文献情報
文献番号
201447017A
報告書区分
総括
研究課題名
新興・再興感染症に対する画期的な新規ワクチン開発および実用化に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
阿戸 学(国立感染症研究所 免疫部)
研究分担者(所属機関)
- 片山 和彦(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
- 鈴木 忠樹(国立感染症研究所 感染病理部)
- 高橋 宜聖(国立感染症研究所 免疫部)
- 山本 典生(順天堂大学 大学院)
- 久保田耐(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
- 竹内 隆正(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
感染症の専門研究機関である国立感染症研究所の各担当部局がワクチンシーズと開発のノウハウを共有し、日本で社会的要請が高い感染症を選択して、戦略的ワクチン開発研究を行う。具体的には、1)免疫原性が低くワクチン効果が乏しいと予想されるH7N9等新型インフルエンザ、2)変異が激しいため毎シーズン接種しなければならず、有効性に難点がある季節性インフルエンザ、3)変異しやすく、培養不能であるノロウイルス感染症、4)ワクチンの投与が重症化を引き起こす可能性があり、ワクチンによる免疫応答の調節が必要なデングウイルス感染症、およびRSウイルス感染症等を本研究の標的として選択する。
平成28年度末までに、安全性、有用性および経済的にも優れた次世代ワクチンの開発に資する橋渡し研究を行い、本研究の成果を、企業が主体となって行われる臨床治験や製造に応用させ、日本発の優れたワクチンとして世界に発信することを目的とする。
平成28年度末までに、安全性、有用性および経済的にも優れた次世代ワクチンの開発に資する橋渡し研究を行い、本研究の成果を、企業が主体となって行われる臨床治験や製造に応用させ、日本発の優れたワクチンとして世界に発信することを目的とする。
研究方法
免疫原性が低い新型インフルエンザ、変異が激しい季節性インフルエンザ、変異しやすく、培養不能であるノロウイルス感染症、ワクチンの投与が重症化を引き起こす可能性があるデングウイルス感染症およびRSウイルス感染症を本研究の標的として選択した。これらのウイルス感染症に対して、上記問題を克服するため、効率性、安全性を考慮してウイルス様中空粒子(VLP)ワクチンシードの開発に加え、以下の技術的基盤に基づいて研究を推進した。アジュバントのワクチンへの応用、ヒト主要組織適合性抗原(HLA)提示モチーフの添加による免疫原性の増強、 VLP粒子径や形状の変化による免疫応答の調節、ウイルスの遺伝子操作による増殖性低下をおこさない次世代ウイルス培養細胞の開発など、各分担研究者の研究で蓄積される知見を共有し、それぞれのワクチン戦略に従って最適なオプションを選択し、防御抗体の誘導を評価した後、企業等が主体となって行われる臨床治験や製造に応用させる。
結果と考察
ヒトノロウイルス各遺伝子型/バリアントのVLP作製に関して、GI 6、GII 14遺伝子型のVLP作製と各遺伝子型ウイルスを認識する抗体作製を終了した。生ワクチンの基本技術となるヒトノロウイルス、マウスノロウイルスの構築に成功した。また、ノロウイルス感染患者の便中ウイルスRNA、ノロウイルス特異的IgAの経時的変化の測定系を確立し、ウイルスゲノム進化速度変化の算出に成功した。
DENV 1型の構造タンパク質のVLP発現系およびELISAによる検出系を確立することに成功した。
Headless HAを持ったVLPの作製条件について検討を行い、株によってHAの安定性が異なることを確認した
ヒトT細胞エピトープを導入したH7HAを作製し、ヒト化マウスを用いてワクチン免疫原性改善効果を確認した。金ナノ粒子のプラットフォームに低毒性型合成二重鎖RNAを組み合わせたアジュバント製剤活性を確認した。
アジュバントの標的候補分子RGSタンパク質のアジュバント刺激により誘導される修飾部位を特定した。
iPS細胞にCas9-tru-gRNA複合体を導入する系を作成し、I型インターフェロン遺伝子群を欠損したiPS細胞クローンを作成中である。
DENV 1型の構造タンパク質のVLP発現系およびELISAによる検出系を確立することに成功した。
Headless HAを持ったVLPの作製条件について検討を行い、株によってHAの安定性が異なることを確認した
ヒトT細胞エピトープを導入したH7HAを作製し、ヒト化マウスを用いてワクチン免疫原性改善効果を確認した。金ナノ粒子のプラットフォームに低毒性型合成二重鎖RNAを組み合わせたアジュバント製剤活性を確認した。
アジュバントの標的候補分子RGSタンパク質のアジュバント刺激により誘導される修飾部位を特定した。
iPS細胞にCas9-tru-gRNA複合体を導入する系を作成し、I型インターフェロン遺伝子群を欠損したiPS細胞クローンを作成中である。
結論
病原体および感染症の特性を熟知している感染研の立場を利用し、日本で社会的要請が高いが、ワクチンが実用化されていない感染症に対する最適なワクチンデザインを見いだし、実用化に向けてプロジェクトを推進した。
各分担研究者の研究で蓄積される科学的知見および技術を共有・情報交換し、それぞれのワクチン戦略に従って最適なオプションを選択するべく、検出技術や免疫賦活法の共有・共同開発推進等、連絡調整を行った。
橋渡し研究をスムーズに行うために、ワクチンシーズ候補ができた段階で、ワクチン製造会社と合同会議を開催して迅速な実用化を目指している。
各分担研究者の研究で蓄積される科学的知見および技術を共有・情報交換し、それぞれのワクチン戦略に従って最適なオプションを選択するべく、検出技術や免疫賦活法の共有・共同開発推進等、連絡調整を行った。
橋渡し研究をスムーズに行うために、ワクチンシーズ候補ができた段階で、ワクチン製造会社と合同会議を開催して迅速な実用化を目指している。
公開日・更新日
公開日
2015-05-26
更新日
-