文献情報
文献番号
201450003A
報告書区分
総括
研究課題名
自閉症スペクトラム障害に対する抑肝散の有用性の科学的知見の創出に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
宮岡 剛(島根大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 遠山 正彌(近畿大学 東洋医学研究所)
- 室谷 健太(名古屋大学附属病院 先端医療・臨床研究支援センター)
- 森 則夫(浜松医科大学 医学部)
- 三辺 義雄(金沢大学 医薬保健研究域)
- 伊豫 雅臣(千葉大学大学院 医学研究院)
- 上野 修一(愛媛大学大学院 医学系研究科)
- 堀口 淳(島根大学 医学部)
- 山口 清次(島根大学 医学部)
- 江副 智子(島根大学 保健管理センター)
- 井上 顕(島根大学 医学部)
- 宮田 信吾(近畿大学 東洋医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【委託費】 「統合医療」に係る医療の質向上・科学的根拠収集研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
自閉症スペクトラム障害に対する、漢方製剤治療のエビデンスを創出する。多くの問題を抱える向精神薬療法を補完する統合医療として、「抑肝散」の臨床的有用性を確認し、我が国発の自閉症スペクトラム障害のスタンダード治療として国内外に発信する。
研究方法
自閉症スペクトラム障害の薬物治療の問題の根本は、多剤大量に投与されている向精神薬によって重篤な副作用が生じることであり、このために患者のQOLが大きく低下してしまうことである。漢方薬の一つである「抑肝散」は、西洋医学の薬剤では代替できない、QOLや神経保護作用の効能を有する独特な薬剤であり、最近の研究においても神経保護作用能の改善作用が報告されている。本研究の目標は自閉症スペクトラム障害の患者における「苛立ち」「衝動的問題行動」そして「社会適応能力の向上」という精神行動障害と社会機能の改善を目的として、従来の向精神薬療法を服用していない自閉症スペクトラム障害の患者に抑肝散を単独投与する。その結果、統合医療の治療効果と安全性の臨床的有用性をエビデンスとすることである。
全国多施設共同二重盲検ランダム化群間比較対照試験にて、抑肝散の可能性を客観的に評価し、日本発の独創的研究成果として国内外に発信する。
研究代表施設は島根大学精神医学講座が、登録システムの整備・登録センターなどの事務局を担当する。また島根大学医学部保健管理センターがデータマネージメントを実施し、試験計画・結果の統計学的分析は名古屋大学が担当する。
全国多施設共同二重盲検ランダム化群間比較対照試験にて、抑肝散の可能性を客観的に評価し、日本発の独創的研究成果として国内外に発信する。
研究代表施設は島根大学精神医学講座が、登録システムの整備・登録センターなどの事務局を担当する。また島根大学医学部保健管理センターがデータマネージメントを実施し、試験計画・結果の統計学的分析は名古屋大学が担当する。
結果と考察
本研究は当初の予定通り進捗している。プラセボを用いた全国多施設共同の二重盲検ランダム化群間比較対照試験を厳密かつ円滑に実施するための研究体制を確立するために自閉症スペクトラム障害の臨床研究の世界的権威である研究者およびランダム化比較試験のために生物統計学専門家による綿密な打ち合わせとして、プロトコール作成委員会、効果安全性評価専門委員会、研究分担者会議を開催した。また同時に協力施設選定に当たり個別に施設視察と研究説明を行った。平成27年2月現在、本研究を十分に遂行可能であると判断された協力施設として5施設を選定し登録することが出来た。
プロトコールの企画立案は、プロトコール作成委員の活発な議論の結果、順調に進み完成に至った。本プロトコールは、IRB申請後、島根大学医の倫理委員会において平成26年12月26日に承認された。本研究に使用するプラセボ製剤も完成し、実薬と共に供給および使用可能となっている。
