情報DBを用いて検出できることを示した。(2) レセプトデータを用いてスタチン系薬剤服用群と非服用群における糖尿病発症割合を、同じ医療機関で特定される場合と異なる医療機関で特定される場合とで算出した。糖尿病発症率は同一医療機関において把握できるものは約2/3に留まったが、リスク比(RR)の値については病院DBと同様の条件においてもレセプトデータとほぼ同様の結果が得られた。医療情報DBの特性を活かして入院患者において多い薬剤と病名を明らかにするとともに血清クレアチニン(Cr)値を腎障害の指標とする症例対照分析を行うことによりコホート研究の検討対象とすべき薬剤のスクリーニングが可能であると考えられた。
(3) ニューキノロン系抗菌薬投与後の腱障害を例にして4病院の医療情報DBにおいて同様の検索条件で投与患者数および腱障害発現患者数の調査可能性について検証した。レセプトデータや病院内の処方オーダエントリシステムでは通常確認できない入院患者の持参薬使用について、各病院における医療情報DBから検索可能な情報に加工できるのかを検討した。
(3) ニューキノロン系抗菌薬投与後の腱障害を例にして4病院の医療情報DBにおいて同様の検索条件で投与患者数および腱障害発現患者数の調査可能性について検証した。レセプトデータや病院内の処方オーダエントリシステムでは通常確認できない入院患者の持参薬使用について、各病院における医療情報DBから検索可能な情報に加工できるのかを検討した。
結論
幾つかの副作用等を例にして、医療情報DBを用いて検出するためのアルゴリズムの構築、実際の検出および発症割合の算出を行い、薬剤疫学的手法を確立することができた。また、レセプトデータとの対比、入院患者に特化した疫学調査の基礎情報、複数の病院での調査実施の可能性、通常は調査が困難と考えられる持参薬使用等について、病院の医療情報DBを医薬品の安全性評価に利活用する際の特性を把握することができた。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
-