新型インフルエンザに対する治療の標準化法の開発等に関する研究

文献情報

文献番号
201447021A
報告書区分
総括
研究課題名
新型インフルエンザに対する治療の標準化法の開発等に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 智也(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 田辺 正樹(三重大学医学部付属病院)
  • 坂元 昇(川崎市健康福祉局)
  • 岡部 信彦(川崎市健康安全研究所)
  • 大曲 貴夫(国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型インフルエンザ等発生時の医療従事者による治療法の標準化を行うとともに、医療従事者が国や都道府県等と情報共有等を適切に行い連携を強化するためにワークショップ形式の研修・訓練ツールを新たに開発することを目的とする。新型インフルエンザ発生時には患者に対して医療従事者の適切な診療行為により、最善の治療を施すのはもちろんのこと、医療従事者や病院関係者、その他の患者への院内感染等を適切に予防し、安全に診療を行う必要がある。本研究は、諸外国のベストプラクティスを参考にしつつ、新型インフルエンザ発生時の医療従事者による治療法の標準化をはかり、治療のみならず、院内の患者動線の設定やPPEの着用等を含む総合的な標準プラクティスに関する知見を共有するための資料を示すことを併せて目的とした。
研究方法
訓練教材は、現在の新型インフルエンザ対策が、国と連携しつつそれぞれの都道府県での流行状況を踏まえ行っていくというコンセプトにある中で、地域の流行を踏まえた対策にアドバイスをする医師・感染管理看護師を養成することを主眼において最適な演習手法を検討し、訓練を設計した。演習シナリオは、内閣官房新型インフルエンザ等対策室が作成した「新型インフルエンザ等発生時の行政対応訓練・研修ツール(平成25年度版)」を活用した。作成された資料案に基づき自治体及び医師を対象としての机上演習を2日間実施した。研修参加者にはアンケートへの回答を求め、今後全国で演習を実施する観点から机上訓練素材の実用性について意見を得た。これを元に研修・訓練ツールの改修を行い、配布可能な冊子・印刷物を作成するほか、電子媒体を作成した。また、新型インフルエンザ等政府対策行動計画、ガイドライン、成人の新型インフルエンザ治療ガイドライン等を題材として、医療従事者(医師・感染管理看護師)に有用な資料を集約し、講義素材を作成した。WHOの最新ガイドライン「医療におけるエピデミックおよびパンデミック傾向にある急性呼吸器感染症の予防と制御 」を参考にして重要な内容を抜粋し、講義資料を作成した。ワークショップの試行開催時に医師・感染管理看護師向けに講義を試行的に行い、質疑や意見等を反映させた。
結果と考察
新型インフルエンザに対する研修・訓練ツールの開発については、研修・訓練ツール(案)を作成し、これを利用した平成27年2月5,6日に試行的ワークショップを実施した。その後、参加者の意見を反映し、新型インフルエンザに対する研修・訓練ツールをまとめた「ファシリテーターズガイド」を作成した。また、「成人の新型インフルエンザ治療ガイドライン」やWHOガイドライン「医療におけるエピデミックおよびパンデミック傾向にある急性呼吸器感染症の予防と制御」等を踏まえ、全国の医療従事者が新型インフルエンザ発生時の診療について知っておくべき知見を整理し、講義素材を作成した。同ガイドラインは邦訳文をまとめ、ワークショップ参加者を中心とする関係者に配布し、電子媒体でも広く共有を行った。ワークショップでは、研修・訓練ツール(案)は非常に高い評価を受けた。一方で、各自治体等で持ち帰って実行するには難易度が高い、という意見も見られた。今後難易度等も示しつつ、多様な演習シナリオが提供できれば、よりその時の参加者のレベルに即した内容を選択して実施できるようになるだろう。また、当面は本研究班の者が出張して地方自治体主催の訓練等に協力することで、各地域での訓練実施の支援ができれば、より訓練の普及が進むと考えられ、アウトリーチが一つの課題である。また、診療ガイドについては、鳥インフルエンザの人感染事例の治療経験や新興・再興感染症対応事例等を踏まえ、最新の科学的知見に従ってアップデートしていくことが望ましい。
結論
医療従事者が国や都道府県等と連携を強化するため、ワークショップ形式のマルチステークホルダー参加型机上訓練の研修・訓練ツールとファシリテーターズガイドを新たに開発した。また既存国内ガイドラインやWHOの最新ガイドラインを踏まえ、全国の医療従事者が新型インフルエンザ発生時の診療について知っておくべき知見を整理し、講義素材を作成した。新型インフルエンザ等対策は、2009年のA(H1N1)2009の経験や近年では特措法制定、都道府県や市町村の行動計画の作成が行われてきたことから、地方自治体担当者に経験や知見が蓄積されている状況にある。しかしながら、定期異動等により、これらが継続的に継承されていくためには、今後本教材を活用したワークショップ型訓練による研修の普及啓発や、ファシリテーター研修の開催等アウトリーチ活動が重要である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201447021C

収支報告書

文献番号
201447021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,000,000円
(2)補助金確定額
9,945,733円
差引額 [(1)-(2)]
54,267円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,577,106円
人件費・謝金 156,461円
旅費 173,660円
その他 8,038,506円
間接経費 0円
合計 9,945,733円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
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