新生児聴覚スクリーニングにおけるAuditory Neuropathy Spectrum Disorders症例の長期追跡研究

文献情報

文献番号
201446013A
報告書区分
総括
研究課題名
新生児聴覚スクリーニングにおけるAuditory Neuropathy Spectrum Disorders症例の長期追跡研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
加我 君孝(東京医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 松永 達雄(東京医療センター 臨床研究センター)
  • 坂田 英明(目白大学 保健医療学部)
  • 加我 牧子(東京都立東部療育センター)
  • 神田 幸彦(長崎ベルヒアリングセンター)
  • 浅沼 聡(埼玉県立小児医療センター)
  • 新正 由紀子(東京医療センター 臨床研究センター)
  • 守本 倫子(国立成育医療研究センター)
  • 仲野 敦子(千葉県こども病院)
  • 富澤 晃文(目白大学 保健医療学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 障害者対策総合研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
8,610,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新生児聴覚スクリーニングでDPOAE(+)、ABR(-)でreferとされた症例は、その後の追跡研究で3つに細分類化されることが出来、Type IはABR(-)が、ABRが正常化し、かつ聴力も正常となる。Type ⅡはDPOAE(+)であったものが、DPOAE(-)となり、高度難聴化する。Type ⅢはDPOAE(+)、ABR(-)の先天性Auditory Neuropathy (AN)そのものであるという2013年、トルコで開催されたPolitzer SocietyのANシンポジウムで加我が発表した案を紹介した。本研究班では各施設の症例が以上の3つのタイプに含まれるものか否か検討することを目的とした。
研究方法
新生児聴覚スクリーニングでDPOAE(+)、ABR(-)を呈する症例をAuditory Neuropathy Spectrum Disorders (ANSD)と定義し、発達をフォローアップし、DPOAEおよびABRがどのように変わるものか追跡研究を行う。
結果と考察
1.ANSDの正常化する症例について、目白大学の坂田英明先生から2症例報告された。Type Ⅰに相当することがわかった。
2.Type Ⅱの高度難聴化症例には人工内耳手術が良い成果があることが、国立成育医療研究センターの守本倫子先生と長崎ベルヒアリングセンターの神田幸彦先生、東京医療センターの松永達雄先生より報告された。神田先生より報告された2症例は両耳人工内耳手術で両耳聴を獲得している。治療には人工内耳手術が効果的であることがわかった。
3.Type Ⅲの先天性AN症例が千葉県こども病院の仲野敦子先生から紹介された。補聴器装用下に教育を受け、平成27年4月より難聴学級のある普通小学校へ入学する予定であることが報告され、今後普通小学校での適応が注目された。
4.Type Ⅲに相当する最近の真の小児のAN症例が2施設より紹介された。目白大学耳科学研究所クリニックでは、九州のK県で幼児期に育った症例で発音が美しいのが特徴で、現在補聴器のフィッティングを工夫していることが富澤晃文先生より報告された。東京医療センターの加我より、中国大連から精査を受けに来日した12歳女子について報告された。聴覚系の多種検査はANそのものであることが明らかであるが、普通中学の1年生で40人のクラスで成績が11番、趣味は小説を書くことである。このことは言語レベルは何ら問題なく、聴き取りは少し悪いが補聴器も人工内耳も不要であるという結論であった。
5.Type Ⅱに相当する小児神経疾患のDPOAE(+)、ABR(-)症例が2施設から紹介された。都立東部療育センターの加我牧子先生、山本晃子先生の両先生から、長期入院中の多数の低酸素事故症例が寝たきりのままであるが、ABR(-)、DPOAE(+)であることが紹介された。埼玉県立小児医療センターの浅沼聡先生からDPOAE(+)、ABRはI、II波のみ、Plizaeus Merzbacher症の1例が報告された。この症例も寝たきりの状態である。
考察
第1回の検討会はANSDは長期フォローアップすると多様な聴覚障害に分かれることが示唆される内容であった。今後はType I、Ⅱ、Ⅲの症例の発達を追跡するとさらに多様な聴覚障害により細分化する可能性があり、ANSDの解明のために本研究班の役割が期待される。新生児聴覚スクリーニングを経たANSD症例と小児神経疾患症例のそれぞれの病態生理の研究が大きな課題であることが判明した。
結論
ANSDはDPOAE(+)、ABR(-)である多様な難聴の新生児期の一時的な病態生理と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201446013C

収支報告書

文献番号
201446013Z