重症心身障害データベースの構築・利活用のあり方と政策提言に関する研究

文献情報

文献番号
201446003A
報告書区分
総括
研究課題名
重症心身障害データベースの構築・利活用のあり方と政策提言に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
宮野前 健(国立病院機構南京都病院)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 征行(国立精神・神経医療研究センター病院)
  • 山本重則(国立病院機構下志津病院)
  • 三田 勝己(星城大学・大学院・健康支援学研究科)
  • 今井 雅由(国立精神・神経医療研究センター病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 障害者対策総合研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,940,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
旧国立療養所時代(2000年)にスタートした重症心身障害児(者)(以下SMIDと略す)データベースには、2006年国立病院機構に組織再編成されて以降も含め,入所利用者の約10,000名,延べ6万有余のデータが集積されてきた。そのデータから国立病院機構のSMIDの実態を分析してきた。
この研究では障害者総合支援法に基づく療養介護事業関連の項目を追加し,データベースの項目を厳選して集積したデータを分析することにより,医療的・福祉政策上の現状や課題・意義を明らかにすることで,医療と福祉が表裏一体である重症心身障害分野の障害福祉施策への提言と、その情報共有の仕組みを確立し現場の医療・療育の質の向上を目的とする。
研究方法
これまで国立病院機構病院を専用回線で結んでいたHOSPnetで登録を行ってきた。しかし日本年金機構個人情報流出事件に端を発した、個人情報取扱に関するセキュリティ制限から、新規データベースはHOSPnetを利用した登録が実質的に出来なくなった。そのためスタンドアローンPCからデータを入力し、データを回収するシステムの構築を第一に行う。
国際的比較が容易になるよう、また関連項目の比較分析するために、疾病データをICD-10に置き換える。
また過去10年間経過を追えた症例データを用いて生活機能の変化を分析する。

結果と考察
各施設でスタンドアローンのパソコンより入力が可能となるエクセルを用いた入力ファイル,及びそのデータをサーバーに自動移行するシステムを開発した。
主病名・合併症疾患名のICD-10コードの移行後、障害の主要原因や合併症の分析を行った。
死因分析では「呼吸器系の疾患」が60%から40%に減少しており、呼吸リハビリテーションやポジショニングなどの取り組みの成果と考える。
また10年間の追跡実態調査分析から生活機能の低下率が低いことが明らかとなり、SMID支援に関する医学・看護・療育・教育のknow-howが構築された成果の裏付けと考える。
将来の入所数の推移を、総出生数の減少予測,および之まで蓄積した重症児者の年齢別死亡率からSMIDの数は単調に減少すると予測され、2030年ごろから最大入院可能数を入院患者数が下回る結果となった。
本研究では蓄積されたデータを解析する事で、死亡原因や重症度の変化など,この20年間に於いてその状況は大きく変化したことが明らかとなった。
結論
旧国立療養所がSMIDの受け入れを始めた当初、余命20歳と言われていたが、医療と福祉が一体化された希有の施設形態の中で,SMID支援に関する医療・看護,療育などのより良い支援が構築され、余命は伸び続けている。
 一方で新生児医療の進歩により、助からなかった命が助かることで、SMIDの数は減ることがなく、人工呼吸器管理濃厚医療を必要とする医療ニーズの高いSMIDの比率は高くなっている。
 引き続きデータを積み重ね,入所者の実態変化の分析や,それに合わせた施設の在り方・医療・療育の内容などの検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2017-06-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201446003C

収支報告書

文献番号
201446003Z