循環器疾患の新たな治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201439010A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器疾患の新たな治療法の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
吉村 紳一(兵庫医科大学 脳神経外科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 坂井信幸(神戸市立中央市民病院脳神経外科)
  • 峰松一夫(国立循環器病研究センター副院長)
  • 豊田一則(国立循環器病研究センター脳血管部門)
  • 山上 宏(国立循環器病研究センター脳神経内科)
  • 松丸祐司(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院脳神経血管内治療科)
  • 佐々木真理(岩手医科大学医歯薬総合研究所超高磁場MRI診断・病態研究部門)
  • 平野照之(杏林大学医学部脳卒中医学)
  • 工藤與亮(北海道大学病院放射線部)
  • 森本 剛(兵庫医科大学臨床疫学)
  • 小笠原邦昭(岩手医科大学脳神経外科学講座)
  • 桑山直也(富山大学附属病院脳血管内治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
主幹動脈急性閉塞例の治療成績は全体に不良であり、tPA 静注療法が行われたとしても予後例が多い。我が国においても血管内治療が行われているが、2013年に報告された欧米の3つのRCTはいずれもその有効性を証明できなかった。そこで発症後4.5時間以内の脳主幹動脈急性閉塞症の無作為化比較試験(randomized controlled trial: RCT)を企画した。また同時に発症後24時間以内の脳主幹動脈閉塞症の前向き登録調査(Registry)も行うこととした。
研究方法
RESCUE-Japan RCTの基本デザインは多施設共同、無作為化、非盲検、標準治療対照、並行群間比較試験。適応基準に合致し、除外基準のいずれにも抵触しない症例をランダムに以下の2群に割り付けた;介入群(rt-PA静注療法を含む標準的治療に血内治療を追加する)、対照群(rt-PA静注療法を含む標準的治療のみ)。主要評価項目は発症90日後のmodified Rankin scale (mRS)の違いで、目標症例数は200 例(各群100例)、研究期間は2014年9月1日~2017年1月31日(入院および追跡期間)とした。
一方、RESCUE-Japan Registry2では適応基準に合致しない症例を前向きに登録する。発症後24時間以内に来院した全症例が対象で、目標症例数は1,000 例、研究期間はRCTと同期間で、2014年9月1日~2017年1月31日(入院および追跡期間)とした。
結果と考察
本研究は研究計画通り進行し、症例登録が開始された。その後、2015年1月にオランダのRCT(MR CELAN)の結果が報告されたが、本研究の独立モニタリング委員は全参加施設に連絡の上、研究の継続を決定した。しかし、2015年2月の国際脳卒中学会で、さらに3つのRCTで治療効果が確認されたため、RESCUE-Japan RCTにおいては症例登録を一旦停止し、登録された18例の3ヶ月後の転帰を解析することとなった。一方、RESCUE-Japan Registry2については研究を継続することとなり、登録数はすでに400例を超えており、年内に中間解析を行う予定である。
急性期脳梗塞に対する治療については世界的に極めて大きな注目が集まっており、今後もRCTの結果が報告されると考えられる。一方、我が国では人種の違いや併用するrt-PA 静注療法の用量の違いなどがあるため、独自に血管内治療の有効性を確認する必要があると考えられる。このため、RESCUE-Japan RCTの初期症例の解析とともに、前向き登録研究であるRESCUE-Japan Registry2によって我が国の治療実態とその解析を行い、国民に有益な情報を発信したいと考えている。
結論
我が国における急性期脳梗塞に対する血管内治療の有効性確認のための比較試験であるRESCUE-Japan RCTは予定通り開始された。欧米のRCTの報告によりRESCUE-Japan RCTにおいては症例登録を一旦停止し、登録された18例の3ヶ月後の転帰を解析することとなった。一方、前向き登録研究であるRESCUE-Japan Registry2については登録進行中である。

公開日・更新日

公開日
2015-09-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201439010C

収支報告書

文献番号
201439010Z