筋強直性ジストロフィー治験推進のための臨床基盤整備の研究

文献情報

文献番号
201446031A
報告書区分
総括
研究課題名
筋強直性ジストロフィー治験推進のための臨床基盤整備の研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
松村 剛(独立行政法人国立病院機構刀根山病院神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋正紀(大阪大学大学院医学研究科神経内科学)
  • 久留 聡(独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院神経内科)
  • 高橋俊明(独立行政法人国立病院機構仙台西多賀病院神経内科)
  • 田村 拓久(独立行政法人国立病院機構東埼玉病院神経内科)
  • 瀬川 和彦(国立精神・神経医療研究センター総合内科部)
  • 堀江 稔(滋賀医科大学循環器内科学)
  • 奥村 謙(弘前大学大学院医学研究科循環呼吸腎臓内科)
  • 高田博仁(独立行政法人国立病院機構青森病院神経内科)
  • 荒畑 創(独立行政法人国立病院機構大牟田病院神経内科)
  • 岩橋博見(大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科)
  • 石垣景子(東京女子医科大学小児科)
  • 諏訪園 秀吾(独立行政法人国立病院機構沖縄病院神経内科)
  • 和田千鶴(独立行政法人国立病院機構あきた病院神経内科)
  • 井村 修(大阪大学大学院人間科学部臨床心理学)
  • 石浦章一(東京大学大学院総合文化研究科)
  • 熊倉 英利香(日本筋ジストロフィー協会)
  • 小牧宏文(国立精神・神経医療研究センター神経内科)
  • 木村 円(国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター)
  • 米本直裕(国立精神・神経医療研究センター生物統計学室)
  • 武田伸一(国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 障害者対策総合研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,652,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋強直性ジストロフィー(myotonic dystrophy: DM)では新規治療の開発が進み、一部では治験段階に入っている。稀少疾患での治験推進には、疾患レジストリー、臨床研究ネットワーク、標準的医療の実践、鋭敏な臨床評価指標、自然歴データなどが必要である。一方、DMは多彩な合併症を有すこと、未診断例や受診中断例が多く治療のばらつきが大きいこと、自然歴データが乏しいことなど課題が多い。本研究班は、難治性筋疾患の疫学・自然歴の収集及び治療開発促進を目的とした疾患レジストリー研究班(H26-難治性(難)-一般-086)(レジストリー班)や筋ジストロフィー臨床研究ネットワーク・国立病院機構、患者会などと協力し、患者登録推進、登録データ分析、臨床研究推進、標準的医療確立を目指す。これにより、新規治療の導入だけで無く、医療水準全般を向上させ生命予後・QOL改善に寄与する。
研究方法
1. 患者登録・臨床研究推進に向けた広報活動
 レジストリー班と協働し、ホームページや市民公開講座、学会活動など多チャネルでの広報を行う。
2. 呼吸管理の効果と阻害因子についての検討
 DMでは、早期から低酸素血症、睡眠時無呼吸症候群などが見られ、嚥下障害や咳嗽能力も低く呼吸器感染リスクが高い。一方、自覚症状に乏しく呼吸管理のコンプライアンスも低いため、呼吸管理のエビデンスは乏しい。専門病棟入院患者データベースを用いて呼吸管理の有効性を検討すると共に、追加調査で呼吸管理に影響する因子を明らかにする。
3. 経時的心電図解析による致死性不整脈予測因子の分析とデバイス治療適応の検討
 DMでは、心伝導障害や洞不全症候群が多く突然死の原因となるが、心電図異常の経時的変化についてのデータは乏しい。本研究では心電図を後方視的に経時分析し、致死性不整脈の予測因子の分析とデバイス適応の検討を行う。また、ペースメーカー・埋込型除細動器移植術の実施施設に、DMのデバイス埋込基準を調査し、本邦におけるデバイス治療の実態を明らかにする。
4. 持続血糖測定による詳細な血糖変動の検索とインクレチン療法の有効性検討
 DMでは、インスリン抵抗性に運動機能低下や筋萎縮も加わり独特な耐糖能異常が存在するが詳細は不明で、インクレチン関連薬のデータも乏しい。本研究では持続血糖測定器を用いて詳細な血糖変動を検索すると共にインクレチン療法の有効性評価も試みる。
5. 中枢神経障害の神経心理学的分析
 DMでは白質病変、特有の性格や認知症などがあり、受療行動やコンプライアンス、QOLにも影響する。本研究では複数の神経心理学的検査により認知機能障害の特徴を明らかにし、認知行動療法などQOL・受療改善に向けた対策を考察する。
6. 先天性DM医療管理の実態調査
先天性DMは高度な周産期医療を要するが、軽症の女性患者から発生することも多く、疾患に気付かずに対応が後手に回る場合が少なくない。子宮収縮抑制剤による横紋筋融解症のトラブルもある。小児科医や産婦人科医を対象とした実態調査を行う。
7. 筋ジストロフィー指定難病検討資料の作成
 筋ジストロフィーの指定難病移行のための検討資料を作成する。遺伝的・表現的多様性が見られること、原因遺伝子が未発見な疾患が多いことを踏まえ、筋ジストロフィー全体を単位として扱う。
結果と考察
1. 患者登録・臨床研究推進に向けた広報活動
患者登録は2014年10月に開始。研究班ホームページを2014年12月に開設し、基本的臨床情報や治療法開発の現状、患者登録や市民公開講座案内、スクリーニング法などのコンテンツを掲載している。市民公開講座を大阪、沖縄で実施したほか、患者会での講演、日本神経学会総会やAsian Oceanean Myology Centerなどの学会発表を行った。2015年4月末時点での患者登録数は190名に達した。
2. 呼吸管理の効果と阻害因子についての検討
呼吸器装着者の50%生存年齢は非装着者に比べ1.5年程度高かった。非装着者と非侵襲的人工呼吸管理者は呼吸不全死と呼吸器感染死が半数以上を占めたが、気管切開患者では呼吸不全死は10%未満に低下した。呼吸管理に影響を及ぼす因子を明らかにするための追跡調査を計画している。
3-6. 経時的心電図解析、持続血糖測定、中枢神経障害、先天性患者医療実態調査について、2014年度はプロトコルの作成を行った。2015年度から調査開始予定である。
7. 筋ジストロフィー指定難病検討資料の作成
 ファクトシートと診断基準・重症度基準を作成した。
結論
疾患レジストリー、臨床研究ネットワーク、患者会等を有機的に活用することで、筋強直性ジストロフィーの治験・臨床研究の推進と、医療水準の向上を図る。

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201446031C

収支報告書

文献番号
201446031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,052,000円
(2)補助金確定額
7,052,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,765,868円
人件費・謝金 16,168円
旅費 1,883,160円
その他 986,804円
間接経費 1,400,000円
合計 7,052,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-