文献情報
文献番号
201438082A
報告書区分
総括
研究課題名
標準治療抵抗性神経膠芽腫に対するペプチドワクチンの第三相臨床研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
伊東 恭悟(久留米大学 がんワクチンセンター)
研究分担者(所属機関)
- 寺崎 瑞彦(久留米大学 医学部)
- 山田 亮(久留米大学 先端癌治療研究センター)
- 笹田 哲朗(地方独立行政法人 神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター)
- 松枝 智子(久留米大学 がんワクチンセンター)
- 杉田 保雄(久留米大学 医学部)
- 藤巻 高光(埼玉医科大学 )
- 成田 善孝(独立行政法人 国立癌研究センター)
- 西川 亮(埼玉医科大学 国際医療センター)
- 井上 亨(福岡大学 医学部)
- 安部 洋(福岡大学 医学部)
- 上羽 哲也(高知大学 医学部)
- 栗栖 薫(広島大学 大学院医歯薬総合研究科)
- 杉山 一彦(広島大学 大学院医歯薬総合研究科)
- 青木 友和(国立病院機構京都医療センター 総括診療部)
- 出口 誠(山口大学 大学院医学研究科)
- 竹島 秀雄(宮崎大学 医学部)
- 冨永悌二(東北大学 大学院医学研究科 兼 宮城県立がんセンター)
- 小林浩之(北海道大学 大学病院)
- 田宮 隆(香川大学 医学部)
- 永根 基雄(杏林大学 医学部)
- 廣瀬 雄一(藤田保健衛生大学 医学部)
- 伊達 勲(岡山大学 大学院医歯薬総合研究科)
- 隈部 俊宏(北里大学 医学部)
- 荒川 芳輝(京都大学 医学研究科)
- 夏目 敦至(名古屋大学 大学院医学系研究科)
- 角間辰之(久留米大学 バイオ統計センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
33,000,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関移動
研究分担者 笹田哲朗
久留米大学医学部免疫学講座(平成26年4月1日~平成26年11月16日)→地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター臨床研究所がんワクチンセンター・センター長、県がん免疫療法開発研究部・部長)
研究報告書(概要版)
研究目的
平成23年度から厚生労働科学研究費の助成をうけて実施してきたHLA-A24陽性のテモゾロミド治療抵抗性神経膠芽腫患者を対象としたテーラーメイドペプチドワクチン投与の有効性と安全性を検証する第三相プラセボ対照二重盲検比較試験を終了させ、医薬品としての薬事承認を取得しがん治療の現場に新しい治療法を提供することを目的とした。
共通がん関連抗原由来ペプチドを用いているので、膠芽腫以外のがん患者に対しても適応症拡大の可能性が高い。この場合には、製薬企業の積極参加が期待でき日本から世界へがん治療薬の提供が可能になる。日本では抗がん剤は欧米からの輸入医薬に頼っており、厚生労働行政の観点からも本邦発の副作用の少ない新規抗がん剤の開発は意義が大きい。
共通がん関連抗原由来ペプチドを用いているので、膠芽腫以外のがん患者に対しても適応症拡大の可能性が高い。この場合には、製薬企業の積極参加が期待でき日本から世界へがん治療薬の提供が可能になる。日本では抗がん剤は欧米からの輸入医薬に頼っており、厚生労働行政の観点からも本邦発の副作用の少ない新規抗がん剤の開発は意義が大きい。
研究方法
テモゾロミド治療抵抗性のHLA-A24陽性の膠芽腫患者を対象とし、BSC下にプラセボ群を対照として、ペプチドワクチン投与(以下ITK-1と記載)群の臨床効果を検証する多施設共同無作為割付第三相二重盲検比較臨床試験を「ヘルシンキ宣言」ならびに「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP)」を遵守して実施している。症例登録を加速させる為に、名古屋大学と山形大学の2施設を加え、実施医療機関を20施設に拡大した。主要評価項目(全生存期間)や研究期間に変更はないが、症例集積遅延のために最終的な症例数は86例になる事が見込まれる(目標症例数110例)。現在国内でアバスチン抵抗性症例が増加しつつある為に、平成26年度の目標は2例/月で年度末に65例、平成27年度は3例/月で10月の登録終了時までに86例とした。その結果、検出力は80%以上から75%前後に低下するが主目的は評価可能と考える。また、QOLについては、副次目的の「総合的臨床効果」の中で評価する。
結果と考察
