再発又は難治性のALK陽性ALCLに対するアレクチニブ塩酸塩の開発

文献情報

文献番号
201438130A
報告書区分
総括
研究課題名
再発又は難治性のALK陽性ALCLに対するアレクチニブ塩酸塩の開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
永井 宏和(国立病院機構 名古屋医療センター 臨床研究センター 血液・腫瘍研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 前田 尚子(国立病院機構 名古屋医療センター 小児科)
  • 森 鉄也(聖マリアンナ医科大学 小児科)
  • 深野 玲司(国立病院機構 九州がんセンター 小児科)
  • 齋藤 明子(国立病院機構 名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 嘉田 晃子(国立病院機構 名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 浅田 隆太(国立病院機構 名古屋医療センター 臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
91,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ALK性未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は若年期に発症年齢のピークを示す非ホジキンリンパ腫である。ALK遺伝子の遺伝子転座をみとめ、ALK蛋白の過剰発現が病態の中心とされる。若年期に好発するが、日本の患者数は約90人/年と推計される極めて稀な疾患である。再発・難治例に対しては未確立であり、造血細胞移植を含むさまざまな治療が選択されるものの、化学療法抵抗難治症例の予後は極めて不良である。近年、ALK陽性の悪性腫瘍を対象にALK阻害剤の開発が行われている。第一世代のクリゾチニブをはじめ、これらの薬剤はALK陽性の非小細胞肺がんの画期的な分子標的薬としてすでに欧米、本邦にて臨床使用されている。クリゾチニブはALK陽性ALCLに対する開発は行われているものの、上市されていない。ALK阻害剤のALK陽性ALCLに対する開発は喫緊の課題である。本邦で第2世代のALK阻害剤であるアレクチニブ塩酸塩が開発された。本研究ではアレクチニブ塩酸塩の再発又は難治性ALK陽性ALCLを対象とした医師主導第Ⅱ相試験を実施する。世界に先駆けて、本邦で、再発又は難治性ALK陽性ALCLに対するアレクチニブ塩酸塩の製造販売承認事項一部変更承認を取得することを目的とする。本邦の医薬品開発では、小児及び成人を同時に開発が行わることはほとんどなかったが、アレクチニブ塩酸塩の開発においては、小児及び成人の両方を対象として医師主導治験を実施する。さらに、本試験の結果を基に、海外グループに、国際共同試験の実施を提案し、海外における適応取得も目的とする。
研究方法
国立病院機構名古屋医療センター、聖マリアンナ医科大学、国立病院機構九州がんセンターにて再発又は難治性ALK陽性ALCL患者を対象としたアレクチニブ塩酸塩の有効性と安全性を検討する医師主導臨床第II相試験を行う。
試験名:再発又は難治性ALK陽性ALCL患者を対象としたCH5424802(アレクチニブ塩酸塩開発コード名)の第Ⅱ相試験
主目的:再発又は難治性ALK陽性ALCL患者におけるCH5424802の有効性を検討。
副次目的:再発又は難治性ALK陽性ALCL患者におけるCH5424802の安全性及び薬物動態を検討。
試験デザイン:非対照、非盲検、多施設試験対象:小児(6歳以上)及び成人の再発又は難治性ALK陽性ALCL患者
目標症例数:10例。ただし、6歳以上、15歳未満の被験者を少なくとも3例含む。
治験薬の用法・用量:
本薬300mgを1日2回経口投与、21日間反復投与を1サイクルとする。ただし、体重35kg未満の被験者には、本薬150mg 1日2回投与する。原則として、最大16サイクルまでとして、16サイクル以降も投与継続が必要と治験責任医師/分担医師が判断した被験者は、継続投与を可とする。
結果と考察
平成26年9月8日にPMDAの薬事戦略相談の事前面談を実施し、試験デザイン等について相談を行った。当該相談内容を踏まえて、最初の計画では、医師主導治験を第I/II相として、実施予定であったが、第II相試験として実施することに変更した。平成27年1月28日にPMDAの薬事戦略相談を実施した。本相談後、治験実施計画書・患者同意説明文書を2月18日に固定した。平成27年3月4日の国立病院機構名古屋医療センターIRBにて審査を受け承認された。3月13日に治験届を提出した。
再発又は難治性ALK陽性ALCL患者を対象としたアレクチニブ塩酸塩の有効性と安全性を検討する医師主導治験(第II相)を開始した。アレクチニブ塩酸塩のALK陽性ALCLに対する開発は世界初である。ALK陽性ALCLは希少疾患であり、全国からの患者登録を強力に推進する必要があると考えられる。小児および成人の血液腫瘍研究グループとの協力を有機的に行うことが重要である。
これまで、本邦の医薬品開発において、小児及び成人を同時に開発が行わることはほとんどなかった。しかしながら、本薬の投与対象であるALK陽性ALCL患者は、20歳未満に多く、発症年齢中央値は10歳代であるが、成人においても発症が認められる。小児及び成人の両方を対象として医師主導治験を実施し、成人と小児の同時承認を目指すことが本試験の重要な部分であり、希少疾患の薬剤開発のモデルとなることが期待される。
結論
再発又は難治性ALK陽性ALCL患者を対象としたアレクチニブ塩酸塩の医師主導治験を遂行し、保険承認を得ることにより、希少疾患である当該患者の予後の改善を行う。

公開日・更新日

公開日
2015-09-15
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201438130C

収支報告書

文献番号
201438130Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
68,934,873円
(2)補助金確定額
68,934,873円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 8,717,853円
人件費・謝金 4,560,064円
旅費 971,170円
その他 38,771,808円
間接経費 15,913,978円
合計 68,934,873円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2016-11-18
更新日
-