百日咳の発生実態の解明及び新たな百日咳ワクチンの開発に資する研究

文献情報

文献番号
201447020A
報告書区分
総括
研究課題名
百日咳の発生実態の解明及び新たな百日咳ワクチンの開発に資する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 賢司(福岡歯科大学全身管理・医歯学部門総合医学講座)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201447020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1)これまで不明であったわが国の百日咳の入院率が推定できた。
(2)血清疫学調査で、小学校高学年から高校にかけて百日咳の感染が起こっていることを
   明らかにできた。
(3)現行の小児科定点医療機関からの百日咳サーベイランス方法では、成人を含めた百日咳の全体
像が把握できないことなどの課題を指摘できた。
(4)現行の届出基準では、臨床診断のみであり、病原体診断に基づいた診断による届出ができない
ため、正確な百日咳の疾病負担が評価できないことを指摘できた。

臨床的観点からの成果
日常臨床で感度・特異度のよい検査法が確立されていなかった。国内で開発されたLAMP法の感度・特異度を評価し、平成28年に保険収載された。血清診断では、これまでのPT-IgG抗体価検査では単血清では正確な診断ができないことが多かったため、ワクチン既接種者や成人でも単血清で評価できる抗百日咳菌 IgM 抗体およびPTとFHAに対する総IgA抗体検査の導入も行い、平成28年度保険収載された。
ガイドライン等の開発
2018年1月29日第13回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で本件についても議論されている。
(1)小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017(尾内一信、岡田賢司、黒崎知道(監修):日本小児
   感染症学会・日本呼吸器学会)の百日咳診断基準や診断のフローチャートに本研究の成果が取
   り入れられた。
(2)感染症法改正にあたって届出基準の中に、LAMP法や血清診断法が組み込まれた。
その他行政的観点からの成果
2017年2月10日 第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
ワクチン評価に関する小委員会において、本研究班で明らかとなった(1)入院率,(2)年長児・成人の感染、(3)現行のサーベイランスの問題点が議論された。研究班で指摘した(1) 百日咳の全体像を把握するために全年齢の患者報告を求める(2)病原体診断に基づく正確な疾病負荷を検討することを目的に感染症法の改訂が行われ、平成30年1月からの5類感染症・全数把握疾患への改訂の基礎資料となった。
その他のインパクト
1.2017年4月25日NHK総合の NEWS WATCH 9で推定した全国の入院者数などを紹介した。
2.日経メディカル第591号では「新検査法の登場で百日咳の診断が変わる」として紹介された。
3.公開シンポジウムでは2017年10月千葉市で行われた市民公開セミナーin千葉2017で「ワクチンの光
と影を一緒に考えましょう~百日咳は子どもだけの病気ではありません」と題して講演した。2017 年11月東京での公開シンポジウムでは、「感染症予防とワクチンの現状」と題して百日咳の話題にも触れた。

発表件数

原著論文(和文)
5件
2016年度4件、2017年度1件
原著論文(英文等)
2件
2016年度1件、2017年度1件
その他論文(和文)
19件
2016年度12件、2017年度7件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
13件
2016年度シンポジウム1件 教育講演2件 2017年度シンポジウム2件 教育講演8件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
感染症法の改正:百日咳は平成30年1月から5類感染症定点把握疾患から5類感染症全数把握疾患へとなった。
その他成果(普及・啓発活動)
4件
マスコミ(TV/雑誌)2件 市民公開講座2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-06-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201447020Z