ＩＬ-３６ＲＮ欠損症としての膿疱性乾癬に対する革新的医薬品の開発に向けた病態解明と診療（診断及び治療）ガイドラインの作成

文献情報

• 文献番号: 201442027A
• 報告書区分: 総括
• 研究課題名: ＩＬ-３６ＲＮ欠損症としての膿疱性乾癬に対する革新的医薬品の開発に向けた病態解明と診療（診断及び治療）ガイドラインの作成
• 課題番号: -
• 研究年度: 平成26(2014)年度
• 研究代表者(所属機関): 杉浦 一充(名古屋大学大学院医学系研究科)
• 研究分担者(所属機関): -
• 研究区分: 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 難治性疾患等実用化研究（難治性疾患実用化研究）
• 研究開始年度: 平成26(2014)年度
• 研究終了予定年度: 平成26(2014)年度
• 研究費: 30,770,000円
• 研究者交替、所属機関変更: -

研究報告書（概要版）

行政効果報告

• 文献番号: 201442027C

成果

• 専門的・学術的観点からの成果: 汎発性膿疱性乾癬（GPP）との異同が不明であった妊婦に発症する疱疹状膿痂疹の少なくとも一部はIL36RN遺伝子変異があり、GPPと遺伝学的に全く同一の疾患であることを明らかにした。IL36RNヘテロ接合体遺伝子変異であってもGPPになることを明らかにしてきた。ジェノタイピングでIl1f5+/-マウスの作成に成功した。つづいてGPPモデルマウスの作成に成功した。さらにCARD14 遺伝子p.Asp176His多型が日本人では尋常性乾癬を伴うGPPの疾患感受性多型であることを発見し報告した。
• 臨床的観点からの成果: 疱疹状膿痂疹もIL36RN遺伝子変異のある症例があることを明らかにし報告した。水痘帯状疱疹ウイルスが膿疱性乾癬の原因となることを明らかにし報告した。リン酸コデインによる急性汎発性発疹性膿疱症にIL-36RN欠損があった症例を報告した。IL36RN遺伝子変異の迅速遺伝子診断法を開発した。2014年2月から2015年3月までに膿疱性乾癬45症例を収集した。IL-36RN欠損症によるGPPで、顆粒球単球吸着療法(GMA)、抗TNF-α抗体療法が有効である症例があることを明らかにした。
• ガイドライン等の開発: 2014年2月（本研究申請時）から2015年3月までに全国各地から膿疱性乾癬45症例を収集した。本邦における膿疱性乾癬の年間登録数は80強である。申請時点と合わせてほぼ本邦全地域にかけての115症例の膿疱性乾癬の診療実態を収集し、遺伝子診断を完了した。日本皮膚科学会から研究開発代表者の論文を5本引用したIL-36RN欠損症としての膿疱性乾癬を含む「膿疱性乾癬の診療ガイドライン2014年度版」が作成された。
• その他行政的観点からの成果: 難病情報センター膿疱性乾癬（汎発型）のホームページ（http://www.nanbyou.or.jp/entry/168）には本研究の成果も反映して、本邦でIL36RN遺伝子変異による膿疱性乾癬があることとCARD14 遺伝子p.Asp176His多型が膿疱性乾癬の疾患感受性多型であることについて記載されている。2015年度の膿疱性乾癬の厚労省特定疾患臨床調査票にIL36RN遺伝子検査の項目が追加された。
• その他のインパクト: ラジオNIKKEIのマルホ皮膚科セミナーという番組で、2014年11月27日に「膿疱性乾癬の責任遺伝子」というテーマで、本研究の成果の一部について、研究代表者が朗読解説をした。この番組の内容についてはSeminaria Dermatologie No.235とう雑誌にまとめられている。下記ウエブサイトからオンデマンドで聞くことも可能である。(http://medical.radionikkei.jp/maruho_hifuka/)

発表件数

• 原著論文（和文）: 10件 ; 村瀬千晶, 杉浦一充, 等:皮膚病診療 37; 381-384, 2015
• 原著論文（英文等）: 80件 ; Sugiura K, et al. J Invest Dermatol 2014;134:2472-4.など
• その他論文(和文): 13件 ; 杉浦一充：膿疱性乾癬の遺伝と多様な病型：臨床皮膚科 68;15-19, 2014など
• その他論文(英文等): 4件 ; Sugiura K. J Dermatol Sci 2014;74: 187-92.など
• 学会発表(国内学会): 64件 ; 杉浦一充 膿疱性乾癬の免疫遺伝学 仙台国際センター（第44回日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会）2014年11月23日など
• 学会発表(国際学会等): 9件 ; Ogawa M., Sugiura K., et al.73ｔｈ annual meeting of American association of Dermatology 2015年3月20日など
• その他成果(特許の出願): 2件 ; （特願2015-181223）と（特願2015-254560）
• その他成果(特許の取得): 0件
• その他成果(施策への反映): 0件
• その他成果(普及・啓発活動): 0件

特許

• 特許の名称: 関節症性乾癬モデル動物及び膿疱性乾癬モデル動物
• 詳細情報: 分類: ; 特許番号: 特願2015-181223 ; 発明者名: 秋山真志、杉浦一充、柴田章貴 ; 権利者名: 名古屋大学 ; 出願年月日: 20150914 ; 国内外の別: 国内

• 特許の名称: インターロイキン36受容体アンタゴニスト欠損症の治療薬
• 詳細情報: 分類: ; 特許番号: 特願2015-254560 ; 発明者名: 秋山真志、杉浦一充、柴田章貴 ; 権利者名: 名古屋大学 ; 出願年月日: 20151225 ; 国内外の別: 国内

主な原著論文20編（論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る）

• 原著論文1: Kaibuchi-Noda K, Sugiura K, Akiyama M.; Lipodystrophia centrifugalis abdominalis infantilis accompanied by idiopathic encephalopathy; J Eur Acad Dermatol Venereol , 30 (5) , 862-864 (2016); doi: 10.1111/jdv.13031.
• 原著論文2: Shibata A, Sugiura K, Furuta Y, et al.; Toll-like receptor 4 antagonist TAK-242 inhibits autoinflammatory symptoms in DITRA.; J Autoimmun , 80 , 28-38 (2017); doi: 10.1016/j.jaut.2017.01.007.

公開日・更新日

• 公開日: 2016-05-26
• 更新日: 2017-06-12

収支報告書

• 文献番号: 201442027Z