文献情報
文献番号
201446008A
報告書区分
総括
研究課題名
重度運動機能障害者支援のためのモジュール型非接触非拘束ジェスチャインタフェースの研究開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
依田 育士(独立行政法人産業技術総合研究所)
研究分担者(所属機関)
- 中山 剛(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
- 伊藤 和幸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 障害者対策総合研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
汎用のキーボードやマウスではパソコン操作が困難な不特定多数の運動機能障害者に対して,より簡易なパソコン操作や家電操作等を実現するジェスチャインタフェースの研究開発を行った.特に,誰でも購入可能になるような低価格でインタフェースを供給することを目的に,市販の画像距離センサを利用した非接触非拘束インタフェースを開発した.
このときに最も重要となるのは,多種多様な人々に対して,個々に簡易に,かつ低コストでカスタマイズする技術を実現することである.そのために,多種多様な障害者の動きを収集し,随意運動ができる体の部位を基に類型化を行い,モジュール化された認識エンジンの開発を実施してきた.そして,この成果を利用して,基礎的な長期実験を実施した.その長期実験のフレームワークや実験手法,具体的な実験状況について述べた.
このときに最も重要となるのは,多種多様な人々に対して,個々に簡易に,かつ低コストでカスタマイズする技術を実現することである.そのために,多種多様な障害者の動きを収集し,随意運動ができる体の部位を基に類型化を行い,モジュール化された認識エンジンの開発を実施してきた.そして,この成果を利用して,基礎的な長期実験を実施した.その長期実験のフレームワークや実験手法,具体的な実験状況について述べた.
研究方法
多種多様な障害者の動きを収集し,随意運動ができる体の部位を基に類型化を行い,モジュール化された認識エンジンの開発を実施してきた研究成果を継続する形で,障害者らのジェスチャの収集を行った.同時に,そのモジュール化された認識エンジンを利用して,3名の被験者の長期実験を実施した.これは,長期的なデータを取得しながらも,アジャイルに認識エンジンのモジュールやシステムの改良を行う手法を用いながら実施した.
結果と考察
部位別データの収集と分類に関しては,対象者は汎用のキーボードやマウス等の利用が非常に困難な人を基本対象とした.そこで,入力のためのジェスチャをする対象部位は以下のものとした.
・手腕(腕,肘,前腕,手,指)
・頭部(頭部全体の動き,舌の出し入れ,目)
・脚部の動作(足の大きな動作)
・肩
利用者である障害者本人とその介助者の意見を充分に聞きながら,これらの部位を利用したジェスチャを約2年程度の間に,現時点で合計36名から採取した.また,各被験者に関して,それぞれ可能性がある複数部位のジェスチャを採取したため,部位としては合計125部位の動きについて取得を行った.
不随意運動の多寡,まだ認識対象の動きの大きさが違う3名の被験者を選んで並行的に実験を進めた結果,随意と不随意の運動の大きさによる処理戦略の違いが明らかになってきた.被験者1は,不随意運動が少さく,かつ随意の動きが小さい典型例であった.このタイプのユーザーは,初期設定ができれば,運動の検出そのものは難しくないが,検出過剰の方が問題になる場合が多いことが分かってきた.また,ジェスチャを類型化して体の部位別にモデルを作ることを前提としたが,モデルを持たない手法で,より低コストに適応が可能ではないかと考えるきっかけともなった.一方,被験者3は,不随意運動は大きく,随意運動は小さい最も認識が困難な人の典型例である.ただし,一方で,距離画像を使うことでのみ,認識可能なユーザーである.このユーザーの事例では,マーカーを装着することで,実現可能になると考えている.
・手腕(腕,肘,前腕,手,指)
・頭部(頭部全体の動き,舌の出し入れ,目)
・脚部の動作(足の大きな動作)
・肩
利用者である障害者本人とその介助者の意見を充分に聞きながら,これらの部位を利用したジェスチャを約2年程度の間に,現時点で合計36名から採取した.また,各被験者に関して,それぞれ可能性がある複数部位のジェスチャを採取したため,部位としては合計125部位の動きについて取得を行った.
不随意運動の多寡,まだ認識対象の動きの大きさが違う3名の被験者を選んで並行的に実験を進めた結果,随意と不随意の運動の大きさによる処理戦略の違いが明らかになってきた.被験者1は,不随意運動が少さく,かつ随意の動きが小さい典型例であった.このタイプのユーザーは,初期設定ができれば,運動の検出そのものは難しくないが,検出過剰の方が問題になる場合が多いことが分かってきた.また,ジェスチャを類型化して体の部位別にモデルを作ることを前提としたが,モデルを持たない手法で,より低コストに適応が可能ではないかと考えるきっかけともなった.一方,被験者3は,不随意運動は大きく,随意運動は小さい最も認識が困難な人の典型例である.ただし,一方で,距離画像を使うことでのみ,認識可能なユーザーである.このユーザーの事例では,マーカーを装着することで,実現可能になると考えている.
結論
多種多様な障害者に対して,低コストで非接触非拘束センサを適合させるために,現実的な対象となる障害者の多種多様な動きを3次元情報として集め類型化を進めながら,同時に認識モジュールの長期実験を目的に研究開発を進めた.現時点は,まだ中間段階ではあるが,第一段階の目的であるデータ収集に関しては,36名からデータを収集し,125部位のデータを取得した.この障害者の随意運動が可能な部位データに関して,手腕(指,手首,前腕),頭部(頭部の振り,舌の出し入れ,目),脚部(膝下の振り,膝の開閉),肩という合計9種の動きに類型化を行った.
さらに,各部位に対して作られた認識モジュールを利用して,3人の被験者に長期実験を実施した.3段階のフェーズに分けて,各フェーズ1ヶ月程度を目安に実験を進行させている.複数の被験者に対して長期的な実験を行いながら,全体のフレームワーク,並びに各認識モジュールの内容を考察しながら進めた.その結果,障害の程度により4種のパターンに分類し,そのパターンに応じた現時点での処理戦略を明示することが出来た.
さらに,各部位に対して作られた認識モジュールを利用して,3人の被験者に長期実験を実施した.3段階のフェーズに分けて,各フェーズ1ヶ月程度を目安に実験を進行させている.複数の被験者に対して長期的な実験を行いながら,全体のフレームワーク,並びに各認識モジュールの内容を考察しながら進めた.その結果,障害の程度により4種のパターンに分類し,そのパターンに応じた現時点での処理戦略を明示することが出来た.
公開日・更新日
公開日
2015-09-17
更新日
-