結果:平成27年3月2日現在で同意取得104例(26年度26例)、本症例登録数59(同18例)に留まっている。同意取得は104例、そのうちスクリーニング脱落例(45例)を除く、本登録例は59例(第1コース45例、第2コース移行7例、第3コース移行2例、第4コース移行2例、第6コース移行1例、第8コース移行1例、第9コース移行1例)であり、死亡イベントは37例が確認されている。また、同年2月28日時点までに発現した重篤な有害事象(SEA)は21例29件報告され、肺塞栓は因果関係が否定されなかったが、その他の事象に関しては治験薬との因果関係は否定された。
盲検性を保った状態で生存期間曲線を解析し、全症例でのMSTは8.0ヶ月であった。尚、生存例は平成26年11月21日で一旦打ち切りとして算出した。
治験実施に関する共通理解の浸透と症例集積の促進を目的に、2回の班会議で、①総括およびエントリー状況 ②中間解析の実施体制とスケジュール ③前立腺癌第三相試験からの安全性情報に関する共通理解の浸透を図った。また、再発GBM調査表の集計結果や割付因子(アバスチン治療歴の有無)の追加の是非について審議した。④他の免疫療法後の本治験エントリーについて、⑤誤投与に対する注意喚起に関する報告・質疑応答を行ない、共通理解の浸透を図った。また、各施設のエントリー・脱落状況について協議した。
症例集積策として、ITK-1治験ホームページやフリーダイヤルの開設・活用、院内ポスターや関連施設へのレター配布などを行なうとともに、脳腫瘍をテーマとした市民公開講座をキャンサーネットジャパンと脳腫瘍ネットワークとの共催にて開催した。
中間解析は死亡イベント35例発生の平成26年12月12日をcut off dateとし、中間解析の準備期間を経て平成27年3月10日に効果安全性委員会を開催した。ITK-1とプラセボのハザード比が1.0より低値であったため、治験実施計画書に従い治験の継続を決定した。
考察:平成25年はギリアデルとアバスチンが相次いで悪性神経膠腫に対して医薬品承認された影響もあり当該治験は当初予定より遅延しているものの、安全性に問題がなく、ブラインド(ワクチン群とプラセボ群の併合)での生存期間中央値も8.0ヶ月と想定どおりの結果がみられていることから、症例集積遅延以外は順調に進捗していると考える。目標症例数は110例で計画しているが、最終的な症例数は86例になる事が見込まれる。その結果をうけて検出力は80%から75%前後に低下するものの主目的は評価可能と考える。
盲検性を保った状態で生存期間曲線を解析し、全症例でのMSTは8.0ヶ月であった。尚、生存例は平成26年11月21日で一旦打ち切りとして算出した。
治験実施に関する共通理解の浸透と症例集積の促進を目的に、2回の班会議で、①総括およびエントリー状況 ②中間解析の実施体制とスケジュール ③前立腺癌第三相試験からの安全性情報に関する共通理解の浸透を図った。また、再発GBM調査表の集計結果や割付因子(アバスチン治療歴の有無)の追加の是非について審議した。④他の免疫療法後の本治験エントリーについて、⑤誤投与に対する注意喚起に関する報告・質疑応答を行ない、共通理解の浸透を図った。また、各施設のエントリー・脱落状況について協議した。
症例集積策として、ITK-1治験ホームページやフリーダイヤルの開設・活用、院内ポスターや関連施設へのレター配布などを行なうとともに、脳腫瘍をテーマとした市民公開講座をキャンサーネットジャパンと脳腫瘍ネットワークとの共催にて開催した。
中間解析は死亡イベント35例発生の平成26年12月12日をcut off dateとし、中間解析の準備期間を経て平成27年3月10日に効果安全性委員会を開催した。ITK-1とプラセボのハザード比が1.0より低値であったため、治験実施計画書に従い治験の継続を決定した。
考察:平成25年はギリアデルとアバスチンが相次いで悪性神経膠腫に対して医薬品承認された影響もあり当該治験は当初予定より遅延しているものの、安全性に問題がなく、ブラインド(ワクチン群とプラセボ群の併合)での生存期間中央値も8.0ヶ月と想定どおりの結果がみられていることから、症例集積遅延以外は順調に進捗していると考える。目標症例数は110例で計画しているが、最終的な症例数は86例になる事が見込まれる。その結果をうけて検出力は80%から75%前後に低下するものの主目的は評価可能と考える。
結論
申請時研究計画に沿って、症例集積遅延以外は概ね順調に経過していると自己評価している。今後はアバスチンfailure症例が増える事が見込まれ、また新たに2施設追加した事により症例登録を加速させる。
公開日・更新日
公開日
2015-09-14
更新日
-