予後不良の神経膠腫に対する標準治療の確立と希少癌組織のバイオバンクを目的とした多施設共同研究

文献情報

文献番号
201438138A
報告書区分
総括
研究課題名
予後不良の神経膠腫に対する標準治療の確立と希少癌組織のバイオバンクを目的とした多施設共同研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
成田 善孝(国立がん研究センター中央病院 脳脊髄腫瘍科 )
研究分担者(所属機関)
  • 村垣 善浩(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 先端工学外科学分野)
  • 市村 幸一(国立がん研究センター研究所 脳腫瘍連携研究室)
  • 隈部 俊宏(北里大学医学部 脳神経外科)
  • 嘉山 孝正(山形大学医学部 脳神経外科)
  • 淺井 昭雄(弘前大学医学部附属病院 脳神経外科)
  • 荒川 芳輝(京都大学医学研究科 脳神経外科)
  • 岩立 康男(千葉大学医学部脳神経外科)
  • 小林 浩之(北海道大学病院 脳神経外科)
  • 杉山 一彦(広島大学病院   がん化学療法科)
  • 竹島 秀雄(宮崎大学医学部脳神経外科)
  • 寺崎 瑞彦(久留米大学医学部脳神経外科)
  • 永根 基雄(杏林大学医学部脳神経外科)
  • 中村 英夫(熊本大学附属病院 脳神経外科 )
  • 西川 亮(埼玉医科大学 国際医療センター 脳・脊髄腫瘍科)
  • 別府 高明(岩手医科大学 脳神経外科・高気圧環境医学科)
  • 松村  明(筑波大学医学医療系人間総合科学研究科 機能制御医学専攻 脳神経機能制御医学)
  • 溝口 昌弘(九州大学大学院医学研究院 脳神経外科)
  • 武笠 晃丈(東京大学医学部脳神経外科)
  • 阿部竜也(大分大学医学部脳神経外科)
  • 若林 俊彦(名古屋大学大学院医学系研究科 脳神経外科)
  • 川原 信隆(横浜市立大学・医学研究科)
  • 廣瀬 雄一(藤田保健衛生大学医学部 脳神経外科)
  • 藤井 幸彦(新潟大学脳研究所 教授)
  • 角 美奈子(がん研究会がん研有明病院 放射線治療科)
  • 米盛  勧(国立がん研究センター中央病院 乳腺科・腫瘍内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性脳腫瘍の国内発生数は年間2万人で、約1/3が悪性脳腫瘍である。悪性脳腫瘍で最も多い神経膠腫はGrade II~IVに分類され、年間患者数は約4200人である。本研究では、2年生存率が未だ60%程度と予後不良のGrade III神経膠腫、および5年生存率が70%程度であるGrade II星細胞腫を対象に2つのランダム化第III相試験を行い、標準治療を確立する。
Grade IIIを対象としたJCOG1016試験では、標準治療であるRT(放射線治療)+TMZ(テモゾロミド)と比較する第III相試験を計画した。手術後、A群はRT+TMZおよび12コースのTMZ維持療法、B群はRT+ACNU(ニドラン)および6コースのACNU維持療法を行い、再発時にTMZを投与する。
Grade II神経膠腫のうち手術後残存のあるびまん性星細胞腫を対象としたJCOG1303試験では、現在の標準治療である手術後放射線治療であるRT単独とRT+TMZを比較する。手術後、A群はRT単独、B群はRT+TMZおよび12コースのTMZ維持療法を行う。
治療効果、予後、有害事象の予測因子となるバイオマーカーを同定するために、バイオバンクジャパンと共同して凍結組織ならびに血液検体のバンキングを開始するプロトコールを作成して、遺伝子解析等の基盤整備を行う。
研究方法
以下の二つの臨床試験を行う。さらに、バイオバンクジャパン(BBJ)と共同して、JCOG-BBJ脳腫瘍組織と血液検体のバンク化を推進するためのプロトコールを完成させ、検体収集と保管に関するプロトコールを作成し、研究体制の確立を目指す。
遺伝子解析はバイオバンクジャパンのほか、国立がん研究センター研究所脳腫瘍連携研究室にて行う。
本研究を通じて「オーダーメイド医療の実現プログラム」の一環として、治療効果、予後、有害事象を予測するバイオマーカーが同定され、個別化医療の実現に貢献し得ると考えられる。

①JCOG1016試験 
「初発退形成性神経膠腫に対する術後塩酸ニムスチン(ACNU)化学放射線療法先行再発時テモゾロミド化学療法をテモゾロミド標準化学放射線療法と比較するランダム化第III相試験(主任研究者:村垣善浩)」
②JCOG1303試験 
「手術後残存腫瘍のあるWHO Grade II星 細胞腫に対する放射線単独治療とテモゾロミド併用放射線療法を比較するランダム化第Ⅲ相試験(主任研究者:成田善孝)」

結果と考察
 JCOG1016試験は平成26年7月から登録が開始され、平成27年2月までに24例が登録された。JCOG1303試験は9月から登録が開始され、2例が登録された。JCOG脳腫瘍グループ35施設のうち、JCOG1016試験は32施設、JCOG1303は31施設の研究倫理審査委員会でプロトコールが承認され、平成26年度中には全施設で登録可能となる見込みである。
 これまでのところ本試験に伴う、重篤な有害事象等は報告されていないが、有害事象報告については、JCOGデータセンターによるモニタリングレポートをもとにグループ内での議論を行い、試験が安全にかつ迅速に行われるよう留意する。
結論
 国内で患者数が少ない稀少癌・難治癌である神経膠腫Grade II・IIIに対して、JCOGによるランダム化試験を開始した。今後も安全性に配慮しながら、臨床試験を行い標準治療の確立を目指す。またJCOG-BBJによるバンク化をめざし、診断・治療のためのバイオマーカー開発を進める。

公開日・更新日

公開日
2015-09-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201438138C

収支報告書

文献番号
201438138Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,000,000円
(2)補助金確定額
25,976,985円
差引額 [(1)-(2)]
23,015円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 12,495,352円
人件費・謝金 1,256,878円
旅費 482,578円
その他 5,744,856円
間接経費 6,000,000円
合計 25,979,664円

備考

備考
自己充当額2,679円

公開日・更新日

公開日
2016-08-08
更新日
-