文献情報
文献番号
201438114A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性がんの間質を標的にした分子イメージング法の開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
安永 正浩(独立行政法人 国立がん研究センター 東病院 臨床開発センター 新薬開発分野)
研究分担者(所属機関)
- 小西 大(独立行政法人 国立がん研究センター 東病院 肝胆膵外科)
- 成田 善孝(独立行政法人 国立がん研究センター 中央病院 脳脊髄腫瘍科)
- 倉津 純一(熊本大学 医学部 脳神経外科学)
- 佐賀 恒夫(放射線総合医学研究所 分子イメージング研究センター)
- 辻 厚至(放射線総合医学研究所 分子イメージング研究センター)
- 眞鍋 史乃(理化学研究所 伊藤細胞制御化学研究室)
- 小国 哲(株式会社日立メディコ 事業企画本部事業推進室)
- 豊田 孝一(株式会社日立メディコ 事業企画本部経営戦略室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
38,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
分子イメージングによる難治性のグリオブラストーマ(脳腫瘍)・膵臓がんの組織浸潤部情報や治療後残存viabilityを評価できる技術の創出と、将来的ながん検診・早期診断への応用のために、従来のがん細胞ではなく間質を標的にしたイメージング用プローブを開発する。画像自体の解像度に加えて質的診断の精度を上げることを目的とする。トランスレーショナル研究ではがん間質バイオマーカーとしてのフィブリンと組織因子(TF)の臨床病理学的特徴を明らかにする。また、臨床応用として抗間質イムノPET/SPECT或いはMRIプローブに関わる技術開発を行う。特に、イムノPET/SPECTでは間質標的のプローブが、細胞標的プローブと比較して感度向上と質的診断に優れていることを検証する。
研究方法
1.トランスレーショナル研究
ヒト膵臓がんと脳腫瘍の臨床検体を対象にして抗フィブリン抗体の免疫染色のプロトコール化のため、①抗原賦活条件、②ブロッキング試薬の選択、③一次抗体の濃度と溶解バッファーの選択、④二次抗体の選択と濃度、⑤洗浄法、⑥発色法についての条件を検討し、最適化を行った。
2.イムノPET・SPECTプローブの開発
抗フィブリン抗体の低分子Fab化と抗TF抗体のヒトキメラ化及び低分子scFv及びFab化を行った。さらに、抗フィブリン抗体IgGとFabについて膵臓がん遺伝子改変モデルマウスにおいて蛍光in vivoイメージングとSPECT検査による腫瘍集積性と体内動態を観察した。
3.イムノMRIプローブの開発
MRIプローブ用リンカーの試作品を作製して抗体付加法の予備検討をおこなった。
ヒト膵臓がんと脳腫瘍の臨床検体を対象にして抗フィブリン抗体の免疫染色のプロトコール化のため、①抗原賦活条件、②ブロッキング試薬の選択、③一次抗体の濃度と溶解バッファーの選択、④二次抗体の選択と濃度、⑤洗浄法、⑥発色法についての条件を検討し、最適化を行った。
2.イムノPET・SPECTプローブの開発
抗フィブリン抗体の低分子Fab化と抗TF抗体のヒトキメラ化及び低分子scFv及びFab化を行った。さらに、抗フィブリン抗体IgGとFabについて膵臓がん遺伝子改変モデルマウスにおいて蛍光in vivoイメージングとSPECT検査による腫瘍集積性と体内動態を観察した。
3.イムノMRIプローブの開発
MRIプローブ用リンカーの試作品を作製して抗体付加法の予備検討をおこなった。
結果と考察
1.トランスレーショナル研究
研究方法に記載した①-⑥の条件を最適化して、ヒト臨床検体を対象にした抗フィブリン抗体の免疫染色のプロトコール化を行った。脳腫瘍と膵臓がんについて、各臨床検体の症例数を蓄積しているところである。
2.イムノPET・SPECTプローブの開発
