重症心身障害児・者の身体特性を考慮した新規体幹保持装具による姿勢保持能力の開発

文献情報

文献番号
201446007A
報告書区分
総括
研究課題名
重症心身障害児・者の身体特性を考慮した新規体幹保持装具による姿勢保持能力の開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
梶浦 一郎(社会福祉法人愛徳福祉会 南大阪小児リハビリテーション病院)
研究分担者(所属機関)
  • 菅本 一臣(大阪大学大学院医学系研究科バイオマテリアル学教室寄付講座)
  • 吉田 清志(大阪大学大学院医学系研究会整形外科)
  • 濱崎 俊光(国立循環器病センター先進医療・治験推進部 )
  • 仲井 朝美(岐阜大学工学機械システム工学科)
  • 山野 洋一(社会福祉法人愛徳福祉会 南大阪小児リハビリテーション病院)
  • 竹本 潔(社会福祉法人愛徳福祉会 南大阪小児リハビリテーション病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 障害者対策総合研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症心身障害児・者の体幹保持機能障害は日常生活に多大な影響をもたらす。このような障害者の姿勢運動異常を是正、生活機能の向上の実現を目指し、重症心身障害児・者の全身性障害を考慮した新規体幹保持装具を用いて体幹保持機能改善を図る。また身体・生活機能の客観的評価法を確立し介護体制との適合化を目的とする。客観的機能評価の確立では従来困難であった障害者の日常生活動作での評価を行い新規体幹保持装具の有効性を詳細に評価する。介護体制との適合化では新規体幹保持装具による介護者への影響や従来の装具との比較調査を実施する。
研究方法
重症心身障害児・者への新規体幹保持装具を用いた身体的変化および生活機能において評価を行う。また既存の理学療法へのフィードバックを行う。身体・生活機能の客観的評価方法の開発では従来の主観的評価でなく圧力センサーや動作解析ツールを用いた新たな客観的評価方法を開発する。介護体制との適合化で、新規体幹保持装具による効果を従来の介護体制との適合化を計り、従来の装具との比較調査を実施する。(倫理面への配慮) 研究責任者及び分担者は、被験者の人権の保護の観点から被験者の健康状態、症状、年齢、性別、同意能力等を十分考慮し、本研究への参加を求めることの適否については慎重に検討する。また社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合には、特に慎重な配慮を払うこととする。外来及び入院において同意説明を行い、被験者本人による同意を得る。研究責任者又は分担者は、本研究への参加候補となる被験者本人に対して、南大阪小児リハビリテーション病院倫理委員会作成の同意説明文書を提供し、文書と口頭で十分な説明を行った後、本研究への参加の同意を文書で取得する。被験者本人の自由意思に基づく文書による同意を得る。被験者が説明の理解と同意能力が有しない場合は、被験者が未成年であれば保護者、成人あるいは保護者不在であれば法定後見人による同意取得を行う。同意取得にあたり研究責任者等は被験者に強制するなどにより、不利益、危険性等、被験者に不当な影響を及ぼすことの無いように留意する。また得られたデータは個人情報として扱われるべきものであるため、そのデータ管
理にはセキュリティーを十分考慮する。
結果と考察
(結果)体幹保持機能障害を有する障害者8名の新規体幹保持装具と体表面の接触圧を共同研究者の吉田らに解析を行わせた。その結果我々の開発した新規体幹保持装具の体との接触圧は従来の硬性装具より低くまた装具全体で均一に圧がかかっていた。障害者の日常生活動作の客観的評価方法の確立として、32名の障害者の座位での座圧の装具による変化を計測し共同研究者の竹本らに解析を行わせた。座圧は装具装着により均一化を認め、装具による座位バランスの改善を定量的に証明できた。また口腔機能として咬合力を12名に対して計測し、装具による咬合力の改善を認めた。11名の体幹保持機能障害を有する障害者のX線およびCT画像から3次元画像解析を共同研究者の菅本に解析を行わせた。体幹変形は回旋変形が終椎上部で大きく、回旋への装具の影響を考慮する必要があることが判明した。介護体制の適合、体幹保持機能改善のための検討会として講習会(平成27年1月)および研究会学術集会(平成27年2月)を行った。
(考察)新規体幹保持装具が従来の硬性装具と異なる特性を有していた。CT画像解析からも障害者の体幹変形は回旋を伴う高度な変形が大きく本装具が障害者の体幹保持機能障害に対する最適の装具となりうる可能性が示唆された。また体幹保持機能を改善することで今回得られた日常生活動作以外にも様々な効果がある可能性が示唆された。
結論
障害者に対する新規体幹保持装具は従来の装具と異なる特性を有し、安全性の高いものであった。また体幹機能改善を圧力による定量的評価だけでなく口腔機能の改善も定量的に評価し改善を認めた。CT解析からも高度な変形に対して有用な装具となりうると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2015-11-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-11-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201446007C

収支報告書

文献番号
201446007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,000,000円
(2)補助金確定額
6,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,240,525円
人件費・謝金 1,290,621円
旅費 0円
その他 3,565,961円
間接経費 1,000,000円
合計 8,097,107円

備考

備考
物品費(設備備品)のデータ解析用のソフトウェア代の購入費、その他(外注費)のPACSからの取得するデータ分析連携費用が掛かったため、自己負担となった。

公開日・更新日

公開日
2015-11-25
更新日
-