文献情報
文献番号
201445011A
報告書区分
総括
研究課題名
ICTを利用した認知症ケアのための情報収集・蓄積とグッドプラクティス自動抽出システムの開発と検証研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
数井 裕光(大阪大学大学院 精神医学・老年精神医学)
研究分担者(所属機関)
- 池田 学(熊本大学大学院 神経精神医学・老年精神医学)
- 小杉 尚子(高崎健康福祉大学 健康福祉学部・ 医療情報学科)
- 鬼塚 真(大阪大学大学院 情報科学研究科・マルチメディア工学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 認知症研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
11,140,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
認知症患者の心理行動障害(Behavioral Psychological Symptoms of Dementia: BPSD)に対する対応マニュアルは数多く出版されているが、それらの対応法の有用性は確認されたことがない。本研究では、認知症の専門医とICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の専門家が協力して、ICTを用いて日本中の認知症専門医、介護の専門家、家族介護者などからBPSDに対する対応法とそれが奏功したか否かの情報を収集し、さらにその中から適切な対応法(グッドプラクティス(GP))と不適切な対応法(バッドプラクティス(BP))を自動抽出し、その結果を広く一般に公開するGシステムを構築する。
研究方法
初年度に臨床チームは、Gシステムの中に組み込まれるGPのデフォルトデータの構築をおこなった。また次年度からさらにGPおよびBPを広く大量に収集する方法の構築とそのために必要な研究体制の構築、資材の開発を行った。ICTチームは、小杉がGシステムに必要なデータを入力するデータ項目を臨床チームと協議しながら検討した。また認知症患者の高齢の介護者でもストレスなくデータ入力できるプラットフォームを検討した。鬼塚は、大量に収集されるGP、およびBP候補の対応法からGP、およびBPを抽出するための基本的な技術に関する検討を行った。
結果と考察
(1)臨床研究チームの成果
①Gシステム第1版のためのデフォルトGPデータの収集:先行研究で作成した疾患別重症度別ガイドブックに記載されているBPSDとその対応法をGシステムに利用しやすい形式に整理した。また川西市のつながりノートの記載から利用可能な部分を抽出した。さらにこの作業をより円滑に行うために、つながりノートの使用法をこのノートの使用者に周知する活動(連絡会、e-learningでの記載法の説明)をおこなった。また多数のノート使用者から必要なデータを収集するためのアンケート調査用紙を作成した。
②GP、BP収集協力者の確保:熊本大学では、今年度から研究最終年度まで中核となって本研究に継続的に協力し、GP、BPを収集、入力してくれる患者5名の家族介護者を確保し、集団プログラムを構築し実践した。
Gシステムで最初にBPSDを分類する大分類10項目を設定した。すなわち、物忘れ、幻覚・妄想、怒りっぽい・興奮・暴力、睡眠障害、徘徊・道迷い、自発性低下・うつ、拒絶・拒否、落ち着かない行動・不安・焦燥、介護疲れ・介護負担、その他である。
(2)ICTチームの成果
Gシステムを開発するために必要な基礎的検討を行い、Gシステムの基本設計書およびGシステム第1版を完成させた。
①介護に関連する複数の既存のwebサイトの調査:Gシステムの利用シーンを想定することで、Gシステムの機能やデザイン方針を確定した。ユーザーが閲覧するのは、午前10時前後および午後6時以降が多いことがわかった。またユーザーは、閲覧はipad、iphoneなどの携帯端末でおこなうが、入力はパーソナルコンピュータで行うと予想された。またユーザは介護疲れや介護のお金など、直接ケアに関連しない項目も大きな興味を持っていることが分かったので、これらを踏まえてGシステムをデザインした。
