ゲノム解析技術および疾患特異的iPS細胞を用いた心筋症に対する革新的な医薬品開発研究

文献情報

文献番号
201442012A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノム解析技術および疾患特異的iPS細胞を用いた心筋症に対する革新的な医薬品開発研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
小室 一成(国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 難治性疾患等実用化研究(難治性疾患実用化研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201442012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
心筋症原因遺伝子スクリーニング系を構築し、心筋症患者の半数以上に原因遺伝子変異を検出した。臨床経過と関連する遺伝子変異を複数同定し、疾患の新規原因遺伝子変異も同定した。肥大型心筋症iPS細胞由来心筋細胞の形態的特徴を指標とした治療薬スクリーニング系で5,120化合物のスクリーニングを行うとともに、ヒット化合物を絞り込むための高次機能評価系を構築した。市販薬のスクリーニングを通して肥大型心筋症iPS細胞由来心筋細胞で認めるカルシウムトランジエントの異常を用量依存的に改善させる薬剤を1つ同定した。
臨床的観点からの成果
心筋症患者の原因遺伝子変異を効率的に検出するスクリーニング系を構築した。また変異の機能上の意義を解析するiPS細胞を用いた実験系を確立した。その結果、臨床経過と関連する遺伝子変異を複数同定し、変異型に応じた薬剤スクリーニングの可能性を示した。これらは今後の精密医療の実践に向けて重要な基盤情報となる。
ガイドライン等の開発
伝性心筋症の診断・治療法決定・予後推定に応用可能な遺伝子変異を同定しており、これらの知見は今後日常診療における遺伝子解析の普及とともにガイドラインへ反映させうる。
その他行政的観点からの成果
本事業では製薬企業2社と心筋症治療薬開発に向けた共同研究を行った。産学官連携活動を活性化するための政策立案の際、参考として活用される可能性がある。
その他のインパクト
既知遺伝子に変異を認めない家族性心筋症患者の全エクソンシークエンスを行うことにより、新規の心筋症原因遺伝子を複数同定した。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
16件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
2件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

特許の名称
多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法、並びに該方法に好適な培地添加剤、分化誘導調節剤、培地、培地作成用キット、及び多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導するためのキット
詳細情報
分類:
特許番号: 特願2014-178285
発明者名: 国立大学法人東京大学
権利者名: 国立大学法人東京大学
出願年月日: 20140902
国内外の別: 国内
特許の名称
心筋細胞の製造方法、心室型心筋細胞及びその製造方法、並びにスクリーニング方法
詳細情報
分類:
特許番号: 特願2014-208147
発明者名: 国立大学法人東京大学
権利者名: 国立大学法人東京大学
出願年月日: 20141009
国内外の別: 国内

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Yan Y, Tsukamoto O, Nakano A, et al.
Augmented AMPK activity inhibits cell migration by phosphorylating the novel substrate Pdlim5.
Nature Communications , 6 , 6137-  (2015)
10.1038/ncomms7137.
原著論文2
Hayashi T, Asano Y, Shintani Y, et al.
Higd1a is a positive regulator of cytochrome c oxidase.
Proc Natl Acad Sci U S A. , 112 (5) , 1553-1558  (2015)
10.1073/pnas.1419767112.
原著論文3
Sumida T, Naito AT, Nomura S, et al.
Complement C1q-induced activation of β-catenin signalling causes hypertensive arterial remodelling.
Nature Communications , 6 , 6241-  (2015)
10.1038/ncomms7241.
原著論文4
Hashimoto A, Naito AT, Lee JK, et al.
Generation of induced pluripotent stem cells from the patients with Duchenne muscular dystrophy and its induction to cardiomyocytes.
International Heart Journal , 57 (1) , 112-117  (2016)
10.1536/ihj.15-376.
原著論文5
Tobita T, Nomura S, Morita H, et al.
Identification of MYLK3 mutations in familial dilated cardiomyopathy.
Scientific Reports , 7 , 17495-  (2017)
10.1038/s41598-017-17769-1.
原著論文6
Tobita T, Nomura S, Fujita T, et al.
Genetic basis of cardiomyopathy and the genotypes involved in prognosis and left ventricular reverse remodeling.
Scientific Reports , 8 , 1998-  (2018)
10.1038/s41598-018-20114-9.
原著論文7
Sakai T, Naito AT, Kuramoto Y, et al.
Phenotypic Screening Using Patient-Derived Induced Pluripotent Stem Cells Identified Pyr3 as a Candidate Compound for the Treatment of Infantile Hypertrophic Cardiomyopathy.
International Heart Journal , 59 (5) , 1096-1105  (2018)
10.1536/ihj.17-730.
原著論文8
Kuramoto Y, Naito AT, Tojo H et al.
Generation of Fabry cardiomyopathy model for drug screening using induced pluripotent stem cell-derived cardiomyocytes from a female Fabry patient.
Journal of Molecular and Cellular Cardiology , 121 , 256-265  (2018)
10.1016/j.yjmcc.2018.07.246.

公開日・更新日

公開日
2016-05-25
更新日
2019-05-27

収支報告書

文献番号
201442012Z