頭頸部腫瘍に対する強度変調放射線治療の確立と標準化のための臨床研究

文献情報

文献番号
201438089A
報告書区分
総括
研究課題名
頭頸部腫瘍に対する強度変調放射線治療の確立と標準化のための臨床研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
西村 恭昌(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 柴田 徹(香川大学 医学部)
  • 石倉 聡(順天堂大学 医学部)
  • 峯村 俊行(国立がん研究センター)
  • 板坂 聡(京都大学大学院 医学研究科)
  • 秋元 哲夫(国立がん研究センター 臨床開発センター粒子線医学開発分野)
  • 古平 毅(愛知県がんセンター中央病院)
  • 村上 祐司(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院)
  • 中村 聡明(京都府立医科大学)
  • 伊藤 芳紀(国立がん研究センター中央病院)
  • 土屋 和彦(北海道大学病院)
  • 小口 正彦(がん研究会有明病院)
  • 清田 尚臣(神戸大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
強度変調放射線治療(IMRT)は、最新の高精度照射法の一つであり、晩期障害を低減して局所制御を高めることが期待されている。しかしながら、わが国ではIMRTの線量評価法、線量分割法、治療計画法など各施設が独自の方法で行い、標準的なIMRT照射法は確立しておらず、その有効性と安全性を明らかにした多施設臨床試験もわが国ではなされていなかった。本研究では、症例ごとの個別化が重要で標準化が困難な頭頸部腫瘍を対象にIMRTの有効性と安全性を評価することを目的とする。
 
研究方法
 IMRTの有効性と安全性を明らかにするために、部位別あるいは照射法別のIMRTを用いた4つの多施設臨床試験を行う。JCOG1015では上咽頭癌に対する化学放射線療法IMRT、JCOG1208では早期中咽頭癌に対するIMRT単独治療、JROSG12-1では頸部食道癌に対する化学放射線療法IMRT、JCOG1008では進行頭頸部腫瘍に対する術後化学放射線療法IMRTの臨床試験を実施する。
 特に、頭頸部腫瘍IMRTの品質管理の総合的推進のため、すべての臨床試験参加施設に対して、IMRT治療計画のファントム線量分布計測の第三者評価、登録開始前に模擬症例を用いたIMRT治療計画のドライラン、全症例の治療計画のレビューを実施し、IMRTの品質管理を行う。症例登録状況確認および、IMRTの品質管理のための症例検討会を年4回実施する。
結果と考察
 「上咽頭癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)の多施設共同第II相臨床試験(JCOG1015)」は、two-step法IMRTを用いた化学放射線療法の臨床試験である。平成23年から患者登録が開始され、平成26年10月に予定より半年早く全75症例の登録が完了した。本研究ではIMRTファントムを参加予定施設に送付、線量測定し、IMRT品質保証のための施設調査を行っている。全参加施設で調査完了し、計画標的体積(PTV) 内の測定点での線量測定値に対する線量計算の相違は±3% 以内で許容範囲であり、症例登録可能施設と認定された。また、ITC remote review toolを用いて、研究事務局で全例の治療計画と線量分布を確認し、IMRTの品質保証を行っている。
 SIB法IMRTによる頸部食道癌プロトコールは平成25年に日本放射線腫瘍研究グループ(JROSG)で、「頸部食道癌に対するIMRTを用いた化学放射線療法の多施設共同第II相臨床試験(JROSG 12-1)」承認され、症例登録がはじまった。平成27年2月現在13例/44例の症例が登録された。JCOG1015同様、ファントムでの線量測定とドライラン症例の提示を義務付けている。
 T1-2N0-1M0中咽頭癌に対するIMRTの多施設共同非ランダム化検証的試験(JCOG1208)は、平成26年度6月から症例登録を開始した。27年2月現在4例の症例が登録された。
 JCOG頭頸部がんグループで実施中の進行頭頸部腫瘍に対する術後照射臨床試験(JCOG1008)において、平成26年7月IMRTを許容するプロトコール改訂(version 1.2)を行った。照射法についてはSIB法を用いて3つのリスク領域設定でおこなうこととした。各施設でのファントムを用いたIMRT線量測定と、術後照射IMRTプロトコールに従ったドライランを班会議で確認後、12施設でのIMRT実施が承認され、これまで10例がIMRTで治療されている。
結論
本研究にはIMRTを先行実施している主要施設が参加し、臨床試験における放射線治療の品質管理・品質保証の体制を持つJCOG放射線治療グループで行うことが特徴である。本研究を継続することによってさまざまな頭頸部腫瘍の根治照射および術後照射に対して、two-step法およびSIB法IMRTの有効性と安全性の評価と標準化を図ることが可能である。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201438089C

収支報告書

文献番号
201438089Z