②開発フレームワーク等の確定と開発環境の整備:既存の技術を調査した結果、開発環境として使用実績が高く安定して動作しているMySQL, PHP, Apacheを選定すると共に、Gシステムの特性から開発フレームワークとしてWordPressを選定した。
③Gシステムの基本設計とプロトタイプの試作:ICTチームでは、毎週ミーティングを実施し、研究代表者の連携ノートや、研究分担者(鬼塚)の研究結果を踏まえて、サイトの入力項目やそれらの提示順序などを確定し、Gシステムのデータベース・スキーマとwebページデザインを確定した。
④GP・BP自動抽出アルゴリズム構築:疾患別重症度別ガイドブックを対象として、自然言語処理と分析機能を有するtext mining studio の有効性を検証したところ、統計的データ処理,単語の頻度分布分析、単語の共起関係などのデータの傾向分析ができることを確認できた。
⑤時系列変化,乖離の大きい例外データの検出,大量データの分析に関する基礎技術の検討:初年度は、論文に関する技術の変遷と販売データ介護情報以外のデータで検証を行い、有益な知識の分析が可能であることを確認した。
①Gシステム第1版のためのデフォルトGPデータの収集:先行研究で作成した疾患別重症度別ガイドブックに記載されているBPSDとその対応法をGシステムに利用しやすい形式に整理した。また川西市のつながりノートの記載から利用可能な部分を抽出した。さらにこの作業をより円滑に行うために、つながりノートの使用法をこのノートの使用者に周知する活動(連絡会、e-learningでの記載法の説明)をおこなった。また多数のノート使用者から必要なデータを収集するためのアンケート調査用紙を作成した。
②GP、BP収集協力者の確保:熊本大学では、今年度から研究最終年度まで中核となって本研究に継続的に協力し、GP、BPを収集、入力してくれる患者5名の家族介護者を確保し、集団プログラムを構築し実践した。
Gシステムで最初にBPSDを分類する大分類10項目を設定した。すなわち、物忘れ、幻覚・妄想、怒りっぽい・興奮・暴力、睡眠障害、徘徊・道迷い、自発性低下・うつ、拒絶・拒否、落ち着かない行動・不安・焦燥、介護疲れ・介護負担、その他である。
(2)ICTチームの成果
Gシステムを開発するために必要な基礎的検討を行い、Gシステムの基本設計書およびGシステム第1版を完成させた。
①介護に関連する複数の既存のwebサイトの調査:Gシステムの利用シーンを想定することで、Gシステムの機能やデザイン方針を確定した。ユーザーが閲覧するのは、午前10時前後および午後6時以降が多いことがわかった。またユーザーは、閲覧はipad、iphoneなどの携帯端末でおこなうが、入力はパーソナルコンピュータで行うと予想された。またユーザは介護疲れや介護のお金など、直接ケアに関連しない項目も大きな興味を持っていることが分かったので、これらを踏まえてGシステムをデザインした。
②開発フレームワーク等の確定と開発環境の整備:既存の技術を調査した結果、開発環境として使用実績が高く安定して動作しているMySQL, PHP, Apacheを選定すると共に、Gシステムの特性から開発フレームワークとしてWordPressを選定した。
③Gシステムの基本設計とプロトタイプの試作:ICTチームでは、毎週ミーティングを実施し、研究代表者の連携ノートや、研究分担者(鬼塚)の研究結果を踏まえて、サイトの入力項目やそれらの提示順序などを確定し、Gシステムのデータベース・スキーマとwebページデザインを確定した。
④GP・BP自動抽出アルゴリズム構築:疾患別重症度別ガイドブックを対象として、自然言語処理と分析機能を有するtext mining studio の有効性を検証したところ、統計的データ処理,単語の頻度分布分析、単語の共起関係などのデータの傾向分析ができることを確認できた。
⑤時系列変化,乖離の大きい例外データの検出,大量データの分析に関する基礎技術の検討:初年度は、論文に関する技術の変遷と販売データ介護情報以外のデータで検証を行い、有益な知識の分析が可能であることを確認した。
結論
Gシステムの設計に必要なBPSDとその対応法に関するデフォルトデータを収集した。またGシステムの基本設計書およびGシステム第1版を完成させた。またGP・BP自動抽出アルゴリズム構築を開始した。
公開日・更新日
公開日
2016-03-14
更新日
-