文献情報
文献番号
201445010A
報告書区分
総括
研究課題名
アルブミンの劣化に主眼をおいたアルツハイマー病発症前診断 及びその治療応用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山本 圭一(大阪市立大学 医学部老年内科神経内科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 認知症研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,539,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
AD発症前段階から治療介入できれば、より効果的に認知症発症を抑制できる可能性が高く、そのため申請者が発見したアルブミンAβ複合体の低下やアルブミンの変化について、次の点を明らかにしたい。
①現在抗Aβ抗体と抗アルブミン抗体とのサンドイッチ法にて複合体を測定しているが、抗アルブミンAβ複合体抗体と抗アルブミン抗体とのサンドイッチ法の方が感度、特異度とも高いであろう。大阪市立大学工学部と協力し抗アルブミンAβ複合体抗体を作成し、複合体の濃度を測定する。
②アルブミンの性質の変化に関しては、酸化や糖化などが知られているが、酸化型は加齢にて増加し、糖化型は高血糖にて増加する。加齢も糖尿病もADのリスクファクターとして知られている為、これらのファクターによりアルブミンが修飾を受けAβと結合しにくい形態となり、AβをクリアランスできずADが発症すると考えている。AD患者ではアルブミンはどのような修飾を受けているのか検証する。
①現在抗Aβ抗体と抗アルブミン抗体とのサンドイッチ法にて複合体を測定しているが、抗アルブミンAβ複合体抗体と抗アルブミン抗体とのサンドイッチ法の方が感度、特異度とも高いであろう。大阪市立大学工学部と協力し抗アルブミンAβ複合体抗体を作成し、複合体の濃度を測定する。
②アルブミンの性質の変化に関しては、酸化や糖化などが知られているが、酸化型は加齢にて増加し、糖化型は高血糖にて増加する。加齢も糖尿病もADのリスクファクターとして知られている為、これらのファクターによりアルブミンが修飾を受けAβと結合しにくい形態となり、AβをクリアランスできずADが発症すると考えている。AD患者ではアルブミンはどのような修飾を受けているのか検証する。
研究方法
①感度、特異度のより高い検査法の開発
現在抗Aβ抗体と抗アルブミン抗体とのサンドイッチ法にて複合体を測定しているが、感度、特異度とも80%弱である。更に感度、特異度を向上させる為、抗アルブミンAβ複合体抗体と抗アルブミン抗体とのサンドイッチ法を開発する。抗アルブミンAβ複合体抗体は大阪市立大学工学部准教授立花太郎先生と協力し作成する。具体的には、ヒト血清アルブミンにAβ1-42ペプチドを加え、複合体を形成させた後、ゲル濾過クロマトグラフィーで精製し、マウスに投与しモノクローナル抗体を作製。Aβ単独やアルブミン単独に反応せず、アルブミンAβ複合体のみを認識する抗体をスクリーニングする。その抗体を用い、血清アルブミンAβ複合体の測定値と、ADの発症リスクにつき検証する前向きコホート研究を大阪市立大学医学部老年科神経内科にて行う。大阪市立大学では平成19年度よりPIB-PETを導入しており、すでに300例以上撮影を行っており、またPIB-PET撮影者の血液検体が保管されている。PIB-PET陽性でかつADを発症していない患者をピックアップし、血清アルブミンAβ複合体の値により、血清採取時より2年間以内にどの群が有意にADを発症しやすいかを、年齢、性別、家族歴、教育歴などを加味した多変量解析を行う。解析は大阪市立大学血液内科講師康秀男先生と協力して行う。
②アルブミン修飾解析
MCIやAD患者の脳には、Aβが凝集した老人斑を認めるが、その中にはCuやZnなど2価の金属が多く含まれ(Journal of the Neurological Sciences 158: 47-52: 1998)、CuやZnはAβを凝集させ、神経毒性を持たせる(Br J Pharmacol. 163: 211-219: 2011)ことが報告されている。また、アルブミンはCuと結合しやすい蛋白である。以上から、MCIやAD患者では非認知症群に比べアルブミンがCuと結合しにくい状態になっており、そのためCuを介したAβとの結合ができず複合体量が減少し、その結果Aβ及びCuが脳内に留まりし神経毒性を発揮すると仮定し、銅イオンと結合できる正常アルブミンの量を測定する方法で、軽度認知障害とアルツハイマー型認知症を、非認知症群と鑑別できるかについて横断的に検証した。
