日本における関節リウマチ患者の現状と問題点を全国的に継続的に明らかにするための共同臨床研究

文献情報

文献番号
201441004A
報告書区分
総括
研究課題名
日本における関節リウマチ患者の現状と問題点を全国的に継続的に明らかにするための共同臨床研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
當間 重人(相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 末永 康夫(別府医療センター)
  • 松井 利浩(相模原病院 リウマチ科)
  • 金子 敦史(名古屋医療センター 整形外科)
  • 佐伯 行彦(大阪南医療センター 臨床研究部)
  • 税所 幸一郎(都城病院)
  • 吉永 泰彦(倉敷成人病センター)
  • 森 俊仁(相模原病院 手術部)
  • 杉井 章二(多摩総合医療センター)
  • 門野 夕峰(東京大学 整形外科)
  • 古川 宏(相模原病院 臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 難治性疾患等実用化研究(免疫アレルギー疾患等実用化研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦における関節リウマチ(RA)の有病率はおよそ0.4から0.5%と考えられており、約60から70万人のRA患者がいると推計されている。病因は不明のままであり根治療法は存在しない。そして多発性関節破壊により身体障害は進行し、QOLを低下させ、労働力低下を招いている難治性疾患である。しかしながら近年の薬物療法にみられる進歩はRA患者の予後を改善させている。すなわち、病態形成因子について解明が進められ、それらの知見に基づく生物学的製剤など新規RA治療薬の開発およびその臨床応用は、RA治療を劇的に変化させている。そのような状況で本邦におけるRA患者の現状はどのように変化しているのであろうか? 本研究計画の目的は現状の経年的把握にある。
研究方法
本研究は多施設共同で行われる関節リウマチ(RA)データベース作成事業であり、情報収集システムの拡充と改良および収集項目の検討を行った後、多数施設からの患者情報入力作業と統計学的解析をすすめていくものである。情報の収集はWEBによるEDCを用いた。
結果と考察
2002年度以降の現状を経年的に明らかにすることができた。登録患者数も漸増を続け、2014年度には13286人のデータを収集することができた。標準薬とされるメトトレキサート投与頻度や投与量の増加や生物学的製剤等新規薬剤の投与頻度増加とともに疾患活動性・身体機能の改善、のみならず有害事象の減少傾向などが初めて観測され始めた。医療費用の増加という医学以外の問題点も明らかとなってはいるが、本邦におけるRA診療は望ましい方向へ向かってきていることが検証されつつある。
結論
2002年度から開始継続されている本疫学研究も13年目を迎えた。この間、全国規模の多施設共同RAデータベース(NinJa)が途切れることなく構築されてきたこと自体が、まずは大きな成果であると言えよう。このデータベースは本邦におけるRA患者の現状を全国レベルで把握することができる唯一のデータベースである。すなわち1)多施設共同研究であり、2)登録情報が近年10000患者を超えている、さらには3)参加を希望する施設が増加しているという現状が担保しているものと感謝している。単年度に関する解析は1年以内に解析・報告するようにしているが、n数のおかげで短期間ながら質の高いものとなっているはずである。新規治療法が今後続々と導入される現在、本データベースは継続的に蓄積されていくべきものであり、本邦におけるRA実状の把握、治療法検証、及び有害事象の測定に極めて有用性の高いデータベースである。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201441004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
関節リウマチに伴う種々の肺病変とHLAとの関連を明らかにすることができた。今後、環境因子側の検討を行うことによりこれらの肺病変の合併を抑制できる可能性がでてきた。
臨床的観点からの成果
悪性疾患全体および悪性リンパ腫の11年間(2003~2013年度)の推移をみると、標準化罹患比は、それぞれ1および4でほぼ一定であった。悪性リンパ腫の発症に関連する因子は前年度のメトトレキサートもしくは免疫抑制薬(タクロリムス)の使用、高齢であった。薬剤関連リンパ増殖性疾患に関する情報収集が必要である。
ガイドライン等の開発
現在までのところガイドラインの作成には寄与していない。しかしながら、本邦における関節リウマチ診療の現状および問題点に関する経年的変化を十分なパワーで観測できていることから、ガイドライン作成に際して、その根拠(治療効果や有害事象の傾向)としての言及に耐えうる情報であると考えている。
その他行政的観点からの成果
関節リウマチの治療において、最も重要な抗リウマチ薬の使用頻度および使用量を正確に把握している本研究は、関節リウマチ診療の根幹に関連する医療費を算出している。そして高い効果が高価な薬剤によりもたらされていることを明らかにしている。このことは今後政策医療において、他疾患治療も含めて医薬品薬価のより適正な設定に寄与するものと考えている。
その他のインパクト
別記、論文や学会発表以外にはない。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
17件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
18件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Sugita S, Tohma S, Tanaka S. et al
Clinical characteristics of rheumatoid arthritis patients undergoing cervical spine surgery: an analysis of National Database of Rheumatic Diseases in Japan.
BMC Musculoskelet Disord , 13 (15) , 203-203  (2014)
10.1186/1471-2474-15-203.
原著論文2
Oka S, Furukawa H, Tohma S. et al
Protective effect of the HLA-DRB1*13:02 allele in Japanese rheumatoid arthritis patients.
PLoS One. , 9;9 (6)  (2014)
10.1371/journal.pone.0099453.
原著論文3
Furukawa H, Tsuchiya N, Tohma S. et al
HLA-DRB1*08:02 Is Associated with Bucillamine-Induced Proteinuria in Japanese Rheumatoid Arthritis Patients.
Biomark Insights. , 19 (9) , 23-28  (2014)
10.4137/BMI.S13654.

公開日・更新日

公開日
2015-06-25
更新日
2019-07-23

収支報告書

文献番号
201441004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,340,000円
(2)補助金確定額
2,340,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,616,596円
人件費・謝金 11,298,180円
旅費 3,390円
その他 83,332円
間接経費 5,400,000円
合計 23,401,498円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2019-07-23
更新日
-