文献情報
文献番号
201444009A
報告書区分
総括
研究課題名
地域包括ケアシステム構築に向けた地域マネジメント力の強化手法ならびに地域リーダー養成プログラムの開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
川越 雅弘(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障基礎理論研究部)
研究分担者(所属機関)
- 小野 太一(国立社会保障・人口問題研究所 企画部)
- 山本 克也(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障基礎理論研究部)
- 沼尾 波子(日本大学 経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 長寿科学研究開発
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
11,830,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、地域マネジメント支援ツール(課題分析支援ソフト、計画策定マニュアル)の開発、ならびに人材育成プログラム開発を通じて、市町村による地域マネジメント力の向上を図ることを目的とする。
研究方法
本研究では、複数の協力市町村を対象とした、①日常生活圏域ニーズ調査データ分析、②第6期地域包括ケア計画策定、③地域ケア会議の運営等に対する直接支援を通じて、一般的な市町村でも活用可能な地域診断支援ツールの開発、ならびに第7期の地域包括ケア計画策定スキルの向上に資するマニュアル作成を行う。また、地域マネジメントを継続するためには、それを担うリーダーの養成、都道府県による継続的支援体制も必要となる。そこで、総務省の人材力活性化研究会のプログラムなども参考にしながら、地域包括ケア計画策定者ならびに地域作りのリーダーを養成するためのプログラム開発を行う。その上で、モデル県にて、県内の研究者を講師に入れながら同プログラムを試行し、その有効性の評価と継続支援体制のあり方の検証を行う。
初年度は、①地域診断支援ツールの初期開発(データ取り込み機能、クロス集計機能)、②計画策定支援を通じた市町村職員の支援ニーズ把握及びノウハウ獲得、③地域作りに向けた市町村の取り組み事例の収集・分析、④地域ケア会議の運営支援を通じた運営ノウハウの獲得、⑤既存の人材育成プログラムに関する実態調査などを実施した。
初年度は、①地域診断支援ツールの初期開発(データ取り込み機能、クロス集計機能)、②計画策定支援を通じた市町村職員の支援ニーズ把握及びノウハウ獲得、③地域作りに向けた市町村の取り組み事例の収集・分析、④地域ケア会議の運営支援を通じた運営ノウハウの獲得、⑤既存の人材育成プログラムに関する実態調査などを実施した。
結果と考察
まず、計画策定に関しては、市町村として把握したい項目・内容に関するアンケートから、1.どの医療機関が訪問診療を実施しているか、2.認知症高齢者の有病率やサービス受給状況、3.認知症高齢者の活動や社会参加状況、家族の介護負担、4.生活支援に対するニーズの内容及び量的把握、5.二次予防対象者の要支援・要介護への移行の実態やその特徴が把握できていない、また、計画策定者に対する支援を通じて、1.市町村は地域診断を行うための十分なデータを有しているが、それを地域診断にどのように活用すれば良いかがわかっていない、2.国から事業計画策定用のワークシートをもらっているが、数字を埋めることに意識が強く働き、推計方法の骨格やその考え方が理解できていないなどがわかった。
計画策定に関しては、本年度の支援を通じてわかった事実から、1.計画策定者は、例えば、ワークシートの全体像(構成、パーツの相互の関連性など)を理解せずに、細部から詰めに入るため、与えられた課題(ワークシートを埋める)をこなすといった仕事のパターンになっているのではないか、2.与えられたことをこなすパターンになっているため、何を分析したいのかと聞かれても、抽象的な受け答えしか出来ないことが多いのではないか、3.市町村が有するデータ(例:認定・給付データ)などを使えば、認知症高齢者の有病率は計算できるが、自分らが有するデータと分析したいことの間が思考としてつながっていないのではないかと推察した。これら課題に対しては、データ分析等の専門家が、市町村職員が分析したいことを丁寧に引き出し、その具体化の方法を助言すれば、職員自身でデータをある程度加工することは可能であると考察した。
次に、地域ケア個別会議に関しては、モデル市で検討してきた経過や内容について整理するとともに、デモ会議を通じて会議の司会者の進行方法の手順を検討・整理した。地域ケア会議では、専門家の多職種連携に留まらず、地域で関わる多様な立場の人々の参加と連携が必要となっているが、実際には地域課題について地域住民を巻き込んだケア推進会議を行なう自治体は少ないことなどがわかった。
地域ケア会議を含めた多職種会議の司会の困難さは、複数のこと(司会進行、時間の管理、意見の集約など)を1人で行う点にあると考えられた。また、司会者のスタンスとしては、“利用者の課題解決に向けて何をすべきか”を基軸に、参加した専門職の意見を幅広く吸い上げるという姿勢を示すことが重要であると考えた(司会者自身が、誘導したい方向があると、議論が活発にならないことの裏返し)。医療・介護の専門家、行政職員、地域住民の役割は異なるものであり、それぞれの立場に対応した研修プログラムの構築が、今後必要と考えた。
計画策定に関しては、本年度の支援を通じてわかった事実から、1.計画策定者は、例えば、ワークシートの全体像(構成、パーツの相互の関連性など)を理解せずに、細部から詰めに入るため、与えられた課題(ワークシートを埋める)をこなすといった仕事のパターンになっているのではないか、2.与えられたことをこなすパターンになっているため、何を分析したいのかと聞かれても、抽象的な受け答えしか出来ないことが多いのではないか、3.市町村が有するデータ(例:認定・給付データ)などを使えば、認知症高齢者の有病率は計算できるが、自分らが有するデータと分析したいことの間が思考としてつながっていないのではないかと推察した。これら課題に対しては、データ分析等の専門家が、市町村職員が分析したいことを丁寧に引き出し、その具体化の方法を助言すれば、職員自身でデータをある程度加工することは可能であると考察した。
次に、地域ケア個別会議に関しては、モデル市で検討してきた経過や内容について整理するとともに、デモ会議を通じて会議の司会者の進行方法の手順を検討・整理した。地域ケア会議では、専門家の多職種連携に留まらず、地域で関わる多様な立場の人々の参加と連携が必要となっているが、実際には地域課題について地域住民を巻き込んだケア推進会議を行なう自治体は少ないことなどがわかった。
地域ケア会議を含めた多職種会議の司会の困難さは、複数のこと(司会進行、時間の管理、意見の集約など)を1人で行う点にあると考えられた。また、司会者のスタンスとしては、“利用者の課題解決に向けて何をすべきか”を基軸に、参加した専門職の意見を幅広く吸い上げるという姿勢を示すことが重要であると考えた(司会者自身が、誘導したい方向があると、議論が活発にならないことの裏返し)。医療・介護の専門家、行政職員、地域住民の役割は異なるものであり、それぞれの立場に対応した研修プログラムの構築が、今後必要と考えた。
結論
市町村の地域マネジメント力を向上させるためには、一連の地域マネジメントプロセスを支援するためのツール開発、ならびに地域マネジメントの継続的推進を図るための人材育成(特に、ファシリテーション能力の向上)と、都道府県及び研究者による継続的な支援体制の構築が必要である。
公開日・更新日
公開日
2015-06-08
更新日
-