抗フィブリン抗体の低分子Fab化に成功して、膵臓がん遺伝子改変モデルマウスに対して蛍光標識抗体によるin vivoイメージングを行った。Fabプローブは投与後3時間で高い腫瘍特異的集積性を示し、24時間以内に体外に排出された。全長IgGと比較してクリアランスが早く撮影時間が大幅に短縮できることが判明した。次いで、111In標識した抗フィブリン抗体IgG及びFabのSPECT撮影を行った。オートラジオグラムでは腫瘍への集積性を認めたが、in vivoの撮影ではFabの有用性ははっきりしなかった。そこで、111Inよりもクリアランスが早く正常組織への集積が低い123Iでの標識検討を開始した。抗体プローブの市場調査作業が開始された。
3.イムノMRIプローブの開発
マルチサイトリンカー試作品の作製に成功した。抗フィブリン抗体への付加法の最適化を行った。イムノPET同様に抗体プローブの市場調査作業が開始された。
抗フィブリン抗体に関して免疫染色をプロコール化することで、実験者の違いに伴うサンプル間の染色性の違いを回避できるようになった。
蛍光標識抗体を用いたin vivoイメージングの解析結果から、抗体プローブが低分子化することで、安全で患者に優しい新規医療技術に資する内容であることが判明した。一方、SPECT観察では、低分子化抗体の有用性が示されなかった。低分子化抗体に合うクリアランスの早い核種の選択・最適化が必要と思われた。
イムノMRI用にガドリニウム付加用のマルチサイトリンカーの有望性が示されたことから、引き続きマルチサイトリンカーのブランチ数の最適化と安定的合成法の確立に取り組んでいく。
イムノPET・SPECTとMRIプローブの開発を進めるに当たり、企業側からの視点として市場調査はとでも重要である。今後の開発戦略の立案に役立てることができる。
研究方法に記載した①-⑥の条件を最適化して、ヒト臨床検体を対象にした抗フィブリン抗体の免疫染色のプロトコール化を行った。脳腫瘍と膵臓がんについて、各臨床検体の症例数を蓄積しているところである。
2.イムノPET・SPECTプローブの開発
抗フィブリン抗体の低分子Fab化に成功して、膵臓がん遺伝子改変モデルマウスに対して蛍光標識抗体によるin vivoイメージングを行った。Fabプローブは投与後3時間で高い腫瘍特異的集積性を示し、24時間以内に体外に排出された。全長IgGと比較してクリアランスが早く撮影時間が大幅に短縮できることが判明した。次いで、111In標識した抗フィブリン抗体IgG及びFabのSPECT撮影を行った。オートラジオグラムでは腫瘍への集積性を認めたが、in vivoの撮影ではFabの有用性ははっきりしなかった。そこで、111Inよりもクリアランスが早く正常組織への集積が低い123Iでの標識検討を開始した。抗体プローブの市場調査作業が開始された。
3.イムノMRIプローブの開発
マルチサイトリンカー試作品の作製に成功した。抗フィブリン抗体への付加法の最適化を行った。イムノPET同様に抗体プローブの市場調査作業が開始された。
抗フィブリン抗体に関して免疫染色をプロコール化することで、実験者の違いに伴うサンプル間の染色性の違いを回避できるようになった。
蛍光標識抗体を用いたin vivoイメージングの解析結果から、抗体プローブが低分子化することで、安全で患者に優しい新規医療技術に資する内容であることが判明した。一方、SPECT観察では、低分子化抗体の有用性が示されなかった。低分子化抗体に合うクリアランスの早い核種の選択・最適化が必要と思われた。
イムノMRI用にガドリニウム付加用のマルチサイトリンカーの有望性が示されたことから、引き続きマルチサイトリンカーのブランチ数の最適化と安定的合成法の確立に取り組んでいく。
イムノPET・SPECTとMRIプローブの開発を進めるに当たり、企業側からの視点として市場調査はとでも重要である。今後の開発戦略の立案に役立てることができる。
結論
膵臓がんや脳腫瘍などの難治性がんに対する病態を正確に把握するための診断法としての分子イメージングの活用と画像診断への応用がますます重要になってきた。抗間質抗体を用いたイムノPET・SPECT並びにMRIの開発が急務である。
公開日・更新日
公開日
2015-09-15
更新日
-