オリジナル抗原HSP105由来ペプチドワクチンのFIH医師主導治験

文献情報

文献番号
201438107A
報告書区分
総括
研究課題名
オリジナル抗原HSP105由来ペプチドワクチンのFIH医師主導治験
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
中面 哲也(国立がん研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小島 隆嗣(国立がん研究センター)
  • 北野 滋久(国立がん研究センター)
  • 和田 聡(神奈川県立がんセンター)
  • 孝橋 賢一(九州大学)
  • 佐藤 暁洋(国立がん研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
112,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HSP105は研究代表者らが膵がんのSEREX法で同定したがん抗原で、ヒトの大腸がん、膵がん、食道がん、咽頭がん、乳がん、メラノーマなどの多様ながんに高発現し、がん細胞ではアポトーシスの抑制に関わっていること、さらにはがん特異性と免疫原性に優れた有望ながん抗原であることを報告してきた。我々は、日本人の約60%が陽性のHLA-A24、および欧米白人においてメジャータイプであり、日本人でも40%に陽性のHLA-A2のそれぞれに対して、それに結合してペプチド特異的CTLを誘導できるHSP105由来のペプチドを複数同定して、特許を出願、成立させている。
進行食道がんにおいては抗がん剤、進行大腸がんにおいては抗がん剤や高額な分子標的薬が使用されるが、その治療成績はまだ満足できるものではなく、その後の治療選択肢は限られており、依然として早急な治療開発が望まれる状況にある。
本研究では3年間の研究期間内に、標準的化学療法に不応/不耐となった進行食道がん、大腸がん患者を対象に、研究代表者らが同定したHSP105由来のペプチドを用いて、GCPに準じた臨床試験体制の下で、薬事承認につなげるためのペプチドワクチン療法のFirst in human (FIH)第1相医師主導治験を実施して、科学的エビデンスを創出することを目的としており、当該ペプチドワクチンの大手製薬企業への導出、企業治験の実施、医薬品としての承認申請までの道のりを一気に短縮することを目指している。
研究方法
HSP105由来ペプチドワクチンの第1相臨床試験医師主導治験の開始に必要な、GMPグレードの製剤作製、GLPの非臨床試験の実施、医師主導治験の体制整備(プロトコールの完成とCRF・システム開発)を行い、免疫学的解析法の確立及び適応拡大の検討を進める。
結果と考察
HSP105由来ペプチドワクチンの第1相医師主導治験の開始に必要な準備を粛々と実施した。7月1日にPMDAとの事前面談を済ませ、対面助言免除のお墨付きを得て、要求されたGLPでのラットを用いた4週間反復皮下投与毒性試験は2月中に完了した。GMPグレードのペプチド原薬は薬監証明を取得して輸入済みであり、今後治験開始までに自施設のCPCでGMPグレードの製剤を作製する。国立がん研究センターの治験審査委員会に4月中に申請し承認を得た後、治験開始届を提出して平成27年6月の治験開始を目指している。開始後は迅速な症例登録により、早期の症例登録終了を目指し、平成28年度の本研究最終年度終了時には十分な成果を報告できるよう努め、製薬企業へのライセンスアウト・企業治験での開発継続を目指す。また、免疫組織化学染色により、種々のがん腫でもHSP105蛋白発現を認め、幅広いがん腫がHSP105由来ペプチドワクチン療法の対象となる可能性が示唆された。
HSP105由来ペプチドワクチンの第1相医師主導治験の開始に必要な準備をほぼ予定通りに着々と進めることができた。PMDAに要求されたGLPでのラットを用いた4週間反復皮下投与毒性試験は2月中に完了し、特に問題ない結果が得られた。GMPグレードのペプチド原薬は薬監証明を取得して輸入済みであり、27年4月に自施設のCPCでGMPグレードの製剤を作製する準備は整っている。当初作成したプロトコールを見直すことができ、より魅力的な試験が可能となったと考えている。GCP試験の体制整備も問題なく構築されており、国立がん研究センターの治験審査委員会に27年4月に申請することを目指して、ほぼ出来上がっているプロトコール、CRF、各種標準業務手順書の完成を急いでいる。承認を得た後、治験開始届を提出して平成27年6月の登録開始を目指している。
結論
HSP105由来ペプチドワクチンの第1相医師主導治験の開始に必要な準備を粛々と実施した。7月1日にPMDAとの事前面談を済ませ、対面助言免除のお墨付きを得て、要求されたGLPでのラットを用いた4週間反復皮下投与毒性試験は2月中に完了した。GMPグレードのペプチド原薬は薬監証明を取得して輸入済みであり、27年4月に自施設のCPCでGMPグレードの製剤を作製する。国立がん研究センターの治験審査委員会に27年4月に申請し承認を得た後、治験開始届を提出して平成27年6月の治験開始を目指している。治験分担実施施設として神奈川県立がんセンターを追加して、開始後は迅速な症例登録により、早期の症例登録終了を目指す。また、免疫組織化学染色により、種々のがん腫でもHSP105蛋白発現を認め、幅広いがん腫がHSP105由来ペプチドワクチン療法の対象となる可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2015-09-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-09-15
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201438107C

収支報告書

文献番号
201438107Z