インフルエンザ大流行に備えた危機管理対策の確立に関する研究

文献情報

文献番号
199800470A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザ大流行に備えた危機管理対策の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
田代 眞人(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 喜田宏(北海道大学)
  • 中島捷久(名古屋市立大学)
  • 中島節子(国立公衆衛生院)
  • 中村喜代人(山形大学)
  • 鈴木康夫(静岡県立大学)
  • 小田切孝人(金沢医科大学)
  • 黒田和道(大阪薬科大学)
  • 水田克巳(国立仙台病院)
  • 菅谷憲夫(日本鋼管病院)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 新興・再興感染症研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、高齢化社会に向かった総合的なインフルエンザ対策の中で、特にインフルエンザ大流行に備えた危機管理体制の早急な構築と機能維持を目的として、①流行規模、被害状況、社会的影響等の予測とシュミレーションおよび各状況に置けるシナリオの作製、②各シナリオにおける被害の最小化を図るための準備と対応及び社会危機への対応策の策定、③大流行出現に関与するウイルス側要因及び生体側要因の解明と大流行予測方法の確立、④緊急時の新型ワクチン開発およびその増産供給体制の確立の3点から調査研究および基礎研究を行い、インフルエンザ危機管理体制の確立に資する。
研究方法
上記の4主題に関して分担研究者および協力研究者が進めた研究成果を、検討会および班会議において検討した。
結果と考察
(1)情報の収集と解析体制の確立:国内及び国外のサーベイランス等の情報の同時収集方法の検討、超過死亡同時算出方法の確立及び血清疫学・分子疫学的解析法の検討を通して、新型ウイルスの出現の早期発見体制と大流行の可能性に関する解析評価体制を検討した。(2)大流行のシュミレーションと流行規模・被害の算定予測:新型ウイルス出現と大流行に関する様々なシナリオを作製して、流行規模、健康被害、政治・社会・経済への影響等をシュミレーションによって検討し、各シナリオ毎の大流行の被害・影響及びその可能性を検討した。(3)大流行の被害を最小にする為の政策の検討(準備と対応):大流行の被害を最小限度に抑えるために、各シナリオの事態に応じて、ワクチン政策を含めた有効で実行可能な準備体制と対応体制及び健康危機・社会危機管理政策の策定を検討した。さらにシュミレーションにより被害の軽減度及び経済効率等を算定して、その効果と限界を評価した。(4)新型ウイルス出現と大流行の機序の解明と流行予測法の確立:新型ウイルスの出現と流行に関する科学的予測および有効なワクチンの設計・選択さらに抗ウイルス剤の開発に資する目的で、ウイルスの変異機構と流行要因を分子遺伝学、免疫学及び人獣共通感染症の方向から検討した。(5)インフルエンザ脳炎・脳症の実態把握のための専門家会議を開催し、実態の解明と対策の必要性およびその進め方について、検討を加えた。(6)インフルエンザワクチン接種の普及を図るために、現行ワクチンの有効性、安全性に関する過去10年間の世界中の主要文献を検索し、評価した。(7)平成9年度の香港におけるH5N1型インフルエンザ流行の実態、それへの国際的な対応等の報告がでてきたので、これらに基づいて国内における対応を検討し、今後の新型インフルエンザ対策の再検討を検討を行った。
結論
香港における新型インフルエンザの教訓は、その出現機序が従来の予想を越えるものであることである。最近WHOでも新型インフルエンザ対策要綱を公表したが、最終年度には、これまでの研究成果を総合的に検討し、様々なシナリオに沿って、健康被害と社会的混乱を最小限に留める具体的な方策を提言して行く。

公開日・更新日

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