文献情報
文献番号
201447025A
報告書区分
総括
研究課題名
海外研究機関等との感染症に関する共同研究および連携強化に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
倉根 一郎(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
- 小田切孝人(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター )
- 高崎 智彦(国立感染症研究所 ウイルス第一部 )
- 大西 真(国立感染症研究所 細菌第一部)
- 片山和彦(国立感染症研究所ウイルス第二部)
- 大石和徳(国立感染症研究所感染症疫学センター)
- 柴山恵吾(国立感染症研究所 細菌第二部)
- 黒田 誠(国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター、)
- 西條政幸(国立感染症研究所ウイルス第一部)
- 宮川昭二(国立感染症研究所 国際協力室)
- 長谷川秀樹(国立感染症研究所 感染病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
164,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
多くの新興・再興感染症が発生しており我が国への脅威となっている。特に、インフルエンザ、デング熱、薬剤耐性菌感染症、下痢性感染症は特に近年我が国にとって大きな問題となっている感染症である。これら各感染症に対して新たな治療薬、ワクチン、診断薬等の創薬開発が求められている。本研究においては、これら近年特に大きな問題となるインフルエンザウイルス、デングウイルス、薬剤耐性菌、下痢原性細菌およびノロウイルスに関して、アジア各国と日本を有機的に結び付けるシステムを確立し、アジアにおいて流行している病原体株を主とするゲノムデータベースを構築し、さらにデータベースが継続的に維持されるため基盤を確立することを目的とした。
研究方法
この目的達成のためには、アジア各国に存在する研究施設との共同研究が必須である。アジア各地に展開する、感染症研究国際ネットワーク推進プログラム(J-GRID)に参加している海外拠点研究機関、及びアジア各国の国立研究機関との連携・共同研究、国内においては各地の地方衛生研究所との連携を行う。ゲノムデータベースを確立するため、J-GRIDに参加海外拠点研究機関、及びアジア各国の国立研究機関、国内地方衛生研究所との連携・共同研究を行った。特に、J-GRID海外拠点機関の若手研究者に対して国立感染症研究所における研修機能を整備し継続的な研修が可能となる体制を確立した。
結果と考察
全体研修として、J-GRID海外拠点若しくは海外国立感染症研究機関等から若手研究者を感染研に招き、共同研究及び技術指導を行う。国内の若手研究者をJ-GRID海外拠点若しくは海外国立研究機関等へ派遣し、共同研究等を行った。「感染症制御セミナー」を開催し、J-GRID海外拠点若しくは海外国立感染症研究機関等から若手研究者等を、招へいするとともに、感染研等が行う病原体ゲノム情報の収集・解析等の研究、感染症流行予測及び対策、診断、治療等開発の講習を行った。さらに、地方衛生研究所等の感染症専門家をJ-GRID海外拠点、海外国立感染症研究機関、WHO等に派遣し、現地での研究、技術協力、人材育成を行い、我が国に侵入する恐れのある新興・再興感染症等の疫学状況などについて研修を行った。
カウンターパート研修として、以下の個別研修を行った。1)ゲノム解析法として、次世代シークエンサー解読および情報解析の技術指導を通して主要担当者を養成した。さらに、海外拠点の現場でバイオインフォマティクス情報解析をメインにした技術講習、病原体ゲノム情報の活用法の研修を行った。2)ノロウイルスについて、次世代シークエンス技術を研修して、アジア地域の網羅的全ゲノム塩基配列解析を実地研修する。次世代シークエンス用ライブラリー構築、次世代シークエンサー使用方法、出力されたデータの解析ワークフロー習得、時系列分子系統解析法を研修した。3)下痢原性病原細について、次世代シークエンサーを用いて下痢原性病原細菌(大腸菌等)の全ゲノム配列を取得し、系統解析、病原因子プロファイリング、抗原合成遺伝子系の体系的解析を研修した。既存の分子タイピングの実際を経験し効率のよいゲノム解析を実施する技術を研修した。4)薬剤耐性菌について、耐性菌、耐性遺伝子、臨床的および公衆衛生学的意義、検出法について講習を行い、また実際に実験室で実習を行った。海外拠点の研究者に対しては特に、薬剤感受性試験、及び遺伝子タイピングの研修を行った。知識技術の習得後、各機関で分離された耐性菌のゲノム情報を収集し、共通データベースを構築した。5)蚊媒介性ウイルス感染症について、新たな蚊媒介性ウイルスに対するリアルタイムRT-PCR法、血清診断法を評価した。6)インフルエンザについては、インフルエンザ実験室診断の精度向上に関する研修、及び鳥インフルエンザの調査および鳥インフルエンザウイルス感染に関する疫学調査研修を行った。
カウンターパート研修として、以下の個別研修を行った。1)ゲノム解析法として、次世代シークエンサー解読および情報解析の技術指導を通して主要担当者を養成した。さらに、海外拠点の現場でバイオインフォマティクス情報解析をメインにした技術講習、病原体ゲノム情報の活用法の研修を行った。2)ノロウイルスについて、次世代シークエンス技術を研修して、アジア地域の網羅的全ゲノム塩基配列解析を実地研修する。次世代シークエンス用ライブラリー構築、次世代シークエンサー使用方法、出力されたデータの解析ワークフロー習得、時系列分子系統解析法を研修した。3)下痢原性病原細について、次世代シークエンサーを用いて下痢原性病原細菌(大腸菌等)の全ゲノム配列を取得し、系統解析、病原因子プロファイリング、抗原合成遺伝子系の体系的解析を研修した。既存の分子タイピングの実際を経験し効率のよいゲノム解析を実施する技術を研修した。4)薬剤耐性菌について、耐性菌、耐性遺伝子、臨床的および公衆衛生学的意義、検出法について講習を行い、また実際に実験室で実習を行った。海外拠点の研究者に対しては特に、薬剤感受性試験、及び遺伝子タイピングの研修を行った。知識技術の習得後、各機関で分離された耐性菌のゲノム情報を収集し、共通データベースを構築した。5)蚊媒介性ウイルス感染症について、新たな蚊媒介性ウイルスに対するリアルタイムRT-PCR法、血清診断法を評価した。6)インフルエンザについては、インフルエンザ実験室診断の精度向上に関する研修、及び鳥インフルエンザの調査および鳥インフルエンザウイルス感染に関する疫学調査研修を行った。
結論
近年特に大きな問題となるインフルエンザウイルス、デングウイルス、薬剤耐性菌、下痢原性細菌およびノロウイルスに関して、アジア各国と日本を結び付けるシステムを確立し、アジアにおいて流行している病原体株を主とするゲノムデータベースを構築し、さらにデータベースが継続的に維持されるため基盤を確立することを目的として研究を遂行した。この目的達成のためには、アジア各国に存在する研究施設との共同研究が必須である。本研究においては、アジア各地に展開する、感染症研究国際ネットワーク推進プログラム(J-GRID)に参加している海外拠点研究機関、及びアジア各国の国立研究機関との連携・共同研究、国内においては各地の地方衛生研究所との連携体制を確立した。また、これら各感染症に対しての新たな治療薬、ワクチン、診断薬等の創薬開発が促進されるとともに、我が国の感染症対策に大きく貢献する。
公開日・更新日
公開日
2015-05-20
更新日
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