文献情報
文献番号
201439011A
報告書区分
総括
研究課題名
急性心筋梗塞に対するヒトIL-11製剤を用いた心筋保護治療の安全性・有効性に関する臨床試験
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
葭山 稔(大阪市立大学大学院医学研究科 循環器病態内科学)
研究分担者(所属機関)
- 澤 芳樹(大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科)
- 朝倉正紀(国立循環器病研究センター 臨床研究センター)
- 泉 康雄(大阪市立大学大学院医学研究科 薬理学)
- 大門貴志(兵庫医科大学 医療統計学)
- 藤尾 慈(大阪大学大学院薬学研究科 臨床薬効解析学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
急性心筋梗塞に対して、カテーテル再灌流治療が行われているが、臨床効果は、「虚血回避による細胞死抑制」というメリットと「再潅流によって生じる組織傷害(再潅流傷害)」というデメリットとの差し引きである。従って、再灌流傷害を抑制する急性期心筋保護治療の開発は、カテーテル治療の有効性を改善し、心不全発症抑制に寄与すると期待される。
我々は、基礎研究の成果として、インターロイキン(IL)-6ファミリーサイトカインのひとつであるIL-11が強力な心筋保護作用を示すことを明らかにしてきた。ヒト組み換え体IL-11製剤、オプレルベキンは米国で血小板減少症治療薬として使用されており、ドラッグ・リポジショニングにより、同剤を用いた急性心筋梗塞に対する心筋保護治療の開発を目標とする。その目標達成のために、本研究は、ST上昇型急性心筋梗塞症例を対象に、オプレルベキンを投与し心筋救済効果を検討する臨床試験を実施することを目的とする。
我々は、基礎研究の成果として、インターロイキン(IL)-6ファミリーサイトカインのひとつであるIL-11が強力な心筋保護作用を示すことを明らかにしてきた。ヒト組み換え体IL-11製剤、オプレルベキンは米国で血小板減少症治療薬として使用されており、ドラッグ・リポジショニングにより、同剤を用いた急性心筋梗塞に対する心筋保護治療の開発を目標とする。その目標達成のために、本研究は、ST上昇型急性心筋梗塞症例を対象に、オプレルベキンを投与し心筋救済効果を検討する臨床試験を実施することを目的とする。
研究方法
本研究は、我が国の未承認薬であるヒトIL-11製剤オプレルベキンを、海外の適応(血小板減少症治療薬)とは異なる目的(心筋保護)で使用することを目指す臨床試験である。また、オプレルベキンは、以前に旧山之内製薬が、我が国において血小板減少症治療薬として、第3相試験まで開発を行ったが、承認申請を取り下げたという経緯がある。
混合診療の問題をクリアするために、治験もしくは先進医療Bの承認のもと試験を施行する必要があり、PMDAおよび厚生労働省研究開発振興課に面談いただきながら、臨床試験の概要を決定することとした。
混合診療の問題をクリアするために、治験もしくは先進医療Bの承認のもと試験を施行する必要があり、PMDAおよび厚生労働省研究開発振興課に面談いただきながら、臨床試験の概要を決定することとした。
結果と考察
本臨床試験は、国内未承認で、海外で承認されている医薬品を、海外での適応と異なった用途に国内で使用するという極めてユニークな臨床試験である。PMDAから、治験としての承認を得るためには、新薬と同様に前臨床での安全性試験のデータを含めたフルパッケージの開発データが必要とされたため、治験ではなく先進医療B制度の承認のもとでの開発を選択することとなった。
また、先進医療B制度に関して、厚生労働省研究開発振興課のほうから、試験で用いる最大用量によりパイロット試験を数例行う必要性を指摘され、年度内に1例を施行した。
医薬品のシーズが枯渇しているとされる昨今、ドラッグ・リポジショニングによる新規治療開発に期待が高まっている。本研究の遂行過程が、今後のドラッグ・リポジショニング研究の推進に貢献することを期待する。
また、先進医療B制度に関して、厚生労働省研究開発振興課のほうから、試験で用いる最大用量によりパイロット試験を数例行う必要性を指摘され、年度内に1例を施行した。
医薬品のシーズが枯渇しているとされる昨今、ドラッグ・リポジショニングによる新規治療開発に期待が高まっている。本研究の遂行過程が、今後のドラッグ・リポジショニング研究の推進に貢献することを期待する。
結論
本研究では、IL-11製剤オプレルベキンを用いた心筋保護治療についての臨床試験を行うことを目的としている。本臨床試験を先進医療B制度の承認のもと進めることを決定し、その準備を開始した。
公開日・更新日
公開日
2015-09-16
更新日
-