新規化学修飾ヘモグロビン・α-1糖蛋白結合体(PHP-α-1 AGPの人工血液としての開発研究

文献情報

文献番号
199800451A
報告書区分
総括
研究課題名
新規化学修飾ヘモグロビン・α-1糖蛋白結合体(PHP-α-1 AGPの人工血液としての開発研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
西 勝英(熊本大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 前田浩(熊本大学医学部)
  • 北村信夫(熊本大学医学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 高度先端医療研究事業(人工血液開発研究分野)
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本年度は当初の計画に従いピリドキシル化ポリオキシエチレン・ヘモグロビン重合体(PHP)臨床応用に際して問題となるヘモグロビンによる内因性平滑筋弛緩因子の消去・阻害活性についてさらに検討を行い、この活性を抑制する方法を確立することを目的とし、以下の課題について研究をおこなった。1 ピリドキシル化ポリオキシエチレン・ヘモグロビン重合体(PHP)の摘出血管に対する作用に関する研究、2 PHP-a1AGのニトロソ化製剤の作製、3 人工血液を用いた臓器保存液に関する研究。
研究方法
摘出ラット血管を恒温槽に懸垂し、各種アゴニスト、アンタゴニストを投与してPHPの血管平滑筋発生張力に対する影響を観察した。各種蛋白のニトロソ化法およびニトロソ蛋白の分析法を確立するため、high performance liquid chromatography(HPLC)にHgCl2とGriess試薬の混合液よりなるflow reactorシステムをカップルさせた。このことにより、蛋白のニトロソ化を簡便に評価をおこなった。人工血液性心筋保護液を動物実験で使用し、その安全性と長時間心停止後の心機能回復を明らかする実験を行った。
結果と考察
化学修飾ヘモグロビンであるPHPはヘモグロビンに関する従来の報告と同様にin vitroの実験系でラットの大動脈におけるEDRF/NOを介する弛緩反応を未修飾のヘモグロビンと同程度に抑制することが明らかとなった。また、イヌ脳底動脈では直接的に血管を収縮させることが明らかとなった。さらに、予備実験で腸管平滑筋に対するアゴニスト刺激反応を抑制することが明らかとなった。蛋白のニトロソ化の効率を各種ヘモグロビンを含むSH含有蛋白について検討した。その結果、イソアミルナイトライトおよびニトロソグルタチオンを蛋白のニトロソ化剤として用いることにより、蛋白の機能を損なうことなく、各種ニトロソ化蛋白を作製できることがわかった。また、この様なニトロソ化蛋白は、この分子内にNO(ニトロウムイオン、NO+)を安定に保持しており、生体内において強い血管拡張作用と血流維持作用を発揮した。化学修飾ヘモグロビンであるPHPはヘモグロビンに関する従来の報告と同様にin vitroの実験系でラットの大動脈におけるEDRF/NOを介する弛緩反応を未修飾のヘモグロビンと同程度に抑制することが明らかとなった。また、イヌ脳底動脈では直接的に血管を収縮させることさらに、予備実験で腸管平滑筋に対するアゴニスト刺激反応を抑制することから、血管に対する弛緩洋区政作用は、ヘモグロビンのもつEDRF/NOを介する弛緩反応抑制作用のみならず、他の印紙の関与が示唆され、今後この問題についての検討が必要と考えられる。イソアミルナイトライトおよびニトロソグルタチオンを蛋白のニトロソ化剤として用いることにより、蛋白の機能を損なうことなく、各種ニトロソ化蛋白を作製でき、この様なニトロソ化蛋白は、この分子内にNO(ニトロウムイオン、NO+)を安定に保持していることから、PHPをニトロソ化することで、ヘモグロビンによる血管収縮、血液低下などの副作用を改善させ、より安全な人工酸素運搬体の開発が可能であることを示している。
結論
PHPはEDRF/NOを介する弛緩反応抑制作用以外にも血管、腸管平滑筋収縮に対して抑制作用を有している。イソアミルナイトライトおよびニトロソグルタチオンを蛋白のニトロソ化剤として用いることにより、蛋白の機能を損なうことなく、各種ニトロソ化蛋白を作製できる。

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