文献情報
文献番号
201446027A
報告書区分
総括
研究課題名
発達障害者の就労定着を支援する多次元スマートセンシングシステムの開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
神尾 陽子(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 児童・思春期精神保健研究部)
研究分担者(所属機関)
- 山本義春(東京大学大学院教育学研究科)
- 菊地裕絵(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 心身医学研究部)
- 高橋秀俊(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 児童・思春期精神保健研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 障害者対策総合研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
発達障害者支援の最終目標は生涯を通してその人が持つ能力を最大限に発揮して社会参加し、高いQOLを実現することである。現状では発達障害者の就労状況は能力に見合っておらず、失敗からひきこもりに至る者も多い。発達障害者の精神変調は、本人の自覚や言語化が難しく、何が誘発刺激となりうるかは個人差も大きく、その結果、周囲から予測が困難で対応が遅れ、有効な手立てがないのも事実である。精神症状が顕在化、慢性化する前に、その人の生活機能の減弱の要因となっている環境および個人の感覚過敏特性などの多次元的評価にもとづく適切な対応が重要である。そうした環境内の音や光などの感覚刺激をまさにその場で客観評価するためには近年進歩の著しいコンピュータ援用による統合的なセンシング技術が有用である。
本研究は、医療従事者や支援者にとって発達障害者の職場や家庭など日常生活下での病態把握が可能となり、適切な環境調整や就労訓練、そして早めの適切な治療を受けやすくするための行動・心理・生理・環境情報のセンシングシステムを開発することを目的とする。
本研究は、医療従事者や支援者にとって発達障害者の職場や家庭など日常生活下での病態把握が可能となり、適切な環境調整や就労訓練、そして早めの適切な治療を受けやすくするための行動・心理・生理・環境情報のセンシングシステムを開発することを目的とする。
研究方法
発達障害者の事前評価および主観評価法の開発、発達障害者の事前評価、スマートフォン等を用いたデータ収集を行い、被験者から得られた連続データを統合して解析し、アルゴリズムの開発を行う。
結果と考察
これまで開発・使用してきた携帯情報端末(スマートフォン)のアプリケーションに、自己申告だけでなくそれを行った際の環境要因や生理状態を客観的指標として定量測定するための改良を加えた。EMA入力項目について、必要な改変を行った。本研究でEMAを入力するタイミングとなる「環境刺激に対して強い不快感を覚えた時」について事前調査項目およびチェックリストを作成した。発達障害を有する青年・成人を対象にモニタリング試用によるデータ収集を行い、解析を行った。また試用後の感想をもとに、必要な改変を検討した。
モニタリング試用の結果、現段階で家庭でも職場でも問題なく実施できることを確認した。今後、該当する条件の青年・成人を対象とした後続研究の発展が期待される。
モニタリング試用の結果、現段階で家庭でも職場でも問題なく実施できることを確認した。今後、該当する条件の青年・成人を対象とした後続研究の発展が期待される。
結論
研究成果の学術的意義については、発達障害者に特化したセンシングシステムの第1バージョンが完成した。今後、該当する条件の青年・成人を対象とした後続研究の発展が期待される。
研究成果の行政的意義については、本研究で確立された解析機能を持つデバイスが職場や訓練校に導入されれば、発達障害者に対する就労訓練の効率があがり、職場での適応向上が期待できる。
研究成果の行政的意義については、本研究で確立された解析機能を持つデバイスが職場や訓練校に導入されれば、発達障害者に対する就労訓練の効率があがり、職場での適応向上が期待できる。
公開日・更新日
公開日
2015-09-17
更新日
-