支援機器イノベーション創出のための情報基盤構築に関する研究

文献情報

文献番号
201446005A
報告書区分
総括
研究課題名
支援機器イノベーション創出のための情報基盤構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 誠志(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 高岡 徹(横浜市総合リハビリテーションセンター)
  • 鎌田 実(東京大学大学院 新領域創成科学研究科)
  • 飛松 好子(国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
  • 中村 隆(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 緒方 徹(国立障害者リハビリテーションセンター 病院)
  • 小野 栄一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 筒井 澄栄(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 硯川 潤(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
  • 井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 障害者対策総合研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
障害者・高齢者の社会参加のより一層の促進とQOLの向上を実現することを目指し、それを支える効果的な支援機器のイノベーションを、戦略的に推し進めるための情報基盤構築を目的とする。
研究方法
本研究は、以下の3つの研究班の体制で実施する。<データベース構築班>厚生労働省自立支援機器開発促進事業での開発事例データ、リハセンター等に寄せられる福祉機器開発の相談事例、補装具費支給制度における支援機器の給付状況データや各地のリハセンター等で実施している支援機器の選択・選定データ、利用効果データ等を収集しデータベース化する。合わせて効率的な情報収集の仕組みも構築する。<情報創発基盤班>これまでに構築してきた参加型デザイン手法による機器開発プロセスをテキストマイニング等の高度な情報処理技術で支援することで、参加者間の創発的なコミュニケーションを誘発する情報創発システムの確立を目指す。さらに、クラウドネットワーク上に情報創発システムを実装し、参加型機器開発の広域的な展開を可能にする方法論の構築を目指す。<人材育成基盤班>臨床評価倫理審査や、イノベーションに参画する当事者、専門職、大学生等を対象とした人材育成基盤を構築する。
結果と考察
<データベース構築班> 1) 支援機器開発事例データベース(以下DB)の構築:アンケート調査の結果、プロジェクト達成の鍵は試作開発時にあり、解決が困難な問題としては、モニター確保や倫理審査、金銭的問題など外的な要因が示唆された。2)支援機器開発相談DBの構築:アンケート調査の結果、開発相談を実施している施設における開発相談の実情と問題点があきらかになった。3) 補装具支給情報DBの構築:全国8 カ所の更生相談所から収集した各種帳票の分析から帳票の標準化を行い、これに基づくデータベースのプロトタイプと入力インターフェースを作成した。4) 義肢装具・車椅子・意思伝達装置の選択・選定情報DBの構築:国立障害者リハビリテーションセンター病院が保有するリハビリテーションデータベースと研究所義肢装具技術研究部が保有する義肢装具データベースの情報を連結したデータベースを構築し、義肢、特に義足と下肢切断者についてデータ構造の把握と解析を行い、機器の選択・選定に重要な因子を明らかにした。5) 支援機器の臨床評価および利用効果DBの構築:臨床評価および利用効果に関するデータベース構築のためのデータの構造を作成し、チェックリストとしてまとめた。この結果、目的に応じた適切な仮説とそれを証明するためのデザイン、エンドポイントとなる主要アウトカムの設定に関する情報が今後の開発研究者にとって特に有用であると考えられた。<情報創発基盤班> 6) 当事者参加型情報創発基盤の構築:情報創発を実現するためのウェブサイトの設計と試用を行い、SNS 上での投稿・コメントを中心とした情報発信・共有とデータベースによる検索・閲覧とを組み合わせることで、支援機器に関する多様な問題解決を期待できることが示された。<人材育成基盤班> 8) 臨床評価倫理審査の人材育成:アンケート調査の結果、支援機器に関する専門家の不足や取り扱い件数の少なさによる経験不足など研修の必要性が確認された。9) 当事者・専門職のイノベーション参画推進のための人材育成:「福祉工学カフェ」を実施した結果、フリーディスカッションやデモンストレーションが活性化し、いかに障害のある人とうまくコミュニケーションできるかが大きなポイントであることが示された。10) 支援機器コンテスト等による医療福祉・物作り系学生の人材育成:医療福祉系、デザイン系、工学系の学生の混合チームによる支援機器コンテスト「ニーズ&アイデアフォーラム」を開催した結果、異なる分野の学生が何度も会う度に少しずつ理解が進み、モノ作りの楽しさと難しさ、障害を持った人への配慮や使用する人の立場に立つことの重要性を知ってもらえることが確認出来た。
結論
支援機器の研究開発及び利用促進に資する情報データベースの構築に関しては、目標とする5 つのデータベースのデータ構造決定やデータの収集・解析が進み、来年度以降のデータベースの構築や試用に向けて準備が整った。支援機器に関する当事者参加型の情報創発基盤についても、インターネット上での情報創発プラットフォームのプロトタイプが出来上がり、今後これを試用しながら、その有効性を検証する。支援機器イノベーション推進のための人材育成基盤に関しては、イベントの開催を通じて、その有用性が明らかになったので、今後、より発展的に継続していく。

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201446005C

収支報告書

文献番号
201446005Z