本研究の登録および割付業務に関して業務実績のある担当者も決定し、本研究の円滑な遂行が可能なシステムを構築した。現在は本研究のプライマリーエンドポイントとして採用したAberrant Behavior Checklist Irritability subscale (ABC-I)の評価法の教育体制も確立し、すでに各協力医師への教育指導も完了した。さらに「臨床研究に関する倫理指針」に基づき、平成26年11月17日にUMINの臨床研究登録システムに本試験を登録した。また薬剤割付体制の確立、賠償責任保険への加入も完了した。したがって当初の予定通り、平成27年1月からの研究開始が可能な状況体制が整った。
実施予定医療機関5施設において、臨床試験審査委員会等の手続きを経て研究を開始し、平成27年2月25日現在3例を登録した。
プロトコールの企画立案は、プロトコール作成委員の活発な議論の結果、順調に進み完成に至った。本プロトコールは、IRB申請後、島根大学医の倫理委員会において平成26年12月26日に承認された。本研究に使用するプラセボ製剤も完成し、実薬と共に供給および使用可能となっている。
本研究の登録および割付業務に関して業務実績のある担当者も決定し、本研究の円滑な遂行が可能なシステムを構築した。現在は本研究のプライマリーエンドポイントとして採用したAberrant Behavior Checklist Irritability subscale (ABC-I)の評価法の教育体制も確立し、すでに各協力医師への教育指導も完了した。さらに「臨床研究に関する倫理指針」に基づき、平成26年11月17日にUMINの臨床研究登録システムに本試験を登録した。また薬剤割付体制の確立、賠償責任保険への加入も完了した。したがって当初の予定通り、平成27年1月からの研究開始が可能な状況体制が整った。
実施予定医療機関5施設において、臨床試験審査委員会等の手続きを経て研究を開始し、平成27年2月25日現在3例を登録した。
結論
我が国では、西洋医学を中心とした医療の中に、漢方薬を取り入れた独自の統合医療が発展しつつある。今回の研究は、統合医療分野において、プラセボ薬による二重盲検ランダム化比較試験によって、その有効性を客観的に評価できることを確立することにある。
この研究成果は、漢方製剤治療のエビデンス創出法の範となるばかりでなく、西洋医学の粋である向精神薬治療による有害事象に苦しむ自閉症スペクトラム障害に対しての、漢方薬併用の統合医療が確立される。また自閉症スペクトラムの難治化に伴う医療資源・コストの節減につながり、患者とその家族の負担が軽減されるものである。さらに向精神薬の濫用を抑制し、その適正使用を推進することは、向精神薬によって誘発される副作用の減少にも寄与するものとなり、その医療経済的効果は極めて大きいといえよう。
平成26年度は、研究実施計画書(プロトコール)の決定、臨床研究の登録、各施設のIRB申請・承認、賠償責任保険への加入、試験実施、患者エントリーを達成課題と設定したが、順調な進捗状況であるといえる。今後、平成27年度は試験実施、研究収集を達成課題と設定し、最終年度の平成28年度においては試験実施、結果収集と解析を完了し、論文提出することを最終課題とする。
この研究成果は、漢方製剤治療のエビデンス創出法の範となるばかりでなく、西洋医学の粋である向精神薬治療による有害事象に苦しむ自閉症スペクトラム障害に対しての、漢方薬併用の統合医療が確立される。また自閉症スペクトラムの難治化に伴う医療資源・コストの節減につながり、患者とその家族の負担が軽減されるものである。さらに向精神薬の濫用を抑制し、その適正使用を推進することは、向精神薬によって誘発される副作用の減少にも寄与するものとなり、その医療経済的効果は極めて大きいといえよう。
平成26年度は、研究実施計画書(プロトコール)の決定、臨床研究の登録、各施設のIRB申請・承認、賠償責任保険への加入、試験実施、患者エントリーを達成課題と設定したが、順調な進捗状況であるといえる。今後、平成27年度は試験実施、研究収集を達成課題と設定し、最終年度の平成28年度においては試験実施、結果収集と解析を完了し、論文提出することを最終課題とする。
公開日・更新日
公開日
2015-06-09
更新日
-