生活習慣病の発症予防に資するための歯科関連プログラムの開発とその基盤整備に関する研究

文献情報

文献番号
201439021A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病の発症予防に資するための歯科関連プログラムの開発とその基盤整備に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
安藤 雄一(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 眞一(千葉県衛生研究所)
  • 深井 穫博(深井保健科学研究所)
  • 葭原 明弘(新潟大学歯学部 口腔生命福祉学科)
  • 相田 潤(東北大学大学院歯学研究科 社会疫学)
  • 山下 喜久(九州大学大学院歯学研究院・口腔予防医学)
  • 青山 旬(神奈川歯科大学歯学部・社会歯科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
8,512,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 特定健診・特定保健指導には現在、歯科関連プログラムは制度として導入されていない状況にあるが、[A]この導入を図る科学的な根拠、[B]導入するプログラムの内容、[C]導入のための基盤整備、の3点について検討した。
研究方法
 [A]の科学的根拠については、(1)歯科疾患・健康行動・メタボリックシンドロームとの関連についての文献レビュー、(2)前期高齢者における口腔の健康と肥満・糖尿病の関連についてJAGESデータを用いた横断研究、(3)三重県4市町における特定保健指導に早食い是正の行動目標を追加した介入研究を行った。
 [B]の導入するプログラムの内容については、(4)自前の研究結果を実践に活かしている島根県邑南町における事例の検討、(5)現時点で特定健診・特定保健指導に歯科関連プログラムが導入されている事例ないし類似した事例を踏まえた「特定健診・特定保健指導への歯科関連プログラム導入マニュアル」の作成、(6)全国の関係者約120名による意見交換会の開催、を行った。
 [C]の導入のための基盤整備では、(7)事業実践のための人材育成について北海道と沖縄県で行われた人材育成を目的とした研修会の視察等を通じた検討、(8)歯科専門職以外の職種に向けた歯科保健指導に対する環境整備そのための基盤整備として歯科保健指導陽動がサイトの開発、(9)成人歯科健診セルフチェックシステムの開発、を行った。
結果と考察
 [A]の科学的根拠のうち、(1)については歯科疾患・健康行動・メタボリックシンドロームとの関連についての文献レビュー結果から歯科保健を特定健診・保健指導と一体的に進めることには、有効と考えるに十分なエビデンスが認められ、歯科保健を特定健診・保健指導と一体的に進めることには有効と考えられた。(2)のJAGESデータを用いた全高齢者に対する横断研究では、性、年齢、居住する地域の都市度、婚姻状態、教育歴、所得、運動(歩行時間)、野菜摂取、肉や魚の摂取を調整した多変量ロジスティック回帰分析の結果、現在歯数が少ない人で、肥満ならびに糖尿病が有意に多かった。(3)の三重県内4市町での介入研究では、既存の特定保健指導に早食い是正の行動目標を付加したところ、受診者の37%が行動目標として採用し、この行動目標を採用した群では採用しなかった群に比べて体重が有意に減少した。
 [B]の導入するプログラムの内容のうち、(4)の島根県邑南町における事例検討では同町で行われた調査から、咀嚼能力の低い人の食事は低たんぱく・高炭水化物食で甘味嗜好が強く、メタボリックシンドロームとになりやすいいう結果が得られた。同町で行われている事業は、一次予防として各種講座での健康教育、二次~三次予防として特定健診(歯科相談としてアンケート調査、咀嚼テスト、唾液潜血検査、口腔診査も実施)、結果報告、特定保健指導、歯科受診勧奨が、一貫した保健指導の指針のもとに行われており、他の自治体や事業所で参考になる取り組みと思われた。(5)の「特定健診・特定保健指導への歯科関連プログラム導入マニュアル」では、モデルプランを特定健診の段階では全国共通の【梅】と地域オプションである【竹】(質問紙・唾液検査)と【松】(口腔診査)の3段階とし、この受け皿として特定保健指導、歯科保健指導(既存の歯科保健事業)などに整理した。(6)の意見交換会(2015.2.1)では、全国の関係者約120名が参集してグループワークによる意見交換を行い、マニュアルの内容に反映させた。
 [C]の(7)「人材育成に関する検討」では、歯科衛生士に対する人材育成が重要であり今回視察した北海道の研修事例の普及を図る必要はあるが全国展開するには量的な面で不十分と推測され、特定保健指導で中心的な役割を担っている保健師や管理栄養士等の関与が必要と考えられた。そのような意味で(8)の動画サイトの作成、(9)セルフチェックシステムの開発は重要と考えられた。
結論
 以上の成果は、特定健診・特定保健指導への歯科関連プログラムの導入に向けて、実践的に活用できる内容と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201439021C

収支報告書

文献番号
201439021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,512,000円
(2)補助金確定額
8,528,277円
差引額 [(1)-(2)]
-16,277円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,388,820円
人件費・謝金 1,225,390円
旅費 2,030,617円
その他 3,883,450円
間接経費 0円
合計 8,528,277円

備考

備考
「差引額」(-16,277円)のうち、「物品費」の差異(13,383円)については利息9円と研究代表者の自己負担額13,374円で充当し、「その他」の差異(2,894円)については利息200円と研究代表者の自己負担額2,694円で充当した。

公開日・更新日

公開日
2016-08-08
更新日
-