再発または難治性小児ALK陽性未分化大細胞型リンパ腫に対するクリゾチニブの第I/II相医師主導治験の実施計画(プロトコール)作成研究

文献情報

文献番号
201438110A
報告書区分
総括
研究課題名
再発または難治性小児ALK陽性未分化大細胞型リンパ腫に対するクリゾチニブの第I/II相医師主導治験の実施計画(プロトコール)作成研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
森 鉄也(聖マリアンナ医科大学小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 前田 尚子(名古屋医療センター)
  • 齋藤 明子(名古屋医療センター)
  • 嘉田 晃子(名古屋医療センター)
  • 浅田 隆太(名古屋医療センター)
  • 深野 玲司(九州がんセンター)
  • 大隅 朋生(国立成育医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、再発または難治性小児ALK(anaplastic lymphoma kinase)陽性未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma, ALCL)に対するクリゾチニブの第I/II相医師主導治験の実施計画(プロトコール)の作成である。
研究方法
1. 米国で行われた小児を対象とした第I相臨床試験(ADVL0912)を参考として、独立行政法人医薬品医療機器総合機構による薬事戦略相談事前面談における指摘事項、海外における同薬剤の開発に関する情報等等を踏まえてプロトコールを作成する。
2. クリゾチニブの製造販売企業である株式会社ファイザーに試験薬剤提供などの協力を依頼する。
3. 本試験の管理体制、および実施体制の環境整備を進めるとともに、海外におけるクリゾチニブの開発に関する情報等を収集する。
結果と考察
1. 薬事戦略相談事前面談を経てプロトコール骨子を策定した。概要を以下に示す。【試験名】再発または難治性小児ALK陽性未分化大細胞型リンパ腫に対するクリゾチニブの第I/II相医師主導治験【試験デザイン】第 I/II 相・オープンラベル・非ランダム化試験、および薬物動態試験【主な目的】[第I相パート]1) ADVL0912 研究の第 II 相試験推奨用量であるクリゾチニブ 280mg/m2 1日2回経口投与の安全性の確認、2) 毒性の評価、3) 薬物動態の評価、[第II相パート]1) 治療効果の評価、2) 毒性の評価。【プライマリーエンドポイント】[第I相パート]第II相用量における安全性(用量制限毒性(dose-limiting toxicity, DLT)発症数)、[第II相パート]奏功率。【用量】[第I相パート]用量レベルを以下に設定する(いずれも1日2回投与)。〈レベル0〉 165mg/m2(最大250mg/dose)、〈レベル+1〉 215mg/m2、〈レベル+2〉 280mg/m2。各用量レベルの患者数は3例。いわゆる3+3デザインにより第II相推奨用量を決定。[第II相パート]第I相パートにおいて推奨された用量。【有害事象の評価】the revised NCI Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) version 4.0により評価、記録、報告。【DLTの定義】ADVL0912研究と同一の設定。用量探索を目的としたDLTの観察期間は初回サイクル。【効果判定】ADVL0912研究と同一の設定。最良効果(Best Response)により治療効果を判定。【予定症例数】[第I相パート]再発または難治性ALK陽性ALCL患者、あるいは神経芽腫患者9~18例。[第II相パート]再発または難治性ALK陽性ALCL患者14例(第I相パートの第II相用量例を含む)。【第II相パート症例数設定の根拠】閾値奏功率を50%、期待奏功率を89%として、αを0.05(両側)、検出力を90%の設定とした場合の必要症例数は14例。
2. 株式会社ファイザーに試験実施に対する協力を依頼した。同社担当者からの「現時点でリンパ腫に対するクリゾチニブの開発計画はない」「同社による自主研究支援制度に応募し承認が得られれば、薬剤提供などの支援の可能性が生じる」の回答を受け、2015年3月に同制度に応募手続きを完了した。
3. 欧州における未治療小児ALK陽性ALCLに対するクリゾチニブを用いた国際臨床試験計画に関する情報収集を行うとともに、本件を含む日本における取り組みを紹介した。
4. 《考察》第I相試験の開始用量など、2回の薬事戦略相談事前面談において指摘された事項を概ね反映したプロトコール骨子を策定した。株式会社ファイザーとの交渉、同社による自主研究支援制度への応募に時間を費やした。試験薬剤の提供が決定され次第、薬事戦略相談を経てプロトコールを完成し、早期の医師主導治験の開始を目指す。日本人小児におけるクリゾチニブの安全性が確認されれば、欧州における国際臨床試験計画への参加は検討すべき選択肢と考えられた。
結論
再発または難治性小児ALK陽性ALCLに対するクリゾチニブの第I/II相医師主導治験のプロトコール骨子を策定した。薬剤提供などの協力を得るために、株式会社ファイザーによる自主研究支援制度に応募した。試験薬剤の提供が決定され次第、薬事戦略相談を経てプロトコールを完成し、早期の医師主導治験の開始を目指す。

公開日・更新日

公開日
2015-09-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201438110C

収支報告書

文献番号
201438110Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,940,000円
(2)補助金確定額
4,940,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 677,167円
人件費・謝金 0円
旅費 853,840円
その他 2,268,993円
間接経費 1,140,000円
合計 4,940,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2016-08-04
更新日
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