現在抗Aβ抗体と抗アルブミン抗体とのサンドイッチ法にて複合体を測定しているが、感度、特異度とも80%弱である。更に感度、特異度を向上させる為、抗アルブミンAβ複合体抗体と抗アルブミン抗体とのサンドイッチ法を開発する。抗アルブミンAβ複合体抗体は大阪市立大学工学部准教授立花太郎先生と協力し作成する。具体的には、ヒト血清アルブミンにAβ1-42ペプチドを加え、複合体を形成させた後、ゲル濾過クロマトグラフィーで精製し、マウスに投与しモノクローナル抗体を作製。Aβ単独やアルブミン単独に反応せず、アルブミンAβ複合体のみを認識する抗体をスクリーニングする。その抗体を用い、血清アルブミンAβ複合体の測定値と、ADの発症リスクにつき検証する前向きコホート研究を大阪市立大学医学部老年科神経内科にて行う。大阪市立大学では平成19年度よりPIB-PETを導入しており、すでに300例以上撮影を行っており、またPIB-PET撮影者の血液検体が保管されている。PIB-PET陽性でかつADを発症していない患者をピックアップし、血清アルブミンAβ複合体の値により、血清採取時より2年間以内にどの群が有意にADを発症しやすいかを、年齢、性別、家族歴、教育歴などを加味した多変量解析を行う。解析は大阪市立大学血液内科講師康秀男先生と協力して行う。
②アルブミン修飾解析
MCIやAD患者の脳には、Aβが凝集した老人斑を認めるが、その中にはCuやZnなど2価の金属が多く含まれ(Journal of the Neurological Sciences 158: 47-52: 1998)、CuやZnはAβを凝集させ、神経毒性を持たせる(Br J Pharmacol. 163: 211-219: 2011)ことが報告されている。また、アルブミンはCuと結合しやすい蛋白である。以上から、MCIやAD患者では非認知症群に比べアルブミンがCuと結合しにくい状態になっており、そのためCuを介したAβとの結合ができず複合体量が減少し、その結果Aβ及びCuが脳内に留まりし神経毒性を発揮すると仮定し、銅イオンと結合できる正常アルブミンの量を測定する方法で、軽度認知障害とアルツハイマー型認知症を、非認知症群と鑑別できるかについて横断的に検証した。
結果と考察
①抗アルブミンAβモノクローナル抗体作製
マウスに抗原投与、及びハイブリドーマは作製した。今後、目的とする抗体ができているかを確認する予定である。
検体に関しては、PIB陽性MCI患者より血清を集めている。複合体濃度の測定は、まだ行っていない。
②アルブミン修飾解析
当科に通院された14例の認知症を有さない他疾患患者(Control)、22例のPIB陽性MCI患者、26例のPIB陽性AD患者を対象に血液を採取し、銅イオン親和性アルブミンの濃度を測定し、一元配置分散分析及び多変量解析にて比較し、銅イオン親和性アルブミン濃度は、Control>MCI>ADの順で、低下することが分かった。
D.考察
抗アルブミンAβモノクローナル抗体が作製できれば、アルブミンAβ複合体の測定を開始する。また、アルブミンAβ複合体測定以外で、MCIを診断する方法として、血中銅イオン親和性アルブミンが、MCI(due to AD)及びADのバイオマーカーになる可能性がある。
マウスに抗原投与、及びハイブリドーマは作製した。今後、目的とする抗体ができているかを確認する予定である。
検体に関しては、PIB陽性MCI患者より血清を集めている。複合体濃度の測定は、まだ行っていない。
②アルブミン修飾解析
当科に通院された14例の認知症を有さない他疾患患者(Control)、22例のPIB陽性MCI患者、26例のPIB陽性AD患者を対象に血液を採取し、銅イオン親和性アルブミンの濃度を測定し、一元配置分散分析及び多変量解析にて比較し、銅イオン親和性アルブミン濃度は、Control>MCI>ADの順で、低下することが分かった。
D.考察
抗アルブミンAβモノクローナル抗体が作製できれば、アルブミンAβ複合体の測定を開始する。また、アルブミンAβ複合体測定以外で、MCIを診断する方法として、血中銅イオン親和性アルブミンが、MCI(due to AD)及びADのバイオマーカーになる可能性がある。
結論
アルブミンAβモノクローナル抗体作製、検体採取を継続して行っていく。併せて、血中銅イオン親和性アルブミンについても、更なる検証を行う。
公開日・更新日
公開日
2016-03-14
更新日
-