文献情報
文献番号
201446015A
報告書区分
総括
研究課題名
小児・若年者の視覚障害の早期発見・診断・治療・訓練・リハビリ等の 自立支援に資する技術開発等に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
東 範行(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 病院 眼科・研究所 視覚科学研究室 )
研究分担者(所属機関)
- 木内 良明(国立大学法人広島大学)
- 仁科 幸子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 感覚器・形態外科部 眼科)
- 日下 俊次(学校法人 近畿大学)
- 近藤 峰生(国立大学法人三重大学)
- 堀田 喜裕(国立大学法人浜松医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 障害者対策総合研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
小児・若年者の失明・重篤な視覚障害の約90%は0歳で発症するので、多くが早期に発見・診断できないことが問題である。疾患の種類はきわめて多彩であり、原因や病態が明らかでないものも多い。早期に適切に診断し、治療やリハビリテーションを行えば、可能な限りの保有視覚の発達を誘導できる。本研究では、まず視覚障害疾患を早期に発見・診断する方法のプロトコールを作成する。原因・病態・経過が明らかでない疾患については、発症早期から無侵襲の生体検査によって構造と機能を詳細に把握して、原因や病態の解明と早期診断法に資する。早期発見・診断法を確立するとともに、早期治療と有効なリハビリテーション法の早期導入についてプロトコール化する。
研究方法
対象疾患は、先天異常、遺伝性疾患を含む小児・若年期に発症する重症視力障害疾患である。早期発見・診断については、臨床データを集積して、初期兆候をとらえ、早期に発見する簡易検査システムを開発する。一方で、原因・病態不明の疾患では、機能観察によって、発症初期の病像と進行、薬物治療や手術を行えば治療経過を検討する。感染症では迅速PCR、遺伝性疾患では遺伝子変異の検索を行う。これらにより、原因や病態の解明に資するとともに、早期診断の根拠とする。早期治療・訓練・リハビリテーションについては、 弱視の程度と残存を早期に検出する方法の開発、機能評価に基づくリハビリテーション法を開発する。
結果と考察
1)眼底疾患の早期発見・診断法:手持ち式デジタルカメラと広画角撮影用で乳幼児の検査を行った。乳幼児健診が小児科医によって行われることを考えると、眼底スクリーニングには広画角撮影の方が有用である。
2)緑内障の早期発見・診断法:緑内障の視神経乳頭の所見を3次元画像で評価できると、疾患の有無、進行の判定に有用である。Heidelberg Retina Tomograph II で精度を検討し、座位と仰臥位で測定結果はほぼ一致した。座位で検査できない小児の眼圧検査に有用である。
3)網膜電図による早期発見・診断法:小型の皮膚電極網膜電図装置を小児に使用し、手持ち型計測装置(RETeval)で検査した。散瞳せずにERG記録が可能で、検査時間は短く5分以内であった。先天性網膜疾患を早期に診断できる信頼性ある方法である。
4)遺伝子検査による早期発見・診断法:無虹彩症の患児13症例で、6名の患児からPXA6遺伝子の4種の変異を同定した。
5)未熟児網膜症の早期手術: Stage 4A~5で硝子体手術を行い、5歳時に視力測定可能であった13例23眼を検討した。Stage 4A では0.03~0.6(中央値0.16)、stage 4Bでは光覚なし~0.1(中央値0.047)、 stage 5では光覚、0.15が1眼ずつであった。早期手術は有用と考えられる。
6)乳幼児健診の実態調査:全国1742市区町村おける3歳未満の視覚スクリーニングの実施率は1歳6ヵ月69.9%、3~4ヵ月64.2%が高率であるが、3ヵ月未満は7.7%と低率であった。小児科医や保健師が主体であり、スクリーニング法として3歳未満は問診と視診が多かった。今後、0歳からの重症眼疾患の効果的なスクリーニング法のマニュアル化と普及を図り、早期治療と有効なリハビリテーション法の早期導入を目指す
2)緑内障の早期発見・診断法:緑内障の視神経乳頭の所見を3次元画像で評価できると、疾患の有無、進行の判定に有用である。Heidelberg Retina Tomograph II で精度を検討し、座位と仰臥位で測定結果はほぼ一致した。座位で検査できない小児の眼圧検査に有用である。
3)網膜電図による早期発見・診断法:小型の皮膚電極網膜電図装置を小児に使用し、手持ち型計測装置(RETeval)で検査した。散瞳せずにERG記録が可能で、検査時間は短く5分以内であった。先天性網膜疾患を早期に診断できる信頼性ある方法である。
4)遺伝子検査による早期発見・診断法:無虹彩症の患児13症例で、6名の患児からPXA6遺伝子の4種の変異を同定した。
5)未熟児網膜症の早期手術: Stage 4A~5で硝子体手術を行い、5歳時に視力測定可能であった13例23眼を検討した。Stage 4A では0.03~0.6(中央値0.16)、stage 4Bでは光覚なし~0.1(中央値0.047)、 stage 5では光覚、0.15が1眼ずつであった。早期手術は有用と考えられる。
6)乳幼児健診の実態調査:全国1742市区町村おける3歳未満の視覚スクリーニングの実施率は1歳6ヵ月69.9%、3~4ヵ月64.2%が高率であるが、3ヵ月未満は7.7%と低率であった。小児科医や保健師が主体であり、スクリーニング法として3歳未満は問診と視診が多かった。今後、0歳からの重症眼疾患の効果的なスクリーニング法のマニュアル化と普及を図り、早期治療と有効なリハビリテーション法の早期導入を目指す
結論
眼底撮影、緑内障、網膜電図検査について乳幼児のための簡便かつ効率的方法を検討し、健診の実態を調査した。無虹彩症の遺伝子解析を行い、未熟児網膜症の早期手術の視力予後を検討した。
公開日・更新日
公開日
2015-09-17
更新日
-