難治急性リンパ性白血病に対するボルテゾミブ追加多剤併用療法の国内導入(医師主導治験)

文献情報

文献番号
201438108A
報告書区分
総括
研究課題名
難治急性リンパ性白血病に対するボルテゾミブ追加多剤併用療法の国内導入(医師主導治験)
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
小川 千登世(国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
  • 熊本 忠史(聖路加国際病院 血液腫瘍科)
  • 前田 尚子(国立病院機構名古屋医療センター 小児科)
  • 木村 利美(東京女子医科大学病院 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
153,800,000円
研究者交替、所属機関変更
今年度における研究者交代、所属機関変更はありません。

研究報告書(概要版)

研究目的
小児および若年成人の難治急性リンパ性白血病(ALL)に対し、欧米未承認薬ボルテゾミブ(BZM)を追加した多剤併用療法の医師主導治験を実施し、欧米に先駆けて薬事承認を含めた一般化を目指す。
研究方法
平成26年度は、第Ⅰ相試験を実施するため、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の薬事戦略相談での助言をうけ、計画を修正後、第Ⅰ相試験の計画を固定。第Ⅰ相治験実施施設のIRB審査を経て、治験計画届出を行い、治験を開始する。第1相試験内で行うBZMの薬物動態試験に向けてはBZM投与時の薬物動態に関するデータを調査し、BZMの薬物動態特性を検討するとともにBZM薬物動態解析の至適採血プロトコールを検討する。
治験責任医師は、本治験参加に同意された被験者に対し、スクリーニング検査を実施する。適格基準に合致する被験者から再度文書にて同意を得た後に本治験に登録する。試験治療期間は、3-7日間のPSL単剤投与期と、それに続く35日間の多剤併用投与期からなり、治験薬は後者で使用される。主要観察項目として試験治療開始から後観察期間(試験治療中止後35日間)まで、用量制限毒性の発現の有無を観察する。また、薬物動態検査はday1, 4の治験薬投与に対して行われる。
さらに第Ⅱ相試験の実施に向け、第Ⅱ相試験の概略を検討し、実施体制を整備するとともに参加希望施設に対し概要の説明を行う。
試験全体の情報収集は、欧州Ⅰ-BFMグループとも連携して行う。
結果と考察
第Ⅰ相試験の計画策定に先立ち実施した3回目のPMDAの薬事戦略相談事前面談、および薬事戦略相談対面助言での助言により、研究申請前の2回目PMDA薬事戦略相談事前面談までの計画を一部修正、当初予定した国際共同試験のレジメンではなく、国内オリジナルレジメンでの実施、また、海外データは参考資料とし、国内データのみを申請資料とする方針とした。薬物動態および安全性の確認を目的に小児・若年成人での第Ⅰ相試験を医師主導治験として予定、治験実施計画書を作成、11月18日に計画書第1.0版を固定した。治験実施施設のIRB審査終了後、12月11日に治験計画届出を完了し、12月末より症例登録開始可能となった。実施計画書は平成26年12月17日に第2.0版に改訂を行った。
第1相試験内で行うBZMの薬物動態解析に向けては、海外の薬物動態試験を基に日本人における薬物動態試験の適正化を図り、ノンコンパートメントモデルおよびPK-PD解析に基づいたBZMの薬物動態を検討することが可能と考えられ、これに基づき、13ポイントの薬物動態のための採血ポイントを決定した。
平成27年3月11日現在、聖路加国際病院小児科には3例の被験者が他院より紹介された。2例は適格基準に合致しなかったため登録に至らず、1例は登録されたが、試験治療第1日の髄液検査で中枢神経浸潤陽性が判明し、治験中止となった。
平成27年3月18日現在、名古屋医療センター小児科には1例の被験者が他院より紹介されたが、L-asparaginaseによる膵炎の既往を認めたため組み入れに不適当と判断し登録に至らなかった。
年度当初の計画を薬事戦略相談結果により修正したため、国際共同試験での実施ではなく、国内での多施設共同研究となったものの、第Ⅰ相試験を開始できた。症例登録候補症例は月に1例以上発生しており、同意取得もあるが、安全性に配慮した適格除外基準により、試験治療開始には至ってはいない。来年度も症例登録を継続していく。
次の第Ⅱ相試験の実施に向けては、第Ⅱ相試験の概略および実施体制を検討し、参加を検討中の施設に対し、概要説明会を行った。全国から多くの施設が集まり、次への準備も順調に行なえている。
試験全体の情報収集については、第3回国際小児腫瘍会議にて海外での新薬の薬事承認に向けた試験の計画方法の最新情報を得るとともに、欧州Ⅰ-BFMグループのI-BFM-RDに出席し、BZMの併用試験の計画や実施の状況、安全性情報を収集した。また、本研究によるBZMの治験が国際共同試験としての実施でなくなったことについては、本試験の概要につき説明を行い、今後も継続的に連携をとり、情報収集していく。
結論
小児および若年成人の難治ALLに対するBZMの欧米に先駆けての薬事承認を含めた一般化を目指し、多剤併用療法にBZMを追加した医師主導治験を計画し、第Ⅰ相試験を開始し、第Ⅱ相試験の準備も開始した。
現在までのところ1例の登録があったものの、事後不適格となり中止、治験継続中の症例はないものの、来年度も海外での実施中の試験等での有効性安全性情報に注意しつつ、研究を進めていく。

公開日・更新日

公開日
2015-09-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201438108C

収支報告書

文献番号
201438108Z